異世界転移が決まってる僕、あと十年で生き抜く力を全部そろえる

谷川 雅

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第3部 第52話 「直売所オープンと民宿第一号――“三本柱”の現場」

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🏷 直売所、のれん上がる
ミズノの街・東口広場。新設の「農場騎士団 直売所」に朝日が差し込む。
「のれん、上げます!」
紬の合図で、白地に“MIZUNO”の紋が染め抜かれたのれんがゆっくり掲げられた。店先には艶やかなトマト、香草の束、火山地帯ブランドの甘芋、湿地帯の葉物がずらり。
「値札は“生産者名・収穫日・等級・価格”の四点セット。価格は公表、改ざん禁止」
「はいっ!」
開店と同時に行列が雪崩れ込み、呼び込みの声が飛ぶ。
「本日の試食は“ポテリエのふわとろスープ”と“火山甘芋チップス”でーす!」
子どもが目を輝かせ、旅商人は帳面をめくる。若い農家が緊張で固まるのを見て、陽介が肩を叩いた。
「大丈夫、畑でやってきたことをそのまま伝えればいい」
「……はい、団長!」
________________________________________
🔍 品質と“学び直し”
昼前、検査台に水っぽいトマトが上がった。紬が比重計を覗き、首をかしげる。
「潅水、前日多すぎ。朝どり前は絞って、夜に与える。糖度、上げられるよ」
「う、うちの畑、水はけ悪くて……」
陽介が地図を指しながら手早くアドバイスする。
「畝を5度だけ高く、側溝を一本増やす。来週、大学の土木班も見る。直し方を一緒にやろう」
農家は深く頭を下げた。「次は絶対、等級Aを取ります!」
「等級は目的じゃない、“美味い”の正体を掴む道標だ」陽介が笑うと、周りの空気がほぐれた。
________________________________________
🛏 農家民宿・第一号
午後、郊外の“みどりかぜ農家民宿”に、王都からの家族連れが到着した。
「いらっしゃいませ。今日は畑で香草摘み、夕方は油芋コロッケ作りです」
「コロッケ!」子どもが跳ねる。
夕暮れ、土間の台所に笑い声が満ちる。刻まれる香草、揚がるコロッケ、鍋ではポテリエがとろり。
「外はさくっ、中は……あつっ、うまっ!」
「畑で採ったの、ぜんぶ味が濃いね」
宿の女将が目を細める。「また来ておくれ。次は春の豆、そして夏のトマトだよ」
帰り際、家族は宿帳に大きく書いた。――“星五つ。また来ます”。
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