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第一章 辺境の町

第179話 再会

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 後から確認しても、自分の不注意で離れかけたんじゃないかと本人が勘違いしてて、それで正気じゃなかったと分かったくらいだから。幻術怖い。

「エルフが一緒なら大丈夫だと言いたいところだが、トレントは何も迷いの魔樹だけじゃない。変異種が出てくる年もあるし、用心しとくに越したことはないさ」 

 幻術の恐ろしさを体験した後だと余計に、店主さんの話は納得出来る。

 レベル1だから効果がいまいち心配だったけど、そう言うことならと購入することに。「幻術耐性+1上昇」だと1000シクルなのでギリギリ足りるしね。

 出来るなら「幻術耐性+2上昇」が欲しいところだけど、それだと3000シクルもするから。残念ながら今、そんな大金はない。
 私の個人資産もコツコツ貯めて1362シクルになったけど、仮にそれ全部出しても足りないもんね。

 また頑張って稼いで色んな便利アイテムを買っておくれよ、と笑って言ってくれたマールさんと近々の再訪を約束してお店を出た。
 魔道具って本当便利だから手っ取り早く強化するには最高だよね! お金さえいっぱいあるならだけどっ。



 実はリノの使っている短剣が中古品で安価だったのもあって切れ味があまりよくないので、鍛冶屋にも行く予定だったんだけど……さっきので無しになった。
 魔道具一つでパーティー費用は全額消えたし、彼女の個人資産もほぼ全部つぎ込んだので武器を買えるほど残らなかったんだって。 
 私が立て替えていた宿代も全額返納してもらったから、残額は78シクルだって言ってた。ちなみに昇級ポイントは49点になったらしい。

 まぁ上を見たらキリが無いけど、でもこれで一応、ラグナードに会う前に今できる範囲での装備とスキルの強化が間に合ったんじゃないかな?

 時計見ると約束の時間まではまだまだ余裕があるので、宿に帰って先に自分達用に取ってきた食材を料理してしまう事にした。






 夕方以降のギルドは、人が多い。人族のリノはともかく、エルフ族の私はトラブル巻き込まれないためにも目立ちたくないので、外套で全身を覆いフードを目深にかぶっている。
 これで、魔法使いだって事は分かっても、話さなければ性別や種族までは見た目で分からないだろう。

 面倒な事が起きる前にと人混みを避けてさっさと二階に上がり、借りていた小会議室に入る。フードを外してホッと一息ついた。



 リノと二人で持ってきた魔法書を読んだり、おしゃべりしたりしながら待っていると……。

 ガチャリっ、とドアを開ける音が小さな部屋に響く。

「ラグナード」

「よう、久しぶり」

 茜空のような髪と、キラリと輝く金の瞳。

 引き締まった体躯を持つ、背の高い狼人族の青年が颯爽と入って来るところだった。

 ようやくこの町で彼と再会できた。




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