死神と恐れられた俺、転生したら平和な時代だったので自由気ままな人生を享受する

オカさん

文字の大きさ
68 / 130
大会始動

71話 選手たちの顔合わせ

しおりを挟む
 放課後、俺たち三人は担任のフェルンの指示により他の選手たち顔合わせをするため大会議室に向かっていた。

「ふたりは種目決めたか?」

 種目を決めた俺は両隣で歩くセロブロとラビスに尋ねた。

「僕は魔撃墜ホープ・シューティングだな。魔力総量は多いし、中遠距離に適した魔法も使えるから他の種目よりも出場機会は得やすいだろう」 

 彼の自己分析については俺も同意見である。
 持久力や対人能力も人並み以上に持ち合わせている彼だが、これから大会出場権を争う上級生たちもそれらは有している。
 ならばより自身の長所を活かせる種目を選ぶのは当然だ。

「私は、何が得意なんだろう……」

 しかしラビスは種目を決めるどころか自己分析も不十分な様子だった。

「うーん、ラビスは魔力制御が得意だし魔撃墜ホープ・シューティングが良いんじゃないかな」

「水を差すようで悪いが、魔力制御が多少優れているくらいで勝ち抜けるほど魔撃墜ホープ・シューティングは勿論、他の種目も甘くはない」

「……⁉」

 俺の提案をセロブロは真っ向から否定し、ラビスは顔をしかめた。

「今は勝てるかどうかで話を進めている訳じゃないだろ? 何が得意でその長所を一番活かせるのはなんの種目かって話だ」

 彼女をけなしたくて言っている訳では無いだろうが言い方というものがある。

「確かにそうだったな。だが魔力制御が得意という漠然ばくぜんとした考えで種目を選ぶのは良くないことだ」

「漠然……?」

「そうだ、魔力制御という技術にも得意不得意は人によって異なる。例えば僕なら炎から発せられる熱を一点に集めることが得意だ。この制御のお陰で無駄な魔力を消費せずに済む」

 セロブロは指先に小さな炎を灯しながら分かりやすく解説する。

「なるほど……!」

 考えたことも無かったが言われてみればその通りだ。
 今まで自分は高い魔力制御を有していると考えていた。だが魔力制御という技術を細分化してみればその中でも優劣は生まれる。
 才能やセンスでこの制御が得意というのを即座に思いつかないが、黒棘ブラックパレスを発動する直前なんかはいい例だ。
 大地に廻る自然の魔力循環系の動きを予測して俺の魔力を運ばせる、練習して体得したから得意かと言われれば微妙だが、その魔力制御のみを見れば彼女をも上回る。
 
「じゃあラビスは魔力制御の中でも他者の魔力に干渉するのが一番得意という事になるのか」

 その上で魔力を収束させる制御も高水準であるのは間違いない。

「改めて聞かされても、理解できない制御技術だ」

 流石のセロブロも驚きを通り越して呆れた様子を見せる。

「やっぱりラビスは凄ぇよ。こんな芸当、学園でもお前だけなんじゃないか?」

「私にはよく分からないけど、アルムがそこまで言うなら凄いのかな……」

 赤く染まった頬を搔いて恥ずかしさを誤魔化そうとする。

「ああ、自信を持て! お前なら魔導大会でも活躍できる」

「うん……!」    

 胸の前で握り拳を作り力強く頷いた。

「去年の魔導大会も知らないでよく言うものだ」

「せっかく人が良いこと言ってるのに水差すなよ」

「良い事を言っていたのは僕の助言だ、そんな事より着いたぞ」

 セロブロは大会議室の扉前で立ち止まる。

「お前ら、粗相のないように気を付けろよ」

「は、はい!」

「任せてください、セロブロ様」

 ラビスは気を引き締め、俺は指示通り敬語で返答する。
 不安な表情を俺に向けつつも先頭のセロブロが扉を開けた。

「一年B組の生徒さんですね。そちらにお座りください」

 着席している生徒たちが俺たちに注目する中、黒板前に立つカルティアが誘導する。
 俺たちはA組とC組の生徒が着席している間の長椅子に静かに座る。
 内装は普段使う教室より大きいのと出入口が階段上にあるぐらいで大差はない。
  
「全クラスが揃ったようなので今後の計画をお話します」

 カルティアは全体を見渡してから話を切り出した。  

「本日から一か月後に行われる魔導大会に向けて、放課後に競技練習の時間と敷地を設けます。そこでは学園の先生方に監督してもらい、練習風景や様子を見ながら当日に出場選手を決めることになっています。また出場したい種目が決まっているのならば明日から参加して結構です。未定の生徒につきましては競技練習に参加して決めてもらっても構いません。しかし大会二週間前には出場する種目を確定しなければならないので、悔いのないよう選んでください。ここまでで何か質問があれば手を上げて下さい」

