気づいたら異世界ライフ、始まっちゃってました!? 

飛鳥井 真理

文字の大きさ
55 / 308
第一章 辺境の町

第55話 なんか拾っちゃった

しおりを挟む


「食べ物の匂いがする~~!!」

 そのまま勢いよく起き上がって、こっちに身を乗り出してきた!

 ちょっ、近い近い!! 

 なんなのこの子めっちゃ元気いいじゃん!?

 腕を掴んだまま、ジーっと、目を見開いて食べ物の入った袋をガン見してる!

 そんな見たら穴開くって! 

 怖いってば……ちょっ、匂いかがないで~!!



「わ、分かったから! あげるからちょっと待って!!」

 慌てて袋から取り出す。早くしないと腕ごと食べられそうな勢いなんですけど~!!

 明日食べようと思っていた、さっきの昼食の残りを包んだやつ、それを丸ごと全部渡してあげた。

 目一杯急いだけど待ちきれなかったのか、うわっ、すごいよだれ!

「はい、召し上がれ!」

「いただきます!」

 許可した途端、 待てを解除された犬みたいに、口を大きく開けると一気に貪りついた!



 一体いつから食べてなかったんだろ。すっごい勢い、マンガみたいな食べ方だな!?
 喉詰まらせそうで見てて怖いから、魔法で水を作って、水袋に入れ、そっと渡してあげた。

「ありがとうございますっ。ううぅっ、おいひいれす~!!」

 頬っぺたを食べ物でパンパンに膨らませ、泣きそうになりながらも食べる速度は落ちない。
 そうやって食べながらもまだ袋をガン味してくるので、デザートに食べようと思って採ってきておいた果物も追加してあげた。

 で、すっからかんになったよね、私の食料!

 全部食べつくされちゃった……人族怖い。こんなに食べるもんなの? これじゃ食料なんていくらあっても足りないんじゃない?

 よかった、宿にラビット袋置いてきてて。あの保存食まで狙われたらやばかった!



 瞬く間に食べきってしまった後……ようやく名前を聞くことができた。

 リーノちゃんっていうらしい。

「初対面の方にご迷惑をおかけしてすみませんでした」

 先程の狂乱が嘘のように、礼儀正しく頭を下げてお礼を言ってくれた。

「いっぱいの食べ物とお水をありがとうございました! ものすごくお腹が空いてて死にそうだったので、とっても助かりました。あっ、私の事はよかったらリノって呼んでください。村では皆にそう呼ばれてたのでっ」

「こちらこそよろしく、リノ。じゃあ、私もローザって呼んでね」

「はいっ、ローザ。よろしくお願いします!」



 お互い自己紹介した上で、ちょっと聞きたいことがあった。

「村からってことは、一人で旅して来たの? あなたまだ成人してないんじゃない?」

 胸だけは立派なものをお持ちだけど、他はいろいろとちみっちゃいし、どうみてもまだ子供なんだけど。

「えっと、よく間違われるんですがこれでも十五歳で成人済みなんですよ、私。兄弟も多かったので、成人したら家を出て冒険者になろうって決めてたんです。そして、自分の稼いだお金で、お腹いっぱい美味しいものを食べれる人になるのが目標です!」

「そ、そうなんだ」

「はいっ」

 ぎゅっと両手を握りしめ、きりっとした顔で力強く教えてくれた。

 目標がはっきりしてていいね。ただ……顔中にいっぱいの食べかす付いてなければもっと決まってたと思うよ、うん。



 この町に来ようと決めたのには理由があって、村に来る行商人から領主様が町中にパンの木を植えて領民に無償で振る舞っているって聞いたからだそう。

「初めて聞いた時、夢のような町だと思いました。絶対そこで冒険者になるんだって!!」

 で、ボトルゴードの町が目の前に見えてきて、感激して、その瞬間とてつもない空腹に襲われて倒れてしまったんだそう……なんでだ、お姉さんにはよく分からない謎理由だよ。


 ともかく目的地は同じだってことが分かったので、このまま町まで一緒に行くことにした。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

無能勇者の黙示録~勝手に召喚されて勝手に追放されたので勝手に旅に出ます~

枯井戸
ファンタジー
力も強くない、足も速くない、魔法も使えないし、頭も大してよくない、どこにでもいるちょっとオタク趣味の主人公・東雲真緒が白雉国に勇者として転生する。 同期の勇者はそれぞれ力が強かったり、魔法が使えたり、回復ができたりと各々の才能を開花させ頭角を現していくのだが、真緒に与えられた才能は異世界転生モノでよく見る〝ステータスオープン〟のみだった。 仲間には使えないと蔑まれ、ギルドには落第勇者の烙印を押され、現地人には殺害されかけ、挙句の果てに大事な人を亡くし、見ず知らずの土地の最底辺で生きていくことになった真緒だったが、彼女はまだ〝ステータスオープン〟の可能性に気づいていないだけだった。 ───────────── ※投稿時間は多少前後しますが毎日投稿は続けていくつもりです。 ※タイトルは予告なしにガラリと変わる場合があるのでご了承ください。 ※表紙は現在の主人公のイメージ図です。もしまた別の国へ行く場合、彼女の装いも変化するかもしれません。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

異世界ママ、今日も元気に無双中!

チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。 ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!? 目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流! 「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」 おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘! 魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

「俺が勇者一行に?嫌です」

東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。 物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。 は?無理

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

処理中です...