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最終章
第六話 結果オーライ
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コォンッ……コォンッ……
遠くから聞こえてくる金属を叩く音に、建造されている戦艦の完成が近付いたことを悟る。
巨大な船だ。複数本の支え棒がその巨体を転がさないように頑張っている。
アンノウンは召喚した鍛冶の神ヘパイストスをどんどん増やし続けて数十体に及び、建造速度を段々と早めて行った。
「召喚の数に限界はないのか?」
ラルフは現場監督と化したアンノウンに質問する。
「召喚時と召喚獣の維持に魔力を掛けてるよ。能力の振り分けで掛かるコストを自分なりに下げてるつもりだから、これだけ多くの召喚に成功したのさ。ほら、最初に比べてヘパイストスたちの体が小さくなってるでしょ?」
確かにそうだ。最初は見上げるほど大きかったヘパイストスが目線の高さにまで小さく召喚し直されている。
「数は力なりか。流石だな」
この世界では見かけることの出来ない金属の船。地上で見上げているために全体を見ることが出来ないが、近未来的な船のデザインに圧倒されていた。
「それにしてもすごい船だな……強靭で頑強で巨大で……こんなものが空を飛んでたら誰だって震えあがっちまうぜ」
ラルフの顔に自然と笑みが浮かぶ。黒光りする強そうな船に乗れるなんて男の子の夢だ。しかも空飛ぶ船となればなお一層の事興奮する。
ミーシャはそんなラルフの横顔を見て嬉しそうにしている。
「造形も滑らかで職人の手際の良さを感じるよね。それにしてもこの形は誰が考えたの?あなたたちの故郷ではこれが普通だったり?」
「金属加工の技術が発達しているから、これが普通といえば普通かな。……戦艦は普通じゃないけどね。歩がデザイン案を出してくれたからそれに従ってる感じ。私も少し良い案出してるから期待しててよ」
アンノウンは腕を組んで踏ん反り返る。しきりに感心しているラルフとミーシャの背後に居たベルフィアが眉を潜ませながら口を開く。
「見タ目は良いが、居住性はどうじゃ?こノ中で生活すルんじゃから半端は許されんぞ?」
「抜かりないよ。その昔私たちの国の最強の戦艦は居住性がまるで高級ホテルのようだったって話だからね。魔法で空間を歪めているから広さも申し分ないと思うよ」
「ほぅ?そこノところは浮遊要塞に似とルノぅ……」
「フッフーン。あれを基準にするなら……まぁ楽しみに待ってて。完成まではもうすぐだから」
勿体ぶるアンノウン。肩透かしを食らった気になるベルフィアを放っておいて、ラルフが口を開く。
「完成間近か……頃合いだな。よし、それじゃみんなに話したいことがある。お昼に話そうと思うからそのつもりで居てくれ」
「え?なになに?」
「今後の方針って奴だ」
*
──バァンッ
「何を馬鹿なっ!!」
机を破壊する勢いで叩いたのはベルフィアだ。ラルフの話を聞いて激昂したようだ。
それも当然のこと。ラルフの能力でこの世界から離脱するというのだ。神の聖域で誰にも相談なく勝手に色々決めて来たのだから、みんなにとっては寝耳に水の珍事である。正直意味が分からない。
「仕方がないだろ?そうしないとあそこから出ていけない雰囲気だったんだから……この世界から出て行くっつっても一時的なものだぜ?実は考えがあってな……?」
「考えも何も……助かりたかった一心ではなくて?」
メラの一言で空気が冷える。それに被せるようにイミーナが口を開く。
「あなたの出たとこ勝負にはうんざりしていたところです。神を欺いたところは評価いたしますが、ここに来てわたくしたちも欺こうというのですか?どうなのですラルフ」
ここぞとばかりに攻め立てる姿はまるで水を得た魚だ。ラルフはバツが悪そうに後頭部を掻いている。見兼ねたブレイドは割って入る。
「ちょっと待ってください。ラルフさんは確かに即興の多い方ですが、その都度上手く行ってます。無事に意識が戻られたことからもそれは健在。となれば話の一つや二つ聞く価値はあると思いますが?」
その都度は言い過ぎだが、大抵は上手くいっている。それは事実。ならばブレイドに免じて話を聞くのもやむなしである。
「ありがとうブレイド」
ラルフはアイコンタクトにも感謝を込める。ブレイドは一つ頷いて下がった。
「俺がお前らを欺くなんてとんでもない。メラの言葉を否定出来ないのは残念だが、ちゃんと考えはある。実は少し前から考えていたことさ」
みんなが静かに聞く中にあってラルフの目が藤堂で止まった。
「……俺?」
