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第一章 辺境の町
第180話 初顔合わせ
しおりを挟む「悪い、遅くなった。帰ってくる途中で迷いの魔樹の幻術にかかった新人に、たまたま行き逢ってな。さっきまでギルドに報告してたんだ」
「えぇっ、その子達は!?」
「助け出して全員無事だ。まったく、あんな実力で北の森とはいえ奥まで入って来るなんて無謀過ぎる」
見つけた時にはもう迷いの魔樹に引き摺り込まれかけており、装備品も溶解液と土にまみれてボロボロだったそうだ。
幸いなことに怪我はしているものの、全員人の手を借りずに歩いて帰ってこれる状態だったとの事。
「良かった、でもラグナードか偶々通りもかからなかったらどうなっていたか」
「まあな。こういうの、新人時代に割りとやらかす奴らが多いんだ」
パーティーメンバーが人族しかいないにも関わらず、幻術を甘く見て対策を立てずに、新装備を手に入れた高揚感も手伝って突っ走っちゃったらしい。今頃はギルド職員によって、別室でこってり絞られているとか。
魔道具屋のマールさんにも聞いていたけど、本当に人族には幻術耐性がないんだね。
パーソナルレベルが高いと徐々に耐性が出来てくるそうだけど、それまでは危険と紙一重なんだ。
今回の冒険者さん達は、獣人族で特に五感に優れているラグナードが近くにいて、運良く助けて貰えて幸運だった。というか彼も今日は北の森にいたのか。
「ローザ、彼が例の?」
「そう、紹介するね。彼が獣人族のラグナード。私も前に一度、危ないところを助けてもらった人。そして、こっちが今、パーティーを組んでいる人族のリノです」
「よろしくお願いします」
「おう。こっちこそ、よろしくな」
この町でようやく再会できたことだし、あの時助けて貰った事に改めてお礼を言う。
もう本当、ダメだと思ったもんね。絶体絶命のピンチに、格好良く登場して助け出してくれました。
「偶然そうなっただけで、あれは俺も助かったんだよ。ゴブリンとはいえ一度にあれだけ群れると危険だからな、一人で抜けるのは苦労するんだ。派手に魔法を使えるローザがいて、ゴブリン達も浮き足立ってたから簡単に蹴散らせただけだ」
それは謙遜が過ぎると思う。すっごく強かったもん。
軽くそれぞれの自己紹介も終わったので、さっそく本題入る。
「それで今日、こうして来てくれたって事は、パーティー結成について前向きに検討してもらえるって思ってもいいのかな?」
「あぁ、そのつもりだ。人族の町では森の侵略を食い止めるのが最優先だからな。こっちもエルフが一緒だと魔力に余力をもてるし、短時間に討伐と浄化が出来るから助かる」
「それなんだけど、私達も今日北の森で結構探し回って……でも一体しか見つけられなかった。そんなに侵略が進んでいるっていうのが信じられないというか」
「確かに森の浅い部分では少なくなったよな。だが、侵略っていうのはやつらが中奥まで出て来ると認定されるんだ。俺は今日、そこまで行ってきたが他にもスモールトレントや、それに一体だけだが霧の魔樹にも出くわした」
「迷いの魔樹以外にもそんなに……知らなかった」
ラグナードが遅くなったのは、その報告も併せてしていた為らしい。ギルドも警戒レベルを引き上げると決め、八級以上の冒険者に強制依頼を出す方針を固めたとか。今まで以上に危険だと認識しといた方がいいと教えてくれた。
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