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第一章 辺境の町
第29話 登録手続き
しおりを挟む「では次にこちらの聖魔水晶を左手で握ってください。今回は逆に、水晶から魔力を吸収するイメージでお願いします」
そう言って、一センチ四方くらいの小さな水晶のチップを手渡された。
――あ、まだ登録手続き続いてたんですね……分かりました。
言われた通り左手で握り締めて、水晶に内包されている魔力を感じ取りながら、体内に吸収するイメージを高めていく。
自然と目を閉じて集中していると、じんわりと水晶が温かくなってきた。と同時に、魔力が体内に吸い込まれていくのが、わかった……んだけど。
なんかこれ、聖魔水晶のチップの感覚が徐々に無くなって……どっか、いっちゃった?
――えぇぇっ? なにこれ何なのこれ、いいの!?
「あの、水晶消えちゃったんですけど……」
「はい、それで初回登録が完了になりますので大丈夫ですよ。聖魔水晶を使って魔法陣を定着させましたので」
え、そうなの? 成功してる?
ホッ、よかったぁ……失敗かと思って焦っちゃったよ!
「これって水晶ごと体内に入っちゃたってことですか?」
「いえ、体内に入ったのは、聖魔水晶の魔力だけです。元々、魔素溜まりに発生する水晶なので、内包されていた魔力を全て使い切ると、物質として姿が保てなくなり消えてしまうんですよ」
よく聞かれるんです、初めての方には分かりにくいですよねと苦笑しながら教えてくれた。
ふ~ん、そうなんだ。不思議な水晶だなぁ、さすが異世界。
――とにかくこれでギルド証の登録が全て終わったらしい。
改めてよく見てみると、盾の部分に刻まれた数字は十となっている。
この数字がギルドの等級で、一級から十級まであり、当然私のギルド証には一番下の十級がこうして刻まれている。
なんか刺青みたい。これなら絶対に紛失の心配はないよね。
――うん、合理的でいいんだけど……。
「このマークはずっと消えないんですか?」
「いいえ、定期的に依頼を受けていただけないとギルド証は消えてしまいます。再発行には銀貨5枚がかかりますのでご注意ください」
「分かりました」
一ヶ月間、何も依頼を受けないと消えるらしい。再発行代は銀貨5枚掛かるとか……一気に高額になるんだね。
「それと昇級時にもギルド証の更新をしますので、その都度お金がかかります。例えば九級だと銀貨3枚、八級以上は一律で大銀貨1枚になります。八級以上は高額だと思われるでしょうが、これは初心者の金銭的負担を軽減するための救済処置ですのでご協力ください」
「ということは、今回の魔法って本当はもっと高かったりします?」
「はい、一回の登録で銀貨5枚になるんです。魔方陣魔法の使えるギルド職員がいますので、これでも費用は抑えているんですけどね」
なるほど……安く済むようにギルドも考えているんだね。
それに加えて九級までは冒険者の先輩方の援助もあると。お金のない初心者用に、こんな救済処置があるなんて結構しっかりした組織なんだ。
「でもまあ高額ですのであえて昇給しないっていう方もいますけどね。町中中心に活動されてる方々だと、それでも仕事に困る事はありませんので。ただダンジョンに入るには八級以上が必要なので、まずそれを目指す冒険者が多いですよ」
へえ、ダンジョンは等級制限付きなのか……八級になるまでどれぐらいかかるんだろう?
――まずは私もそこを目標にしてみようかな。
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