一般トレジャーハンターの俺が最強の魔王を仲間に入れたら世界が敵になったんだけど……どうしよ?

大好き丸

文字の大きさ
632 / 718
第十五章 終焉

第二十八話 勝機は何処に?

しおりを挟む
 力を制御されたエレクトラの前に現れたミーシャ。圧倒的有利から圧倒的不利へとあっという間に転落し、肉体の崩壊はもはや幾ばくもない。

『このぉ……!!図に乗るなぁ!!』

 ボワッ

 体から溢れ出る魔力。エレクトラは特異能力だけが能ではなく、通常通り魔力を使用することも出来る。でもそれは付け焼き刃にしか過ぎず、魔力戦はほとんど初めてだ。もしこれだけで勝負を挑むなら、そう長くは戦えないだろう。
 だがそれで良い。エレクトラの狙いはアンチフィールドからの脱出であり、撹乱だけ出来ればその隙にスルリと効果範囲から出てまた仕切り直せる。そうと決まれば両手に魔力を集中させ、攻撃のタイミングを窺う。

『私に近付けばまた彼方へと吹き飛ばしてやるっ!!だからそこを退けぇっ!!』

 ドンッ

 空気を震わし、放たれる魔力砲。二つのビームの向かう先はミーシャ。しかしその砲撃はミーシャの魔障壁に簡単に防がれる。瞬き一つしないミーシャの眼光にエレクトラの背筋は凍る。

『……まだだ!!』

 一度防がれたぐらいでは折れない。魔力の続く限り撃ち続ける。諦めない先にこそ勝機があると信じて──。



 そこは白い空間。いつもの見慣れた光景に頭を抱えたくなった。
 もう肉体は消滅して抱える手も無いのだが……。

『貴様もかエレクトラ』

 その声に意識を集中させる。

『……ユピテルね』

 いつからそこに居たのか、ユピテルはこの空間に溶け込む様な白い椅子の上に腕を組んで鎮座している。他にももう一つの気配があることに気づく。

『アトムまで帰って来てたなんて……あなたたち二人きりなのは珍しいわね』

『好きでここにこうして居ると思うのか?我々は負けたのだよ』

『へぇ、負けたねぇ……。ならばすぐ再戦を仕掛ければ良いじゃない?こんなところで腐ってなくて、即殺しに行けば気持ちも晴れると思うのだけど?』

 エレクトラの言っていることは正しい。ここは言うなれば神々の復活リスポーン地点。
 自らが作り出した肉人形アバターに意識を入れ、神は下界へと降りる。何らかの事情でアバターを破壊された時、アバターは消滅して意識だけがここに戻ってくる。つまりはアバターさえ作れば何度でも制限なく降りられる。
 アトムはアバターを作るのを面倒臭がり、元々いる下界の生き物に取り憑いて意識ごと肉体を奪ってしまう。神々の間でも何度か議論を開いたくらい悪質な行動だが、結果は『まぁ創造主だし』で片付けられている。

 エレクトラの殺伐とした問い掛けに対し、ユピテルが無言で指を差すことで答えた。あそこを見ろと言わんばかりの雰囲気に流されて視線を向けた先にはサトリの姿があった。

『……サトリのせいで面倒なことになってるわよ?』

『ふふっ、その様ですね。あなたほどの特異能力を以(もっ)てしてもミーシャに勝てませんでしたか。私の創造物を誇るべきか、はたまたあなたがたの実力不足に言及すべきか迷っています』

『何だと!?貴様ぁっ!!』

 憤慨するユピテル。ここまで言われて平気なのは今この場には居ない。アトムもエレクトラも怒っているが、言葉に出していないだけだ。サトリはヘラヘラ笑わって煽っている。

『そんなに怒ってもここからは出してあげませんよ?』

『……えっ封鎖?嘘でしょ?!ここで私たちを封じて何になるの?!』

『邪魔なので出て行かないでくださいってしてるだけです』

『あなたはどうなの?!ここから出ていけなくちゃ、あいつらの動向なんて探れないでしょ!?それでもいいわけ?!』

『私が居なくたって、自分で自分を見つけて旅立てる子達です。私は信じているので大丈夫なんです』

 サトリの困った様な、それでいて爽やかな笑みは彼女の強固な意志を感じ、身を呈してでも神の進出を防ごうとしている。

『ふんっ、困った奴だ。とはいえ、どう転んでも時間の問題であろうな。未だイリヤもネレイドも戻っては居ないし……いつでも出られる様に、ここでこうしてゆるりと奴らを殺す手段を考えるのも悪くは無い。我らの時間は無限。大いに利用せねばサトリにも失礼だろう?』

 アトムは今までの無策を改め、サトリの奇行によって出来た時間で戦法を考え始めた。神の力は戻っているのだ。もっと良い戦術が浮かぶだろう。
 四柱は沈黙する。次に動きがあるのは下界で猛威を振るおうとしている残り六柱の内の誰かが戻って来た時だろう……。



「……え?今見えなかったんだけど……」

 ラルフはミーシャの振り抜いた拳の先で消えていくエレクトラの姿を見ながら呟いた。ミーシャは拳を胸元に戻し、ラルフに向かってピースサインを送る。

「へっ、敵わねぇな……流石だぜ」

 エレクトラとの勝負は何とか死人も出さずに終わった。
 野良オークの討伐を終えた西の大陸はエルフが占拠し、ヒューマンの居住区”ジュード”は長い歴史の中で初めて魔障壁を解除することとなる。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

処理中です...