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第三章 勇者
第十二話 怪魔剣
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伝説の武器。
それは創生の時代からあるとされる最高にして最古の武器たち。
何を隠そう、今ある武器はこの伝説の武器を模して創造されている。時代毎にアレンジが加わり、様々な武器を作り出したが、その原型となるのは伝説の武器である。
その中の一つ、歪な形をした剣。柄が本来の剣の柄より幾分か長い上、くの字に曲がり、持てる部分が多い長い片刃の剣である。くの字に曲がった柄を銃床に見立てて構え、照準を定めて撃つことが出来る。
古くは怪魔剣と呼ばれ、使用者の能力に応じて刃先から魔力を放射する。
昨今このタイプの剣が開発され、回数制限付きだが魔力を放出させることに成功していた。擬似的に魔剣使いになれるという事から人気になりかなり値段は張るが、売れ行きは良い。商品名を「ガンブレイド」としている。
その大元がここにある。
「ガンブレイド?巷ではそう呼ばれているのか…」
ブレイドはその若さに見会わない口調で感心する。
「最近、ドワーフの介入で贋作の開発に成功したって噂だ。技術の進歩だぜ!俺はよく武器屋に行くんだが、ガンブレイドは特別高くてな…知り合いの武器好き店主から、よく聞かされたよ。7つの伝説の武器の事」
アルルはラルフの方を首をかしげながら見る。
「その贋作達を見てたなら、尚更混乱しない?これがデッドオアアライブだってよく気づいたね」
「俺はトレジャーハンターだ。宝物は本物でないと売れないんだよ。審美眼を鍛えとかないと食っていけないのさ」
胸を張って鼻高々にふんぞり返る。トレジャーハンターという職業がわからないアルルは、盗賊だろうと思い「ふーん」となげやりに返答する。
ミーシャはその剣を弄んでブレイドに質問した。
「家宝とか言ったわね。ラルフの言う通り伝説の武器なら、国宝にでもなりそうなもんだけど、なんで一個人が持ってるの?」
そこである。
伝説の武器は現在、四本が貯蔵されている場所を公開している。弓、直剣、斧、槍が左から順番に、エルフ、ヒューマン、ドワーフ、そしてマーマンがそれぞれ持っている。
残る三つが短剣、曲剣、そして怪剣。それらは失われたと噂されている。
「この武器は俺の親が使用していた。…魔剣に類する武器は所有者を選ぶ。つまり、そういう事だ」
つまりは本人が使用できる状況でなくなった後も特に寄贈することなく家宝として保管している…というより使用しているのだ。
ラルフは顎に手を当てブレイドを見る。
「なるほど…てことは君の親はブレイブだな?」
その言葉に驚いてブレイドもアルルもラルフを信じられない目で見る。
「何故、その名を…」
ブレイブ。突如現れた英雄。伝説の武器を所持し、弱者を助ける本物の勇者。
しかし、その歴史もたった十年。
公式では魔族に殺されたと発表があったが…
「実際には全てを放り出して雲隠れしたと裏の情報筋は語っている。ハッキリとした証拠があるわけじゃないが、俺は信じていた」
ミーシャの持つ武器を指さし、
「そして、それが証拠だな」
「ふーん…ブレイブなんて聞いたことないけど、そんなのいたんだ」
ラルフは呆れた顔でミーシャを見る。(そりゃお前と万が一戦ってたら、公式発表の方が正しくなるだろ…)という顔だ。
「…全くその通りだ」
「ブレイド!」
ブレイドはアルルの困惑をよそに語り始めた。
「俺の親父、ブレイブは人を裏切った。ギルドメンバーのアスロンさんが手引きして、逃げ切れた」
「なるほど…君らがここに隠れる理由がそこにあるようだな…」
その理由を聞くような無粋な真似は出来ないが、ミーシャには関係がない。
「なんで?理由は?」
