気づいたら異世界ライフ、始まっちゃってました!? 

飛鳥井 真理

文字の大きさ
178 / 308
第一章 辺境の町

第178話 幻術耐性の魔道具

しおりを挟む

 早ければ明日からラグナードと合流するかもしれないので、まずは迷いの魔樹対策用に、幻術耐性の魔道具を買う。
 先日、店主のマールさんに、パーティーメンバー連れて近々再訪すると約束していたのだが、思いの外早く向かうことになった。



 メイン通りから一本外れた道を少し進んですぐのところに、お店がある。

 お昼の時間帯だからか、ちょうど他にお客さんがいなかった事もあり、カウンターからすぐマールさんが出て来てくれた。迷いの魔樹討伐の話すると、喜んで相談にのってくれた。

 さすがにこの町で長年、冒険者相手の商売をしているだけあってお詳しい。

 奴らは、季節を問わず突発的に森の浅い部分まで出て来るらしく、毎年装備の整っていない新人冒険者が何人か犠牲になっているんだとか。
 一度確認されると場合によっては侵略の期間が長引く可能性もあり、たとえすぐ収束したとしても森での活動を続ける限りはいつ出くわしてもおかしくないらしい。

 手頃な値段で売っている使い捨ての魔道具より、効果が弱くとも継続的に使えるものを選んだ方がいいとのこと。
 パーティーメンバーに人族以外の種族がいる場合は、サポートを受けられるからって。
「幻術耐性+1上昇」でも、あまり近くまで行かなければ十分役に立つとアドバイスしてくれた。



 リノは他にも魔力と持久力に不安があるので、MP回復アイテムがあれば欲しいと言っていた。
 ここしばらく乾燥させた水玉茸を毎日食べているので調子がいいらしいけど、魔力総量が増える訳ではないからね。
 私の魔法の補助がなければ長時間の活動はまだ難しいとのことで、負担を減らす為にも自己強化をしたい、と。体力や持久力はMPに依存するからね。
 幻術耐性とMP回復のどちらも重要だし、先に買うのはどっちにすべきか迷っていて、マールさんに相談したかったみたい。

「お嬢ちゃんが考えているよりずぅっと、人族は迷いの魔樹の幻術に弱いんだ。足手まといになりたく無いなら、まずは魔力の補強より幻術対策の魔道具を買っといた方がいい」

「……確かに今日、私は幻術に掛かったのを気付けませんでした。あらかじめローザに教えて貰っていたにも関わらずです。大分離れていたのに、抵抗出来なかったって……」

「そうだろ?」



 あの時、本人には術に掛かっているという自覚が全く無かったんだよね。

 特に何か匂いがするとか幻を見せられて誘われたとか具体的なものはなく、自然と意識が自分から切り離されて曖昧になっていく感じだったらしい。らしいと言うのはその曖昧さにさえ気づけて無かったから。

 私も彼女が少しフラついた時にハッとして、とろんっとなった目を見て初めて幻術に掛かったんじゃないか……と気づけたぐらい。
 それまでは正気に見えてたし、正確にどの時点で幻術の影響を受けたのかは分からなかったけど。手を繋いでなかったら、はぐれていたかもしれない……。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

異世界ママ、今日も元気に無双中!

チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。 ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!? 目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流! 「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」 おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘! 魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...