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第一章 辺境の町

第202話 カモフラージュ

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「うん、正解。リノの出身地は東門を出て三日ほど先の村にあるって言ってたじゃない? だから、ちょうどいいんじゃないかって」

「確かに。そっち側から出たら故郷に帰ったのかもしれないって、思うかもしれません。それに、ダンジョン都市や王都へ行くのも東門からが一番、行きやすいですし、いいカモフラージュになります」

「それ、彼も言ってた。この時期の冒険者の移動先としては違和感なく自然だからいいだろうって。でも、私達もいずれは行ってみたいよね?」

「ええ。力をつけてお金を貯めてから、一緒に行きましょうよっ。絶対、美味しい物もたくさんあると思いますし、今から楽しみです!」

「ふふっ、そうだね。いつか必ず、一緒に行こう」

「はいっ」

 ニコニコと同意して頷いてくれたリノの顔を見ながら、もしかしたらその時は、ラグナードと一緒に旅立てない可能性もあるんだと思うと、少ししんみりしてしまう……。

 彼はいつまで私達といてくれるんだろう? この短期間で随分と良くしてもらって仲良くなったから、きっと別れは寂しくなる。

 その時が来るのがなるべく先になるといいなと思いながら、続けて明日の計画を話す。

「と言うことで、ジニアの村へは東門から一旦出て、大回りして夕方頃に辿り着く予定らしいから、そのつもりでいてね」

 私達には土地勘がないので、道順は完全にラグナードにお任せだけど、日が暮れる迄には到着出来そうだということも伝える。

「分かりました。いずれバレるかもしれませんが、少しでも発見を遅らせることができたらいいですね。ラグさん、色々と考えてくださったんですねぇ」

「うん、ありがたいよね。だから今日はしっかり休めって言われた。寝る前の魔法の練習とかも無しで」

「はい」



「あ、それと他にも色々あるから、これも手分けして持とう。シルエラさんからもらったお土産とか、スライム工房の新作の絶対防御スーツとかね。後はポーションの追加と、魔法薬とかも。魔法薬はね、あったら便利だから是非って薦められて買ってきたんだ」

「うわぁ、いっぱいですねぇ。シルエラさんからのお土産、いつもながら美味しそうです! こっちの大きい方の瓶、私が持って行きますね。そしてこの軟膏が、お薦めの魔法薬ですか」

 薬を手に取って見ていたリノが、何かに気づいたようだ。

「この瓶、村に売りに来てくれてたのとよく似ています」

「そうなの?」

「はい。うちの村は小さいですから専門の薬局とかは無かったんです。ただ、小さな雑貨屋さんがあって、そこに定期的に薬も卸してくれてたんですよ」

 そう言って懐かしそうに魔法薬を見ていたリノだが、私が効能を話したところ、彼女の知っている薬よりも上等の物だとわかった。

 何だろう……例えるならリノの村にあった傷薬は、日本の病院でもらえる薬っぽい感じ? 市販薬よりはよく効くけど、即効性がそこまでではないというか。

 対して今買手元にあるこれは、ほぼ一瞬で傷口が塞がる感じだといっていたから、全然効き目が違う。




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