悪役令嬢だと気づいたので、破滅エンドの回避に入りたいと思います!

飛鳥井 真理

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第二章 シークレットステージ

第88話 絡まれそうです

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 何しろ、偶然とはいえ自力で上げる手段がないと言われていた、幸運値を上昇させる魔物いたくらいである。

 ボーナスステージなのかシークレットステージなのかは分からないが、他にも何か隠されている……かもしれないではないか。
 前世の記憶を持つヴィヴィアンとフレデリックも、その点はシリルと同様の結論に達していた。

 ヒロインがダンジョンに来るなら、攻略対象を追いかけてなのか、イベントをこなすためなのか……情報が少なく推察でしかないが、両方可能性がある。


 ルチルはこの乙女ゲームに限りなく類似した世界のヒロイン枠だから、彼女を中心に様々なイベントが起こる訳だが、これから行くダンジョンは王都から一番近く、その舞台になる可能性が高い。

 とは言え、街中ではなくダンジョンで出会ってしまうのなら、それはやはり偶然という名の必然であり、ゲームの強制力が働いているといえるだろう。

 というわけでヒロイン様ご一行が、今回一番の障害となると考えられる。


「ヒューシャ男爵令嬢……ですか。魔法学院にいると忘れそうになりますが、彼女の件も頭が痛いですね」

「そうですわね。彼女、わたくし達がここにいる情報も掴んでいるでしょうか?」

 フレデリック達、魔法学院組の疑問にはリリアンヌが答えた。

「取り巻きの殿方の数だけは多いんですの。 情報収集の人手は足りているでしょうね」

 彼女の話によると、彼女の情報網は日毎に侮れない規模に成長しているらしい。

「……では、素早く伝わってしまいそうですわね」

「ええ、残念ですが」

 魅了した彼らと共に、ダンジョンへやって来るのを防ぐ手立ては今のところない。

「……フレデリックはともかく、私が何日も続けて学園を休むのはすぐに分かってしまいますよ」

「はぁ……厄介ですわねぇ」

 シリルの言葉に、ヴィヴィアンは眉をひそめた。



 攻略対象者であるシリルとフレデリックの二人がダンジョンに潜っているのだ。

 情報を掴んだら追いかけてくるだろうし、ヴィヴィアンとリリアンヌが一緒にいると分かれば、嬉々として絡みに来そうである。

「彼女に時間を取られるのは勘弁してもらいたいです」

「まぁ、来ることは止められませんが、でもその為に急いで通信器具を手に入れたんです。ある程度は遭遇を防げるんじゃないかな」

 皆がつけているアクセサリー型の魔道具を確認しながらシリルが言った。

 ダンジョンには二組に分かれて潜るが、これがあれば先にルチルを発見したパーティーが警告できる。

 接近情報をリアルタイムで共有できるのは大きいだろう。




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