「なんでって、お前…そこ聞いちゃう?」
ミーシャは気になると夜も眠れない。この質問は彼女にとっては何より重要だった。ブレイドはアルルをチラリと見る。アルルは首を振るが、ブレイドはそれに対して首を振る。隠しても仕方ないと言うことだろう。
「親父は魔族に恋をした。最初こそ気の迷いだったかもな…だが結果、魔族との間に俺が生まれた」
「半人半魔か!?」
例がないわけではないが、生き残った試しはない。人にも魔族にも迫害される。その為、そんな事になった場合は一族郎党皆殺しだ。
アスロンという仲間が、手引きしなければ、死んだ可能性があったのだ。
それを聞いたミーシャは顔を赤くして黙る。
自分と重ねてだ。
言っちゃったって感じでアルルは目を隠した。
「とにかく、これについては以上だ。もうあなたたちの物だ。売るなり何なり、好きにしてくれ」
ブレイドは座って俯いて黙ってしまう。
アルルも珍しく神妙な顔で黙っている。
「あのさ…常識的に考えて、売れると思うか?これは国宝だぞ?」
「? 裏で売れないの?」
ミーシャは机に怪魔剣を置いて、ラルフを見る。
「無理じゃないが…それより手に入れた方法を聞かれる。今聞いた情報を売る方が金になるぜ?」
「…それは困る」
アルルはギロリという擬音が聴こえそうな程、鋭い目で見ている。ミーシャほどではないが明確な殺意を感じる。
「待て待て、俺たちも退っ引きならない状態にあるんだ。今、人の国には入れない…」
だからこそ、ミーシャのコネクションに頼った。
ブレイドとアルル的にはラルフのメンバーを考えるとそりゃ入れるわけがない。
どうすれば人魔大戦時に魔族と一緒に行動を共にすることがあるのか?まぁそれは自分の親父にこそ言いたいからそこは黙っておく。
「だとするなら、これは返すしかないな…」
「ええ?もったいない…」
ラルフはデッドオアアライブをブレイドに返す。
だが、これではミーシャの気が治まらないだろう。
「だから、ベルフィアとウィーを含めた俺たちを一晩泊めてもらえたら、それでチャラにしよう」
それは創生の時代からあるとされる最高にして最古の武器たち。
何を隠そう、今ある武器はこの伝説の武器を模して創造されている。時代毎にアレンジが加わり、様々な武器を作り出したが、その原型となるのは伝説の武器である。
その中の一つ、歪な形をした剣。柄が本来の剣の柄より幾分か長い上、くの字に曲がり、持てる部分が多い長い片刃の剣である。くの字に曲がった柄を銃床に見立てて構え、照準を定めて撃つことが出来る。
古くは怪魔剣と呼ばれ、使用者の能力に応じて刃先から魔力を放射する。
昨今このタイプの剣が開発され、回数制限付きだが魔力を放出させることに成功していた。擬似的に魔剣使いになれるという事から人気になりかなり値段は張るが、売れ行きは良い。商品名を「ガンブレイド」としている。
その大元がここにある。
「ガンブレイド?巷ではそう呼ばれているのか…」
ブレイドはその若さに見会わない口調で感心する。
「最近、ドワーフの介入で贋作の開発に成功したって噂だ。技術の進歩だぜ!俺はよく武器屋に行くんだが、ガンブレイドは特別高くてな…知り合いの武器好き店主から、よく聞かされたよ。7つの伝説の武器の事」
アルルはラルフの方を首をかしげながら見る。
「その贋作達を見てたなら、尚更混乱しない?これがデッドオアアライブだってよく気づいたね」
「俺はトレジャーハンターだ。宝物は本物でないと売れないんだよ。審美眼を鍛えとかないと食っていけないのさ」
胸を張って鼻高々にふんぞり返る。トレジャーハンターという職業がわからないアルルは、盗賊だろうと思い「ふーん」となげやりに返答する。
ミーシャはその剣を弄んでブレイドに質問した。
「家宝とか言ったわね。ラルフの言う通り伝説の武器なら、国宝にでもなりそうなもんだけど、なんで一個人が持ってるの?」
