魔王復活!

大好き丸

文字の大きさ
67 / 151

第六十六話 ギスギス

しおりを挟む
教室に入ると最近いつも机に突っ伏していた竹内の姿はなかった。

「ふ、三日続かなかったな…」

春田と虎田は窓際の端席に向かう。それに追従するように木島がついてきた。何が気に入らないのか、まだ許してくれないらしい。昨日、目を付けられてから明らかに敵視されている。

(やっぱ呼び捨てにしたのが悪かったのか?)

春田は虎田に洗った弁当箱を返したかったが、クラスメイトには知られたくない様だったので、返却する事が出来ない。別に腐るわけでも臭うわけでもないので、後々返せれば問題ないのだが、(忘れたら困るなぁ…)と気分の悪さを感じていた。

「今日さ~授業何だっけ?」

そこで気づく。(あ、友人同士の会話だ)ついてきたと感じたのは勘違いで、木島は虎田の席で駄弁っているだけ。いわゆる負の面で捉えすぎていたわけだ。前の席では自分の近くにグループがいなかったので静かなものだった。席替えはどうでも良かったが多少の弊害があったわけだ。(弊害は言い過ぎか…)

「一限目は現社だったと思うけど?」

「あ~、あのおばちゃんか…今日英語なかったっけ?」

実にこの学園の女子らしい発言だ。馬鹿にするわけではないが、一応、進学校のこの学園で、英語のみの会話に花を咲かせるのは如何なものかとも思ったりする。別に授業を好きになれとは言わないものの、他にも力を入れる所はあるんじゃないかと耳の端で聞いて思った。

「みーちゃんそればっかだよね。同年代にそういうのはいないの?」

「ちょっと~みゆきの趣味じゃないからって突き放さないでよ~。男子は近すぎてそんな気にならないのよね~。やっぱ恋人は年上男子が理想よ」

ふふんっと得意気だ。意外だったのは虎田がマイケルに興味がなかったことだ。木島の言う通り単純に趣味じゃないって事なんだろうけど、この学園の女子は少なからずマイケルに好意を抱いているというイメージがあったからだ。

「ねぇ、さっきからだんまりだけど聞いてるんでしょ~?あんたはどうなの?」

「あんた」という言葉の真意が分からない。春田は自分の事じゃないと無視するが、「聞いてんの?」ともう一度聞いてきた。視線を向けると、木島と目が合う。

「…俺?」

「は?他に誰がいるのよ」

何故か会話に加えられた。(友人同士で会話してればいいものを…)

「えっと…聞いちゃいたが、俺に何が聞きたいってんだ?マイケルの事か?」

聞いていた事を否定しないと「キモ…」とボソリと言った後、手を振って否定する。

「みゆきが言ったでしょ?同年代の子に誰か気になる子とかいないわけ?」

「…みーちゃん失礼だよ」

確かに今のはどう考えても喧嘩に発展しそうな一言だった。春田も思う所はあったので切り返す。

「いるかもな、お前じゃない事は確かだ」

「は?」木島は春田の言葉にイラっと来るが、「それはなにより。あんたに好かれたら自殺もんだわ」とそっぽを向いた。
ギスギスした空気の中に竹内が入ってくる。春田を見るなり「うぃーっす」という気の抜けた挨拶をする。

「おはよう竹内さん」

「お、おはよう竹内さん…」

虎田と木島はそれに返答する。手をひらひらさせてそれに答える。春田の目の前まで行くと、ふんっと鼻で笑って、「…今日早いじゃん」と一言。

「お前もな。今日は自分の席で寝てろ」

と吐き捨てた。完全にタイミングが悪かったとしか言いようがない。「いや…あの…」と虎田が取り繕おうとするが、「冷た…」といいつつ目の前の席に座る。

「機嫌悪いじゃん…どしたん?」

と珍しく寄り添うような形で話を聞いてくる。そこで春田は自分がよっぽどさっきの言葉でイラついていたんだと知り、内心反省する。

「いや…すまん。虫の居所が悪くてな。お前には関係ない事なのに…」

「なにそれ、ウッザ!」

といって木島は離れた。

「…なんかあった?」

「何でもないさ、それより早く来たな」

ふんっと壁に寄りかかると不満そうに言葉を出す。

「…昨日はアタシの方が早かったけど…」

ブーたれて上目遣いで春田を見る。

「春田くんごめんね。みーちゃん普段はあんなんじゃないのに…」

「いや、俺こそ大人げなかった。後で謝っとくよ…今言っても聞いてくんないだろうし…」

春田は横目で木島を見る。木島もこっちを見ていたのか、一瞬目が合うと、プイッと顔を背けた。それを見た春田は顔に不安を滲ませる。

「これは一筋縄じゃ行かないぞ…」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

魔道具は歌う~パーティ追放後に最高ランクになった俺を幼馴染は信じない。後で気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界転生者シナグルのスキルは傾聴。 音が良く聞こえるだけの取り柄のないものだった、 幼馴染と加入したパーティを追放され、魔道具に出会うまでは。 魔道具の秘密を解き明かしたシナグルは、魔道具職人と冒険者でSSSランクに登り詰めるのだった。 そして再び出会う幼馴染。 彼女は俺がSSSランクだとは信じなかった。 もういい。 密かにやってた支援も打ち切る。 俺以外にも魔道具職人はいるさ。 落ちぶれて行く追放したパーティ。 俺は客とほのぼのとした良い関係を築きながら、成長していくのだった。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話

紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界―― 田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。 暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。 仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン> 「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。 最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。 しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。 ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと―― ――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。 しかもその姿は、 血まみれ。 右手には討伐したモンスターの首。 左手にはモンスターのドロップアイテム。 そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。 「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」 ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。 タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。 ――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

お小遣い月3万
ファンタジー
 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

処理中です...