 ほとんどの生徒が彼女の説明で納得できたらしく室内に静寂が訪れる。

「……! どうぞ」

 そんな事は関係なく俺は手を挙げて席を立つ。

「大会二週間前に出場する種目を確定しなければならないのは何故ですか?」

「大会を運営する方々に選手の資料を提出する期日が決まっていることと、出場選手の選考を本格的に行うという二つの理由がある為です」

 焦る様子もなく淡々と疑問に答える。

「もう一つ質問します、その選考ってどういった方法で行われるんですか?」

「それは監督する先生と競技種目によって異なるため詳しいことは分かりません。良ければ先生方からお聞きしておきましょうか?」

「いや、興味本位で聞いただけなのでそれには及びません」

 生徒会長に頼み事なんて恐れ多い、主に周りの連中が……。

「遠慮はしないで下さい、二週間後に何か予定があったからわざわざ手を挙げたのでしょう?」  

 質問を終えて着席しようとする俺を彼女は呼び止める。
 端から見たら緊張する後輩を解きほぐそうとする優しい生徒会長に見えるだろうが、そんな思いやりを持ち合わせているような女じゃない。
 何とかしてこの場でようだ。

「予定なんてありません。俺はただ――――のでどんな選考方法なのか気になっただけですよ」

 弁明から数秒後、会議室は静寂が消え去り生徒たちが騒めき出す。
『個人総合一位』がカルティアとの賭けがある以上、この場で宣言した方が後々の衝突も防げるだろう。
 まあその衝突をこの場で起こす事になるわけだが……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!

ユーリ
ファンタジー
気がつくと、見知らぬ部屋のベッドの上で、状況が理解できず混乱していた僕は、鏡の前に立って、あることを思い出した。 ここはリュカとして生きてきた異世界で、僕は“落ちこぼれ貴族の息子”だった。しかも最悪なことに、さっき行われた絶対失敗出来ない召喚の儀で、僕だけが失敗した。 そのせいで、貴族としての評価は確実に地に落ちる。けれど、両親は超が付くほど過保護だから、家から追い出される心配は……たぶん無い。 問題は一つ。 兄様との関係が、どうしようもなく悪い。 僕は両親に甘やかされ、勉強もサボり放題。その積み重ねのせいで、兄様との距離は遠く、話しかけるだけで気まずい空気に。 このまま兄様が家督を継いだら、屋敷から追い出されるかもしれない! 追い出されないように兄様との関係を改善し、いざ追い出されても生きていけるように勉強して強くなる!……のはずが、勉強をサボっていたせいで、一般常識すら分からないところからのスタートだった。 それでも、兄様との距離を縮めようと努力しているのに、なかなか縮まらない! むしろ避けられてる気さえする!! それでもめげずに、今日も兄様との関係修復、頑張ります! 5/9から小説になろうでも掲載中

限界勇者のスローライフ~追放気味に田舎暮らしに突入したけど、元魔王やら魔族の子と出会って何だか幸せに暮らせています~

みなかみしょう
ファンタジー
現代日本から転生し、魔王を倒した勇者クウト。 なんとか平和な世界を取り戻したはずが、彼だけは戦い続けていた。 その期間、120年。しかも年中無休、24時間営業である。 「さすがにこれは、ちょっとおかしくないか?」 戦いに疲れ果て、クウトはようやくそのことに気づいた。 自分を道具としてしか見ていない、かつての仲間の子孫にも飽き飽きだった。 会議の場で引退を宣言し、勇者の証も放棄。清々しく立場を強引に捨てることに成功。 遂に手に入れた自由な日々。 そんなクウトの前に、転生にも関わった女神が現れる。 想像よりも酷い状況を見て、女神は新たな力を授け言う。 「とりあえず、スローライフでもしてなさい」 そんな言葉と共に送り出された元勇者は、田舎でのんびり暮らすべく新生活を開始した。 しかし、そんな彼の前に現れたのは別世界に行ったはずの二代目魔王。 似たような事情を抱えた彼女の話を聞き、クウトは同居生活を提案する。 こうして、元勇者と元魔王の田舎暮らしが始まった。 無理のない範囲での畑仕事。 冒険者としての活動。 町の人々との触れ合い。 慣れない普通の生活に苦戦しつつも、二人は穏やかな日々を少しずつ手に入れていく。 たまに起きるトラブルは、その有り余るパワーで粉砕しながら……。

唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~

専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。 ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした

高坂ナツキ
ファンタジー
衝撃を受けた途端、俺は美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生していた!? これは、自分が制作にかかわっていた美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生した主人公が、報われないサブヒロインを救うために人生を賭ける話。 日常あり、恋愛あり、ダンジョンあり、戦闘あり、料理ありの何でもありの話となっています。

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介
ファンタジー
  88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。  異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。  その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。  飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。  完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。  

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

無能と追放された俺の【システム解析】スキル、実は神々すら知らない世界のバグを修正できる唯一のチートでした

夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業SEの相馬海斗は、勇者として異世界に召喚された。だが、授かったのは地味な【システム解析】スキル。役立たずと罵られ、無一文でパーティーから追放されてしまう。 死の淵で覚醒したその能力は、世界の法則(システム)の欠陥(バグ)を読み解き、修正(デバッグ)できる唯一無二の神技だった! 呪われたエルフを救い、不遇な獣人剣士の才能を開花させ、心強い仲間と成り上がるカイト。そんな彼の元に、今さら「戻ってこい」と元パーティーが現れるが――。 「もう手遅れだ」 これは、理不尽に追放された男が、神の領域の力で全てを覆す、痛快無双の逆転譚!

処理中です...