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第3部 第77話 「海水野菜、いざ発芽!……のはずが?」
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王都の郊外に新設された共同研究温室。
ミズノ農業大学の技術者と、魔法大学の研究者が入り混じり、妙ににぎやかな空気が漂っていた。
「よし……いよいよだな。」
陽介は塩分濃度を計測した海水タンクを確認しながら呟く。
「塩分濃度3.5%、現生の海水と同じ。これで発芽してくれれば、第一関門突破だ。」
「ええ、あとは魔法大学の皆さんの“塩分分解魔法”がちゃんと効けばね。」
紬は小声で隣の魔導士を見る。
そこにいたのは、紫色のローブを着た初老の男――植物魔法の権威、マルセロ教授だ。
「ふぉっふぉっ。任せたまえ。塩分を“塩の精”に変えてどこかへ飛ばしてしまう魔法だよ。」
「いや、それ……精霊が塩好きじゃなかったらどうするんです?」
陽介のツッコミに、教授は胸を張って答える。
「その場合は……説得する。」
「説得って、生き物じゃないですよね?塩……」
紬が額を押さえる。
________________________________________
種まきから三日後。
「……あれ? 発芽がまばらだな。」
陽介は双眼ルーペで芽を確認しながら眉をひそめる。
「教授、塩の精霊さん……ちゃんと仕事してます?」
「ふぉっふぉっ。おかしいな、昨日も塩抜きの詠唱を唱えたのだが……」
「……教授、ひとつ聞いていいですか?」
「なんじゃ?」
「昨日の詠唱、温室の外でやってませんでした?」
「おお、よく気づいたな!外のほうが声が響くからな!」
「……」
紬と陽介、同時に頭を抱える。
「教授、それじゃこの中の塩分、減ってないですから!」
________________________________________
急きょ対策会議が開かれ、現生式の淡水混合システムと魔法の塩分分解を組み合わせる案が決定された。
若手魔導士がタンクの上で呪文を唱え、同時に陽介がバルブを操作する。
「お、芽が……!」
紬の声に全員が身を乗り出す。
小さな緑の芽が、海水をたたえた土から力強く顔を出していた。
「やったな……第一歩だ。」
陽介の声は小さいが、確かな熱がこもっていた。
ミズノ農業大学の技術者と、魔法大学の研究者が入り混じり、妙ににぎやかな空気が漂っていた。
「よし……いよいよだな。」
陽介は塩分濃度を計測した海水タンクを確認しながら呟く。
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「いや、それ……精霊が塩好きじゃなかったらどうするんです?」
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「その場合は……説得する。」
「説得って、生き物じゃないですよね?塩……」
紬が額を押さえる。
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種まきから三日後。
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「教授、塩の精霊さん……ちゃんと仕事してます?」
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「昨日の詠唱、温室の外でやってませんでした?」
「おお、よく気づいたな!外のほうが声が響くからな!」
「……」
紬と陽介、同時に頭を抱える。
「教授、それじゃこの中の塩分、減ってないですから!」
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若手魔導士がタンクの上で呪文を唱え、同時に陽介がバルブを操作する。
「お、芽が……!」
紬の声に全員が身を乗り出す。
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陽介の声は小さいが、確かな熱がこもっていた。
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