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第二部・第1話「分かたれた世界、繋がる決意」
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🌍現世:2025年4月13日 午前2時15分――
「……陽介!」
白衣の裾をひるがえし、紬はラボに飛び込んだ。
電子機器が焼け焦げたような臭い。中央の机のそばで、陽介が仰向けに倒れていた。
「だめ、意識は……でも、呼吸してる。脈もある。体温も――正常」
冷静に。深呼吸。
彼女はスマホを取り出し、119番を押した。
「はい、救急です。研究室で人が倒れています。意識はありませんが、脈と呼吸はあります。……はい、住所は――」
救急車を待つ間、紬はPCにログインし、取締役に一斉連絡を送る。
「緊急招集:午前6時。社内会議室にて。CEO・水野の状態と今後について」
心臓は速く打っていたが、思考は澄んでいた。
3か月後、自分も陽介と同じ場所へ行く可能性がある。
その間に――やるべきことは、山のようにあった。
________________________________________
⚔異世界:陽介――
「っく……ここ、は……?」
白い光に包まれた直後。
陽介は、草原の真ん中にいた。
空が青い。重力が軽い。身体が――妙に動く。
(……俺、生きてる?)
目を伏せれば、背負ってきた《油芋-01》の保存ケースは無事。
剣道着の下に仕込んでいた、トレーニングスーツもそのままだ。
「チートはない、って聞いてたけど……言語、通じるな。道端にある標識も読める。
それに、この跳躍力……10mは余裕。身体能力も上がってる」
目の前に、小さな村の影が見えた。
だが――まず資金がいる。
左手を見ると、そこにはソーラークオーツの腕時計。
「……魔道具ってことにすれば、売れるか?」
________________________________________
🌍現世:午前3時30分――
「陽介くんはICUに入りました。心肺ともに問題はなく、脳波も安定。ただ――意識が戻る兆候がありません」
医師の言葉に、紬は静かにうなずいた。
(これは……やっぱり、転移したんだ)
病院の外でタクシーを呼び、彼女は両親と陽介の両親に連絡を入れ、陽介の状況を説明する。
「お義父さん、お願いがあります。
今後、CEOとして陽介が戻るまでのあいだ、株主としての代理出席を……」
「私の方も、同じようになる可能性が高いんです。陽介さんのお母さんに代理をお願いしたい」
――伝えるべきことは山ほどある。
でも、もう決めていた。
「私たちは、戻ってくる。だからお願い。“この会社”を守ってください」
「陽介さんはずっと親孝行をしたいと言っていました。その親孝行の一つがこの会社なんです。」
________________________________________
⚔異世界:陽介、時計を売る
村の道具屋の老人は、陽介の時計をしげしげと眺めた。
「……こりゃあ、珍しいな。魔力が感じられんのに、動いておる。太陽の力か?」
「ええ、“太陽属性の魔道具”ってことにしておいてください」
「……2000グランスでどうだ?」
「……それでお願いします」
陽介は袋を受け取り、一礼する。
(まずは、ギルドだ。そこで登録を……ん?)
掲示板にあった紙に目が止まる。
『王都近衛騎士団 戦士枠・補充選抜 倍率200倍。
合格者には家・武具・食糧・給金すべて支給。』
「倍率200倍……? 面白いじゃねぇか」
「……陽介!」
白衣の裾をひるがえし、紬はラボに飛び込んだ。
電子機器が焼け焦げたような臭い。中央の机のそばで、陽介が仰向けに倒れていた。
「だめ、意識は……でも、呼吸してる。脈もある。体温も――正常」
冷静に。深呼吸。
彼女はスマホを取り出し、119番を押した。
「はい、救急です。研究室で人が倒れています。意識はありませんが、脈と呼吸はあります。……はい、住所は――」
救急車を待つ間、紬はPCにログインし、取締役に一斉連絡を送る。
「緊急招集:午前6時。社内会議室にて。CEO・水野の状態と今後について」
心臓は速く打っていたが、思考は澄んでいた。
3か月後、自分も陽介と同じ場所へ行く可能性がある。
その間に――やるべきことは、山のようにあった。
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⚔異世界:陽介――
「っく……ここ、は……?」
白い光に包まれた直後。
陽介は、草原の真ん中にいた。
空が青い。重力が軽い。身体が――妙に動く。
(……俺、生きてる?)
目を伏せれば、背負ってきた《油芋-01》の保存ケースは無事。
剣道着の下に仕込んでいた、トレーニングスーツもそのままだ。
「チートはない、って聞いてたけど……言語、通じるな。道端にある標識も読める。
それに、この跳躍力……10mは余裕。身体能力も上がってる」
目の前に、小さな村の影が見えた。
だが――まず資金がいる。
左手を見ると、そこにはソーラークオーツの腕時計。
「……魔道具ってことにすれば、売れるか?」
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🌍現世:午前3時30分――
「陽介くんはICUに入りました。心肺ともに問題はなく、脳波も安定。ただ――意識が戻る兆候がありません」
医師の言葉に、紬は静かにうなずいた。
(これは……やっぱり、転移したんだ)
病院の外でタクシーを呼び、彼女は両親と陽介の両親に連絡を入れ、陽介の状況を説明する。
「お義父さん、お願いがあります。
今後、CEOとして陽介が戻るまでのあいだ、株主としての代理出席を……」
「私の方も、同じようになる可能性が高いんです。陽介さんのお母さんに代理をお願いしたい」
――伝えるべきことは山ほどある。
でも、もう決めていた。
「私たちは、戻ってくる。だからお願い。“この会社”を守ってください」
「陽介さんはずっと親孝行をしたいと言っていました。その親孝行の一つがこの会社なんです。」
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⚔異世界:陽介、時計を売る
村の道具屋の老人は、陽介の時計をしげしげと眺めた。
「……こりゃあ、珍しいな。魔力が感じられんのに、動いておる。太陽の力か?」
「ええ、“太陽属性の魔道具”ってことにしておいてください」
「……2000グランスでどうだ?」
「……それでお願いします」
陽介は袋を受け取り、一礼する。
(まずは、ギルドだ。そこで登録を……ん?)
掲示板にあった紙に目が止まる。
『王都近衛騎士団 戦士枠・補充選抜 倍率200倍。
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「倍率200倍……? 面白いじゃねぇか」
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