異世界転移が決まってる僕、あと十年で生き抜く力を全部そろえる

谷川 雅

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第三部・第19話 「空席の椅子と、実働の手――“管理庁”始動す」

🏛 王都・政務庁にて
「農業エネルギー管理庁の長官席は……現在“空席”とする」
レオネルのその言葉に、政務官たちがざわつく。
「だが、政策立案・運営・現地指導の全権は、
 ミズノ紬技術顧問に委任する」
「……では長官は?」
「いずれ、正当な資格を持つ者に託す。
 その準備は、私が進める」
視線の先には、空席の“長官席”。
レオネルの脳裏には、ある男の顔があった。
「ミズノ陽介――この国の“未来を耕す者”に、ふさわしい爵位を」
________________________________________
📝ミズノ農場・実働する紬
「次、王都南部の油芋収穫地からのサンプル届いたよ」
「ありがとう。含油率検査、30分後に魔導班と確認するわ」
紬は既に、事実上の“管理庁長官”だった。
指示を出し、資料をまとめ、現場を飛び回る日々。
王都から派遣された若い職員たちも、彼女のもとで成長していた。
________________________________________
☕陽介と紬の夜の会話
その夜、陽介は視察帰りに紬の執務室を覗く。
「ツム……倒れてない?」
「まだ倒れてないよ、団長」
「いや、“庁長”だろ」
紬は笑って言い返す。
「今だけ、ね。
……でも、いずれ陽ちゃんが子爵になって正式な長官になったら、私は戻るよ。
あなたの隣で、また畑を一緒に耕したいから」
陽介は静かに頷いた。
「待たせないよ。レオネルさんが、裏で爵位の根回ししてくれてる」
「……さすが、陽ちゃんの友達だね」
「いや、あの人、いつの間にか“陽介の出世のために王都動かすマン”になってない?」
二人で笑い合う。
けれど、その笑いの奥には、お互いの信頼と絆があった。
________________________________________
💼レオネルの根回し(王都視点)
レオネルは貴族会議にて、冷ややかな視線を受けていた。
「農奴上がりの若造に爵位を、とは……」
「国を動かすのは、血筋ではなく、実績です。
 ――そして陽介殿は、国の“火”をともした男です」
「ふん、理想家め」
レオネルは内心で笑った。
(お前たちがその“火”で、いつかあぶられる日が楽しみだよ)
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📜エピローグ:王命
王政庁より正式な布告が届く。
「ミズノ農場を中核とする“農業エネルギー計画”の本格始動に伴い、
管理庁長官の座は空席とするが、当面は技術顧問ミズノ紬が実務を担うものとする。
ただし、“王命を受けし者”が任にふさわしき爵位を得たとき、これを補任することとす」
その“王命を受けし者”の名が伏せられていても――
誰もが、次の長官が誰であるかを理解していた。
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