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第一章 辺境の町
第55話 なんか拾っちゃった
しおりを挟む「食べ物の匂いがする~~!!」
そのまま勢いよく起き上がって、こっちに身を乗り出してきた!
ちょっ、近い近い!!
なんなのこの子めっちゃ元気いいじゃん!?
腕を掴んだまま、ジーっと、目を見開いて食べ物の入った袋をガン見してる!
そんな見たら穴開くって!
怖いってば……ちょっ、匂いかがないで~!!
「わ、分かったから! あげるからちょっと待って!!」
慌てて袋から取り出す。早くしないと腕ごと食べられそうな勢いなんですけど~!!
明日食べようと思っていた、さっきの昼食の残りを包んだやつ、それを丸ごと全部渡してあげた。
目一杯急いだけど待ちきれなかったのか、うわっ、すごいよだれ!
「はい、召し上がれ!」
「いただきます!」
許可した途端、 待てを解除された犬みたいに、口を大きく開けると一気に貪りついた!
一体いつから食べてなかったんだろ。すっごい勢い、マンガみたいな食べ方だな!?
喉詰まらせそうで見てて怖いから、魔法で水を作って、水袋に入れ、そっと渡してあげた。
「ありがとうございますっ。ううぅっ、おいひいれす~!!」
頬っぺたを食べ物でパンパンに膨らませ、泣きそうになりながらも食べる速度は落ちない。
そうやって食べながらもまだ袋をガン味してくるので、デザートに食べようと思って採ってきておいた果物も追加してあげた。
で、すっからかんになったよね、私の食料!
全部食べつくされちゃった……人族怖い。こんなに食べるもんなの? これじゃ食料なんていくらあっても足りないんじゃない?
よかった、宿にラビット袋置いてきてて。あの保存食まで狙われたらやばかった!
瞬く間に食べきってしまった後……ようやく名前を聞くことができた。
リーノちゃんっていうらしい。
「初対面の方にご迷惑をおかけしてすみませんでした」
先程の狂乱が嘘のように、礼儀正しく頭を下げてお礼を言ってくれた。
「いっぱいの食べ物とお水をありがとうございました! ものすごくお腹が空いてて死にそうだったので、とっても助かりました。あっ、私の事はよかったらリノって呼んでください。村では皆にそう呼ばれてたのでっ」
「こちらこそよろしく、リノ。じゃあ、私もローザって呼んでね」
「はいっ、ローザ。よろしくお願いします!」
お互い自己紹介した上で、ちょっと聞きたいことがあった。
「村からってことは、一人で旅して来たの? あなたまだ成人してないんじゃない?」
胸だけは立派なものをお持ちだけど、他はいろいろとちみっちゃいし、どうみてもまだ子供なんだけど。
「えっと、よく間違われるんですがこれでも十五歳で成人済みなんですよ、私。兄弟も多かったので、成人したら家を出て冒険者になろうって決めてたんです。そして、自分の稼いだお金で、お腹いっぱい美味しいものを食べれる人になるのが目標です!」
「そ、そうなんだ」
「はいっ」
ぎゅっと両手を握りしめ、きりっとした顔で力強く教えてくれた。
目標がはっきりしてていいね。ただ……顔中にいっぱいの食べかす付いてなければもっと決まってたと思うよ、うん。
この町に来ようと決めたのには理由があって、村に来る行商人から領主様が町中にパンの木を植えて領民に無償で振る舞っているって聞いたからだそう。
「初めて聞いた時、夢のような町だと思いました。絶対そこで冒険者になるんだって!!」
で、ボトルゴードの町が目の前に見えてきて、感激して、その瞬間とてつもない空腹に襲われて倒れてしまったんだそう……なんでだ、お姉さんにはよく分からない謎理由だよ。
ともかく目的地は同じだってことが分かったので、このまま町まで一緒に行くことにした。
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