一般トレジャーハンターの俺が最強の魔王を仲間に入れたら世界が敵になったんだけど……どうしよ?

大好き丸

文字の大きさ
597 / 718
第十四章 驚天動地

第四十五話 墜ちる

しおりを挟む
 ベルフィアと別れ、爆走していたラルフは鍛冶場に到着し、その扉を大きく開けた。

「ウィー!居るか!?」

 鍛冶場に常駐している子ゴブリンのウィーを真っ先に探す。大広間より少し広いが、身体強化を施したラルフには差程苦もなく見て回れる。
 陰になりそうな場所を名前を呼びつつ隈無く探し、誰も居ないことを確認すると、次に必要となりそうなものを探し始める。武器だの材料だのを次元に放り込んで、鍛冶場を後にした。
 次に向かうは制御室。そこに行くまでの道程で、拷問部屋や倉庫などにも顔を覗かせ、誰も居ないことを確認しつつ走る。
 グゴゴゴッ……と響き渡る軋みに焦りを感じ始めた頃、目の前に光る玉を見つけた。

「あっ!おーいっ!!」

 光の玉の中にアルルやジュリア、デュラハン姉妹を認め、声を張り上げた。アルルたちもラルフの存在に気付き、大きく手を振った。ふよふよと浮いて要塞からの脱出を図ろうとしているが、如何せん速度が足りていないように思える。

「ラルフさん!何処に行ってたんですか?!」

「話は後だ!ウィーも居るな!すぐにここから出してやるから!」

 ラルフは次元の壁を叩き、すぐさま出入り口を作成する。

「ラルフ!あなたはどうする気なの?!一緒に出るのでしょう?!」

 イーファは魔障壁に手を這わせながらラルフに尋ねる。

「ああ、後でな。……って、そんな顔すんなよ。俺ならいつでも出られる。安心しろよ」

 ふよふよと浮いて進まない魔障壁を後ろから押して次元の穴に押し込む。既にワープホールとして完成しているこの穴は、先ほどゼアルと戦っていた岬から少し離れた浜辺へと繋がっている。
 炎の柱を確認したラルフたちは、その浜辺に一旦移り、安全を確保した後に要塞へとやってきている。もし、黒曜騎士団の前に放り出して万が一にも捕まる事態に陥れば、要塞から助け出す意味もなくなるからだ。
 正直ここまでの危機は想定していなかったが、経験則と直感力に従ったお陰で上手くいったと自負出来る。
 ラルフはワープホールをさっさと閉めると、すぐさま走って制御室へと入った。

「まだ落ちんなよ~……」

 制御装置である脳みそのスタチューの前に立つ。ポケットに手を突っ込んだラルフはネックレスを取り出す。

「これを押し当てれば良かったのか?アスロンさん」

『うむ。唐突に接続が切れたからのぅ。壊れた断片から記憶を同期して何があったのかを復元、複製する』

 ラルフは宝石部分を制御装置に押し当てる。ネックレスが光を放ち、制御装置も薄っすらと光を放った。

「……いつまで掛かりそうかな?もし時間が掛かりそうなら無理に同期しなくても……」

『あ、もう大丈夫じゃ』

「早っ!」

『最新最古の情報は全て儂が握った。儂の我儘を聞いてくれて感謝するぞ』

 まだ当てたばかりで10秒も立っていなかったと認識しているが、そんなに一瞬で出来るものなのかと感心してしまう。これに関してはアスロンという大魔導士であることと、既に肉体を捨てた思念体であることが大きい。魔法の専門家である彼が、思念体として魔道具の中に入り込めば、その全貌をいち早く知れるということ。

「やっぱりトウドウさんが悪いのか?」

『うむ。ウィーを利用し、ここまで入り込んだかと思ったら、その目的は破壊ときた。到底許されることではない』

「そうか……」

 ラルフは藤堂との今までを振り返っていた。愚直に目的に向かって邁進する実直な男。ラルフの親父の仇を討ってくれた情に厚い恩人。親友と呼びたいくらいの功績だ。そんな恩人の突然の裏切り行為。千年の恋が冷めてしまうように、その信頼も壊れていく。

『儂としては放置しても構わん。トウドウは不死身の肉体を持っている。そんなのに構っておったら、いくらミーシャ殿でも辟易するだろうしのぅ』

「……つっても俺たちの住居を奪ったんだ。このまま何も無しってんじゃ割に合わねぇ。落とし前はきっちりつけさせてもらうぜ……」

 傾く要塞の中で静かな闘志を燃やすラルフ。
 その頃、ベルフィアは居住スペースで仲間たちと合流を果たしていた。八大地獄の連中も含めれば結構な人数である。これらを一気に浜辺へ移す方法は転移魔法。全員が手や足等に連なれば後はベルフィアが頑張るだけだ。

「行くぞ?覚悟は良いか?」

「待てよ。ロングマンが居ねぇ。今さっきケルベロスとの攻防で吹っ飛ばされて以来だ。……俺は残るぜ」

 ジニオンは土壇場になって文句を言い始めた。

「ふんっ、勝手にするが良い。傷がつくのも死ぬのも妾ではない」

 選ぶのは自分自身。その決定を捻じ曲げることも、説得もしない。あくまで助けるのはブレイドたち仲間。八大地獄の面々は敵であり、おまけである。尚更「知るか」と言いたくなるというもの。
 ベルフィアは杖を振りかざし、転移魔法を使用した。ほとんどのものはジニオンを残して先に浜辺へと到着した。

「あ!アルル!!」

 ブレイドは浜辺に着いた途端にアルルを発見する。アルルも「ブレイド!」と答え、合流するなり抱き合った。今生の別れを言い渡され、劇的に再開したかのような二人に多少の違和感を感じたが、そんなことより衆目すべきことがある。

「ああ……わたくしたちの要塞が……」

 メラの発言にみんなの目が要塞に向く。夜の闇に紛れて見えにくいが、ケルベロスの炎で辛うじて見えている限りでは、海に墜ちていったように見える。
 思い出の住居、空中浮遊要塞”スカイ・ウォーカー”はある程度の脱出が完了した直後、その役目を終えたかのように海の藻屑となった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

処理中です...