気づいたら異世界ライフ、始まっちゃってました!? 

飛鳥井 真理

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第一章 辺境の町

第207話 とっても美味しいらしい

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 木の幹にポコポコと寄生していて、大きいものは両手で抱えきれないくらいになる真っ白なキノコ。見た目はオニフスベに似ているかな?

 二日で大きくなり、十日程で胞子を噴出してしぼんでしまうので、ちょうどいい収穫時期に出会うのが難しいんだとか。
 でも大丈夫。目の前には、今が食べ頃のがいっぱいくっついている。私達のパーティーには『幸運』スキル持ちが二人もいるからか、いい時に来れたみたいだねっ。嬉しいな!

 白チーズ茸は、一旦、収穫さえしてしまえば萎むことはなく、乾燥させて長期保存もできると鑑定結果にも出ているし……。

「これはもう、採るしかないね!」

「ですね! 私の村では沢山採れたとき、贅沢に厚く切ってステーキにして食べてましたよっ」

「なにそれ美味しそう! 自分達用にもぜひ欲しいなっ」

「よしっ。じゃあ、魔樹の捜索も上手くいっているし、今日はこれを収穫してから帰るか!」

「「賛成!!」」


 というわけで、張り切って収穫し始めた。ただ、大きな白チーズ茸から採る予定なので、沢山あってもそんなに数は採れないかも。背負える分だけしか無理だし、三人の背負子はすぐにいっぱいになりそうです。

 それに『鑑定』結果に出ているように幹にしっかりとくっついているので、一つ採るのに時間もかかるし……美味しいって聞いちゃうと、もっと欲しくなるけど仕方がないよね。

 硬いので万能ナイフのノコギリ部分を使って、一つずつ丁寧に切り取っていった。

 まだまだいっぱい残っているので、また近いうちに来ようと約束して今日はもう帰る事にした。






 その日の夕方、町に戻ってから、白チーズ茸を直接お店に持ち込んで買い取りして貰った。

 ラグナードの行き付けの居酒屋さんと、それぞれが宿泊している宿屋の併せて三ヶ所なんだけど、どこでも大層喜んでくれたんだよね。
 やっぱり品薄になっているらしく、今の時期は市場でも中々手に入らないそう。

 結局、自分達用に一個ずつ確保する予定のものも、懇願に負けて泣く泣く引き渡してしまった。後で食べようと思ってたのに残念っ。
 まだまだあったことを伝えると、ぜひとも追加で納品して欲しいと依頼されたので、三人で相談して明日また採りに行くことを決めた。今度こそ自分達用にも欲しいからね!

 お店からすれば、市場での価格が高騰しているので冒険者から直接買い入れする方がお得だし、私達も冒険者ギルドよりかなり高い値で買ってもらえるしで、双方共に利害が一致したからいいんだけど。

 それに、そろそろブーツを買い換えたかったのでお金が必要だったから。

 連日、ほぼ人跡未踏の地に通って戦闘を繰り広げているせいなのか、一月も経っていないのに、私とリノのはすでにボロボロになっちゃってるんだよね。

 ラグナードに聞いたら、私達が履いているような普通のブーツは、森での活動だとすぐ駄目になるので、ちゃんと「物質強化」の付与魔法が掛かった物を買った方がいいとのこと。それでも一ヶ月持つかどうからしいけど。

 魔道具屋さんで売っているというので、この後、ギルドに行く前に寄って行くことになった。




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