異世界転移が決まってる僕、あと十年で生き抜く力を全部そろえる

谷川 雅

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第三部・第18話 「動き出す国家構想――油芋庁、設立への道」

☀️ 油芋畑にて――確かな手応え
「これなら……王都の全人口分も、まかなえるな」
陽介は収穫を終えたばかりの油芋畑を見渡し、深く頷いた。
この“油芋”――特殊な土壌と堆肥、湿度と温度を管理することで高品質の植物油へと変化する奇跡の作物は、いまや王国の未来を左右する燃料源となりつつある。
だがその一方で、情報が広がるにつれ、粗悪な“模倣栽培”も増えていた。
「……このままだと、油芋の評判そのものが危ういな」
信頼を損ねれば、市場も政策も崩れる。
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📋 紬の手帳と、陽介の提案
その夜。ミズノ農場の執務室。
紬は資料を広げ、油芋の等級試験をにらんでいた。
「ツム、話がある」
「……ん? どうしたの、陽ちゃん」
陽介は手元のメモを見せながら言った。
「このままだと、油芋が“普通の商品”として流されていく。
でも、これは“インフラ”なんだ。
だから国が制度化して管理すべきだと思う」
「つまり、“エネルギー庁”を作れってこと?」
「その制度設計を……ツムにお願いしたい」
紬は驚きながらも、すぐに笑みを浮かべる。
「……うん。やってみる。
だって私たち、現世で“会社”作って、制度も仕組みも一緒に作ってきたんだもんね」
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🕊️ 王都・レオネルへの書簡
翌日、陽介はレオネル宛に緊急の使いを出す。
「“油芋”を国家インフラとする提案です。
現在、無認可の生産が乱立し品質にばらつきが出ております。
規格化・検査制度・国家備蓄を含む法整備をお願いしたく存じます。
制度設計には、共同創業者のミズノ紬が当たります」
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🏛️ レオネルの決断(王都視点)
レオネルは書状を読み終え、政務官たちに向き直った。
「“次世代の火”は、今、ミズノ農場にある。
貴族たちの利権がどうのと騒ぐ前に、“国としての基盤”を築かねばならん」
政務官たちが一斉に頷く。
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🛠️ ミズノ農場・品質管理室、始動!
「まずは、栽培条件を明文化する。土壌分析、温湿度帯、堆肥比率……」
紬は農場の一角に“品質管理室”を立ち上げ、動き出していた。
• 規格書の整備
• 検査魔導士の配置
• 出荷先ごとの履歴管理(魔符による追跡)
• “国家認証マーク”の設計案
「ツム、すごいな……」
「会社作るときもやったでしょ?あの頃のExcel地獄に比べれば楽勝だよ」
「……あれは地獄だったな」
笑い合う二人。その背には、未来のインフラを背負う責任があった。
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🔖 エピローグ:新たな称号
数日後、王都より正式な通達が届いた。
「王政庁内に“農業エネルギー管理庁”を創設します。
初代技術顧問官に、ミズノ紬殿を任命。
制度設計・流通基準制定にあたるものとする」
紬は封を閉じると、そっと陽介を見た。
「いよいよ、本当に国の一部になるんだね。
この芋も、この農場も、この……私たちの物語も」
「“成り上がる”って、こういうことなんだな」
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