そこである。
伝説の武器は現在、四本が貯蔵されている場所を公開している。弓、直剣、斧、槍が左から順番に、エルフ、ヒューマン、ドワーフ、そしてマーマンがそれぞれ持っている。
残る三つが短剣、曲剣、そして怪剣。それらは失われたと噂されている。
「この武器は俺の親が使用していた。…魔剣に類する武器は所有者を選ぶ。つまり、そういう事だ」
つまりは本人が使用できる状況でなくなった後も特に寄贈することなく家宝として保管している…というより使用しているのだ。
ラルフは顎に手を当てブレイドを見る。
「なるほど…てことは君の親はブレイブだな?」
その言葉に驚いてブレイドもアルルもラルフを信じられない目で見る。
「何故、その名を…」
ブレイブ。突如現れた英雄。伝説の武器を所持し、弱者を助ける本物の勇者。
しかし、その歴史もたった十年。
公式では魔族に殺されたと発表があったが…
「実際には全てを放り出して雲隠れしたと裏の情報筋は語っている。ハッキリとした証拠があるわけじゃないが、俺は信じていた」
ミーシャの持つ武器を指さし、
「そして、それが証拠だな」
「ふーん…ブレイブなんて聞いたことないけど、そんなのいたんだ」
ラルフは呆れた顔でミーシャを見る。(そりゃお前と万が一戦ってたら、公式発表の方が正しくなるだろ…)という顔だ。
「…全くその通りだ」
「ブレイド!」
ブレイドはアルルの困惑をよそに語り始めた。
「俺の親父、ブレイブは人を裏切った。ギルドメンバーのアスロンさんが手引きして、逃げ切れた」
「なるほど…君らがここに隠れる理由がそこにあるようだな…」
その理由を聞くような無粋な真似は出来ないが、ミーシャには関係がない。
「なんで?理由は?」
「なんでって、お前…そこ聞いちゃう?」
ミーシャは気になると夜も眠れない。この質問は彼女にとっては何より重要だった。ブレイドはアルルをチラリと見る。アルルは首を振るが、ブレイドはそれに対して首を振る。隠しても仕方ないと言うことだろう。
「親父は魔族に恋をした。最初こそ気の迷いだったかもな…だが結果、魔族との間に俺が生まれた」
「半人半魔か!?」
例がないわけではないが、生き残った試しはない。人にも魔族にも迫害される。その為、そんな事になった場合は一族郎党皆殺しだ。
アスロンという仲間が、手引きしなければ、死んだ可能性があったのだ。
それを聞いたミーシャは顔を赤くして黙る。
自分と重ねてだ。
言っちゃったって感じでアルルは目を隠した。
「とにかく、これについては以上だ。もうあなたたちの物だ。売るなり何なり、好きにしてくれ」
ブレイドは座って俯いて黙ってしまう。
アルルも珍しく神妙な顔で黙っている。
「あのさ…常識的に考えて、売れると思うか?これは国宝だぞ?」
「? 裏で売れないの?」
ミーシャは机に怪魔剣を置いて、ラルフを見る。
「無理じゃないが…それより手に入れた方法を聞かれる。今聞いた情報を売る方が金になるぜ?」
「…それは困る」
アルルはギロリという擬音が聴こえそうな程、鋭い目で見ている。ミーシャほどではないが明確な殺意を感じる。
「待て待て、俺たちも退っ引きならない状態にあるんだ。今、人の国には入れない…」
だからこそ、ミーシャのコネクションに頼った。
ブレイドとアルル的にはラルフのメンバーを考えるとそりゃ入れるわけがない。
どうすれば人魔大戦時に魔族と一緒に行動を共にすることがあるのか?まぁそれは自分の親父にこそ言いたいからそこは黙っておく。
「だとするなら、これは返すしかないな…」
「ええ?もったいない…」
ラルフはデッドオアアライブをブレイドに返す。
だが、これではミーシャの気が治まらないだろう。
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