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大会始動
71話 選手たちの顔合わせ
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放課後、俺たち三人は担任のフェルンの指示により他の選手たち顔合わせをするため大会議室に向かっていた。
「ふたりは種目決めたか?」
種目を決めた俺は両隣で歩くセロブロとラビスに尋ねた。
「僕は魔撃墜だな。魔力総量は多いし、中遠距離に適した魔法も使えるから他の種目よりも出場機会は得やすいだろう」
彼の自己分析については俺も同意見である。
持久力や対人能力も人並み以上に持ち合わせている彼だが、これから大会出場権を争う上級生たちもそれらは有している。
ならばより自身の長所を活かせる種目を選ぶのは当然だ。
「私は、何が得意なんだろう……」
しかしラビスは種目を決めるどころか自己分析も不十分な様子だった。
「うーん、ラビスは魔力制御が得意だし魔撃墜が良いんじゃないかな」
「水を差すようで悪いが、魔力制御が多少優れているくらいで勝ち抜けるほど魔撃墜は勿論、他の種目も甘くはない」
「……⁉」
俺の提案をセロブロは真っ向から否定し、ラビスは顔をしかめた。
「今は勝てるかどうかで話を進めている訳じゃないだろ? 何が得意でその長所を一番活かせるのはなんの種目かって話だ」
彼女を貶したくて言っている訳では無いだろうが言い方というものがある。
「確かにそうだったな。だが魔力制御が得意という漠然とした考えで種目を選ぶのは良くないことだ」
「漠然……?」
「そうだ、魔力制御という技術にも得意不得意は人によって異なる。例えば僕なら炎から発せられる熱を一点に集めることが得意だ。この制御のお陰で無駄な魔力を消費せずに済む」
セロブロは指先に小さな炎を灯しながら分かりやすく解説する。
「なるほど……!」
考えたことも無かったが言われてみればその通りだ。
今まで自分は高い魔力制御を有していると考えていた。だが魔力制御という技術を細分化してみればその中でも優劣は生まれる。
才能やセンスでこの制御が得意というのを即座に思いつかないが、黒棘を発動する直前なんかはいい例だ。
大地に廻る自然の魔力循環系の動きを予測して俺の魔力を運ばせる、練習して体得したから得意かと言われれば微妙だが、その魔力制御のみを見れば彼女をも上回る。
「じゃあラビスは魔力制御の中でも他者の魔力に干渉するのが一番得意という事になるのか」
その上で魔力を収束させる制御も高水準であるのは間違いない。
「改めて聞かされても、理解できない制御技術だ」
流石のセロブロも驚きを通り越して呆れた様子を見せる。
「やっぱりラビスは凄ぇよ。こんな芸当、学園でもお前だけなんじゃないか?」
「私にはよく分からないけど、アルムがそこまで言うなら凄いのかな……」
赤く染まった頬を搔いて恥ずかしさを誤魔化そうとする。
「ああ、自信を持て! お前なら魔導大会でも活躍できる」
「うん……!」
胸の前で握り拳を作り力強く頷いた。
「去年の魔導大会も知らないでよく言うものだ」
「せっかく人が良いこと言ってるのに水差すなよ」
「良い事を言っていたのは僕の助言だ、そんな事より着いたぞ」
セロブロは大会議室の扉前で立ち止まる。
「お前ら、粗相のないように気を付けろよ」
「は、はい!」
「任せてください、セロブロ様」
ラビスは気を引き締め、俺は指示通り敬語で返答する。
不安な表情を俺に向けつつも先頭のセロブロが扉を開けた。
「一年B組の生徒さんですね。そちらにお座りください」
着席している生徒たちが俺たちに注目する中、黒板前に立つカルティアが誘導する。
俺たちはA組とC組の生徒が着席している間の長椅子に静かに座る。
内装は普段使う教室より大きいのと出入口が階段上にあるぐらいで大差はない。
「全クラスが揃ったようなので今後の計画をお話します」
