一般トレジャーハンターの俺が最強の魔王を仲間に入れたら世界が敵になったんだけど……どうしよ?

大好き丸

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第十五章 終焉

第四十三話 ヘパイストス

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 神々の息もつかせぬ攻防から解放されてより一ヶ月が経過しようとしていた。

 イリヤとの決着の後、ラルフたちは居住区域ジュードから離れ、ひと山越えた先の丘でロッジを建てて過ごしていた。
 アンノウンの召喚獣”ヘパイストス”と呼ばれる鍛治の神を使用して雨風を凌げる小屋を建てたのだ。鍛治の神と言っても実際は名ばかりの、アンノウンがこうあって欲しいと創造した物言わぬ職人である。現在はヘパイストスを複数体召喚し、移動要塞を建造中だ。

「……要塞というより船って感じだけどな」

 ラルフはポツリと呟く。アンノウンは得意げに胸を張った。

「空を航行する船ってロマンあるでしょ?にしても、よくこれだけの鉱石を集めたものね」

 その視線の先にはドワーフからもらった船の材料である鉱石が、うずたかく円錐状に積み上がり、存在感を主張する。

「ああ、ウィーのお陰さ。ドワーフの鍛冶場で働く代わりに鉱石をもらうって交換条件を出したんだ。そしたらこの通り……って、おいおい何だその顔?俺がウィーを出稼ぎに行かせてるとでも言いたげだな」

「違うの?」

「誤解するのも無理はねぇが違う。最初は俺も反対してたんだぜ?どうしても行きたいって体全身で訴えてきたから仕方なくって感じだな。多分鍛治師としての血が騒ぐとかその辺じゃねぇかと睨んでるが……ドワーフ連中もウィーを先生と崇めて技術をもらおうとしてるし、あいつにとっちゃ今が一番楽しんじゃねぇかと思ってるぜ」

 ドワーフは頑固な堅物で知られているが、技術と酒にはもっぱら弱い。ウィーの技術に目を見張り、試行錯誤の末に自分たちの技術を磨いていく。ウィーが喋れない中にあっても「技術は目で盗むもの」を地で行く彼らにはそこまで不自由するものでもなかったようだ。
 技術の向上を見る度にウィーに感謝をし、食べ物を献上している姿は少し滑稽だったが、そんなにまで求められる存在であったウィーの姿は誇らしかった。
 かつてはドワーフの王と対立してでもウィーを守ろうとしたが、実は大きなお世話だったのかもしれない。

「守るべきは同種のゴブリンに対してだけだったようだな……」

 魔族が激減した昨今、世界の情勢は変わっている。今まで日和って争いに参戦しなかったゴブリンたちは目の色を変えたように各地へと侵攻し、領土の拡大を図っていた。彼らは今や人類の敵となりつつある。

「ラルフー!」

 遠くで呼んでいる声がする。ミーシャが手を振っているのが見えた。ラルフは手を振り返しながら鼻で笑う。

「やっと起きたみたいだな。昨日夜更かししてたんだぜ?朝起きらんねぇぞって言ったんだけどな」

「何それ、惚気のろけ?未成年の私にして良い会話なんだよね?」

「当たり前だ。俺がオススメの本を紹介したら延々と読んでただけってオチ。それじゃ後はよろしく頼むぜ」

 ラルフはアンノウンと別れてミーシャと合流する。イミーナとベルフィアも一緒に行動していたようで、一気に四人が集まる形となる。

「建造は調子が良いみタいじゃノぅ。出来上がルノが楽しみじゃて」

 ヘパイストスがゴーレムのように休みなく作っているお陰で作業効率が良い。その上、最高の腕前。完璧なものになることは約束されたも同然である。

「召喚魔法と言いましたか?会得出来るものなら是非ご教授願いたいですね」

「いや、無理だろ。あれは特異能力だぜ?アンノウンの再現なんて誰にも出来やしない。不可能だよ。……つっても召喚魔法は実在していて、文献にも残ってて、その上魔法陣は同じ形。やろうと思えば出来るのかもしれねぇな」

 とかなんとか軽口をたたいたが、本心では召喚魔法をラーニングすることは不可能だろうと考えている。藤堂源之助や八大地獄の連中が、初めてこの世界に来た複数人の中の一人がこの力に覚醒した可能性もある。即ち召喚魔法などはじめから存在しなかった説だ。
 アンノウンと初めての出会った時、召喚の魔法陣にいの一番に反応を示したのはラルフだったが、今は召喚魔法など存在しなかった説がラルフの中で勝手に有力視されている。

「ねぇ、あれって動力源はどうするの?ガワだけじゃ動かないでしょ?」

「前のを使えば良いって白絶の案さ。上手いことサルベージしてくれりゃ良いんだけどな」

 白絶はイリヤとの戦いで敗北を喫し、結果ラルフに助けられた。この恩を返すべく、彼女は海へと出向いたのである。

「今暇だし白絶の元に行ってみっか?」

「良いじゃん!行こ行こ!」

 ラルフの質問に即座に反応を示すミーシャ。この瞬間にベルフィアとイミーナも一緒に行かなくてはならなくなった。イミーナの苛立ちなどどこ吹く風のラルフは、プチ旅行をブレイド他、皆に伝えて大陸から飛び出した。
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