異世界転移が決まってる僕、あと十年で生き抜く力を全部そろえる

谷川 雅

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第二部・第8話「王都潜入! 芋奪還大作戦」

🕶 王都・市場地区・早朝
陽介は、騎士団の外套に身を包み、フードを深くかぶっていた。
隣では、レオンが軽装に剣だけを腰に下げ、完全に“スパイ映画ごっこ”のテンションである。
「なあ、俺たち……ほんとに騎士団だよね?」
「心配するな。これは“自主捜査だ”。誰にも迷惑はかけてない」
「嘘だ。俺の胃袋に一番迷惑かけてる」
「芋を取り戻したら、屋台の焼き芋10本おごる」
「いまここで誓って下さい、レオン副隊長」
「よかろう、我が剣にかけて」
ふたりはそんな軽口を叩きながらも、視線は常に鋭く周囲を警戒していた。
________________________________________
🌉 王都・露店街の裏通り
レオンがこっそり指さした。
「陽介、見ろ。あれ、うちの芋だ」
そこには、見覚えのある油芋が、“魔力燃料草”という謎ネームで並べられていた。
商品説明にはこう書かれていた。
「魔石を凌駕する熱量! 魔導鍋でも使える画期的新素材! 本日限り3割引!」
「勝手に割引すんなああああああ!!」
でも燃料として売っているということはこっちの世界では、保存しなくても燃料になるんだな。
陽介が今にも突っ込みに走りそうなのを、レオンが羽交い締めにして止める。
「待て、敵の拠点を突き止めてからだ」
「……分かった。でも、あれ俺がスコップで植えたやつなんですよ……」
「気持ちは分かる。俺も昔、盗賊に家宝の壺を“調味料入れ”として売られたことがある」
「例えが絶妙にイヤすぎる」
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🧥 商会倉庫・潜入
ふたりは日が暮れるのを待ち、商会の裏手から倉庫へと潜入する。
レオンが片膝をついて鍵を開け、陽介が静かに扉を押し開ける。
「中に……あった。芋だ。しかも発芽した分まで保管されてる」
「ってことは、種芋の試験栽培、こっちでも始めてるかもしれない……」
ふたりが芋の回収を始めたそのとき、背後の扉がバタンと閉じられた。
「ようこそ、“魔燃商会”へ」
現れたのは黒服の男と数名の私兵。
男は片手に試験用の油芋の抽出液を持ち、ニヤリと笑った。
「君が“農耕剣士”陽介くんか。いい噂を聞いているよ。交渉しよう。君をうちに引き込めば、芋ごと合法的に我々の物になる」
陽介は即答した。
「無理ですね。俺、食い物盗むやつとは口も利きたくないんで」
レオンが刀の柄に手をかける。
「こっちも、話し合いには応じる気はない。以上」
「残念だ」
男が指を鳴らすと、私兵たちが一斉に抜刀。
陽介も竹刀を構え、目を細めた。
「副隊長どうしますか?」
「突っ込め。芋だけは死守だ」
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⚔倉庫内バトル
陽介の竹刀が風を切る。
木剣とは思えない速さと重さで、私兵の一人の腕を叩き落とす(剣ごと)。
レオンは魔力の風を纏って舞うように剣を振る。
「陽介!右! 2人来る!」
「こっちは任せて下さい。!」
芋の箱を守るように立ち回るふたり。
打撃で敵を昏倒させ、最小限の被害で制圧していく。
最後に、男が油芋に火を点けようとしたところ――
「させるかァアアア!!」
陽介の“農耕剣・畝返し”が炸裂し、床がえぐれて男が転倒。火が消えた。
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🚚脱出・騎士団への帰還
盗まれた芋を詰め込んだ荷車を引きながら、王都の裏道を戻る陽介とレオン。
「なあ……なんで俺たち、騎士団員なのにこんなに泥だらけで、盗賊みたいなことしているんでしょうか?」
「それが正義ってもんだろ」
「副隊長、かっこいいこと言ってますけど……焼き芋10本、覚えてますよね?」
「約束だ。王都で一番の焼き芋屋、連れてってやるよ」
ふたりは満月の夜を背に、笑いながら騎士団へと戻っていった。
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