カルティアは全体を見渡してから話を切り出した。
「本日から一か月後に行われる魔導大会に向けて、放課後に競技練習の時間と敷地を設けます。そこでは学園の先生方に監督してもらい、練習風景や様子を見ながら当日に出場選手を決めることになっています。また出場したい種目が決まっているのならば明日から参加して結構です。未定の生徒につきましては競技練習に参加して決めてもらっても構いません。しかし大会二週間前には出場する種目を確定しなければならないので、悔いのないよう選んでください。ここまでで何か質問があれば手を上げて下さい」
ほとんどの生徒が彼女の説明で納得できたらしく室内に静寂が訪れる。
「……! どうぞ」
そんな事は関係なく俺は手を挙げて席を立つ。
「大会二週間前に出場する種目を確定しなければならないのは何故ですか?」
「大会を運営する方々に選手の資料を提出する期日が決まっていることと、出場選手の選考を本格的に行うという二つの理由がある為です」
焦る様子もなく淡々と疑問に答える。
「もう一つ質問します、その選考ってどういった方法で行われるんですか?」
「それは監督する先生と競技種目によって異なるため詳しいことは分かりません。良ければ先生方からお聞きしておきましょうか?」
「いや、興味本位で聞いただけなのでそれには及びません」
生徒会長に頼み事なんて恐れ多い、主に周りの連中が……。
「遠慮はしないで下さい、二週間後に何か予定があったからわざわざ手を挙げたのでしょう?」
質問を終えて着席しようとする俺を彼女は呼び止める。
端から見たら緊張する後輩を解きほぐそうとする優しい生徒会長に見えるだろうが、そんな思いやりを持ち合わせているような女じゃない。
何とかしてこの場で言わせたいようだ。
「予定なんてありません。俺はただ――――全ての競技に出場するのでどんな選考方法なのか気になっただけですよ」
弁明から数秒後、会議室は静寂が消え去り生徒たちが騒めき出す。
『個人総合一位』がカルティアとの賭けがある以上、この場で宣言した方が後々の衝突も防げるだろう。
まあその衝突をこの場で起こす事になるわけだが……。
「ふたりは種目決めたか?」
種目を決めた俺は両隣で歩くセロブロとラビスに尋ねた。
「僕は魔撃墜だな。魔力総量は多いし、中遠距離に適した魔法も使えるから他の種目よりも出場機会は得やすいだろう」
彼の自己分析については俺も同意見である。
持久力や対人能力も人並み以上に持ち合わせている彼だが、これから大会出場権を争う上級生たちもそれらは有している。
ならばより自身の長所を活かせる種目を選ぶのは当然だ。
「私は、何が得意なんだろう……」
しかしラビスは種目を決めるどころか自己分析も不十分な様子だった。
「うーん、ラビスは魔力制御が得意だし魔撃墜が良いんじゃないかな」
「水を差すようで悪いが、魔力制御が多少優れているくらいで勝ち抜けるほど魔撃墜は勿論、他の種目も甘くはない」
「……⁉」
俺の提案をセロブロは真っ向から否定し、ラビスは顔をしかめた。
「今は勝てるかどうかで話を進めている訳じゃないだろ? 何が得意でその長所を一番活かせるのはなんの種目かって話だ」
彼女を貶したくて言っている訳では無いだろうが言い方というものがある。
「確かにそうだったな。だが魔力制御が得意という漠然とした考えで種目を選ぶのは良くないことだ」
「漠然……?」
「そうだ、魔力制御という技術にも得意不得意は人によって異なる。例えば僕なら炎から発せられる熱を一点に集めることが得意だ。この制御のお陰で無駄な魔力を消費せずに済む」
セロブロは指先に小さな炎を灯しながら分かりやすく解説する。
「なるほど……!」
考えたことも無かったが言われてみればその通りだ。
今まで自分は高い魔力制御を有していると考えていた。だが魔力制御という技術を細分化してみればその中でも優劣は生まれる。
才能やセンスでこの制御が得意というのを即座に思いつかないが、黒棘を発動する直前なんかはいい例だ。
大地に廻る自然の魔力循環系の動きを予測して俺の魔力を運ばせる、練習して体得したから得意かと言われれば微妙だが、その魔力制御のみを見れば彼女をも上回る。
「じゃあラビスは魔力制御の中でも他者の魔力に干渉するのが一番得意という事になるのか」
その上で魔力を収束させる制御も高水準であるのは間違いない。
「改めて聞かされても、理解できない制御技術だ」
流石のセロブロも驚きを通り越して呆れた様子を見せる。
「やっぱりラビスは凄ぇよ。こんな芸当、学園でもお前だけなんじゃないか?」
「私にはよく分からないけど、アルムがそこまで言うなら凄いのかな……」
赤く染まった頬を搔いて恥ずかしさを誤魔化そうとする。
「ああ、自信を持て! お前なら魔導大会でも活躍できる」
「うん……!」
胸の前で握り拳を作り力強く頷いた。
「去年の魔導大会も知らないでよく言うものだ」
「せっかく人が良いこと言ってるのに水差すなよ」
「良い事を言っていたのは僕の助言だ、そんな事より着いたぞ」
セロブロは大会議室の扉前で立ち止まる。
「お前ら、粗相のないように気を付けろよ」
「は、はい!」
「任せてください、セロブロ様」
ラビスは気を引き締め、俺は指示通り敬語で返答する。
不安な表情を俺に向けつつも先頭のセロブロが扉を開けた。
「一年B組の生徒さんですね。そちらにお座りください」
着席している生徒たちが俺たちに注目する中、黒板前に立つカルティアが誘導する。
俺たちはA組とC組の生徒が着席している間の長椅子に静かに座る。
内装は普段使う教室より大きいのと出入口が階段上にあるぐらいで大差はない。
「全クラスが揃ったようなので今後の計画をお話します」
カルティアは全体を見渡してから話を切り出した。
「本日から一か月後に行われる魔導大会に向けて、放課後に競技練習の時間と敷地を設けます。そこでは学園の先生方に監督してもらい、練習風景や様子を見ながら当日に出場選手を決めることになっています。また出場したい種目が決まっているのならば明日から参加して結構です。未定の生徒につきましては競技練習に参加して決めてもらっても構いません。しかし大会二週間前には出場する種目を確定しなければならないので、悔いのないよう選んでください。ここまでで何か質問があれば手を上げて下さい」
ほとんどの生徒が彼女の説明で納得できたらしく室内に静寂が訪れる。
「……! どうぞ」
そんな事は関係なく俺は手を挙げて席を立つ。
「大会二週間前に出場する種目を確定しなければならないのは何故ですか?」
「大会を運営する方々に選手の資料を提出する期日が決まっていることと、出場選手の選考を本格的に行うという二つの理由がある為です」
焦る様子もなく淡々と疑問に答える。
「もう一つ質問します、その選考ってどういった方法で行われるんですか?」
「それは監督する先生と競技種目によって異なるため詳しいことは分かりません。良ければ先生方からお聞きしておきましょうか?」
「いや、興味本位で聞いただけなのでそれには及びません」
生徒会長に頼み事なんて恐れ多い、主に周りの連中が……。
「遠慮はしないで下さい、二週間後に何か予定があったからわざわざ手を挙げたのでしょう?」
質問を終えて着席しようとする俺を彼女は呼び止める。
端から見たら緊張する後輩を解きほぐそうとする優しい生徒会長に見えるだろうが、そんな思いやりを持ち合わせているような女じゃない。
何とかしてこの場で言わせたいようだ。
「予定なんてありません。俺はただ――――全ての競技に出場するのでどんな選考方法なのか気になっただけですよ」
弁明から数秒後、会議室は静寂が消え去り生徒たちが騒めき出す。
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まあその衝突をこの場で起こす事になるわけだが……。
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