「そうトウドウさん。初めてあったその時から自分の世界に帰りたがっていたのを俺は知ってる。アンノウンもだ。アユム……はどうか知らないけど帰りたいよな?」
全員の目が歩に向く。歩は驚いて少し固まっていたが、すぐに何度も頷いた。
「そうだよな?つまり何が言いたいかというと、俺の力で異次元に穴を開けて元の世界に帰してあげようって考えたのさ。他の次元に穴を開けられるのは俺かパルスの大剣だけだ」
「阿鼻は……」
静観していたパルスは首を振る。
「別の場所に飛ばさない。……取り込むの」
ラルフは口をへの字に曲げて周りを見渡し、肩を竦めた。
「そうか。……それじゃ俺だけだな」
「それじゃこういうこと?神の溜飲を下げるために追放を選択した。私たちを帰す名目を隠して……?」
アンノウンは困り顔でラルフに聞いた。
「ああ、まぁ……結果的にそうなっただけだよ。今思えば、別の世界に行くとなればあいつらは全力で邪魔しに来ただろうな。たまたま、出たとこ勝負が良い方向に向いたようだぜ。な?イミーナ」
イミーナはイラっとした顔をラルフに向けた。それに対してミーシャが得意そうに腕を組んだ。
「それじゃみんなで行こうか。あの戦艦でね」
遠くから聞こえてくる金属を叩く音に、建造されている戦艦の完成が近付いたことを悟る。
巨大な船だ。複数本の支え棒がその巨体を転がさないように頑張っている。
アンノウンは召喚した鍛冶の神ヘパイストスをどんどん増やし続けて数十体に及び、建造速度を段々と早めて行った。
「召喚の数に限界はないのか?」
ラルフは現場監督と化したアンノウンに質問する。
「召喚時と召喚獣の維持に魔力を掛けてるよ。能力の振り分けで掛かるコストを自分なりに下げてるつもりだから、これだけ多くの召喚に成功したのさ。ほら、最初に比べてヘパイストスたちの体が小さくなってるでしょ?」
確かにそうだ。最初は見上げるほど大きかったヘパイストスが目線の高さにまで小さく召喚し直されている。
「数は力なりか。流石だな」
この世界では見かけることの出来ない金属の船。地上で見上げているために全体を見ることが出来ないが、近未来的な船のデザインに圧倒されていた。
「それにしてもすごい船だな……強靭で頑強で巨大で……こんなものが空を飛んでたら誰だって震えあがっちまうぜ」
ラルフの顔に自然と笑みが浮かぶ。黒光りする強そうな船に乗れるなんて男の子の夢だ。しかも空飛ぶ船となればなお一層の事興奮する。
ミーシャはそんなラルフの横顔を見て嬉しそうにしている。
「造形も滑らかで職人の手際の良さを感じるよね。それにしてもこの形は誰が考えたの?あなたたちの故郷ではこれが普通だったり?」
「金属加工の技術が発達しているから、これが普通といえば普通かな。……戦艦は普通じゃないけどね。歩がデザイン案を出してくれたからそれに従ってる感じ。私も少し良い案出してるから期待しててよ」
アンノウンは腕を組んで踏ん反り返る。しきりに感心しているラルフとミーシャの背後に居たベルフィアが眉を潜ませながら口を開く。
「見タ目は良いが、居住性はどうじゃ?こノ中で生活すルんじゃから半端は許されんぞ?」
「抜かりないよ。その昔私たちの国の最強の戦艦は居住性がまるで高級ホテルのようだったって話だからね。魔法で空間を歪めているから広さも申し分ないと思うよ」
「ほぅ?そこノところは浮遊要塞に似とルノぅ……」
「フッフーン。あれを基準にするなら……まぁ楽しみに待ってて。完成まではもうすぐだから」
勿体ぶるアンノウン。肩透かしを食らった気になるベルフィアを放っておいて、ラルフが口を開く。
「完成間近か……頃合いだな。よし、それじゃみんなに話したいことがある。お昼に話そうと思うからそのつもりで居てくれ」
「え?なになに?」
「今後の方針って奴だ」
*
──バァンッ
「何を馬鹿なっ!!」
机を破壊する勢いで叩いたのはベルフィアだ。ラルフの話を聞いて激昂したようだ。
それも当然のこと。ラルフの能力でこの世界から離脱するというのだ。神の聖域で誰にも相談なく勝手に色々決めて来たのだから、みんなにとっては寝耳に水の珍事である。正直意味が分からない。
「仕方がないだろ?そうしないとあそこから出ていけない雰囲気だったんだから……この世界から出て行くっつっても一時的なものだぜ?実は考えがあってな……?」
「考えも何も……助かりたかった一心ではなくて?」
メラの一言で空気が冷える。それに被せるようにイミーナが口を開く。
「あなたの出たとこ勝負にはうんざりしていたところです。神を欺いたところは評価いたしますが、ここに来てわたくしたちも欺こうというのですか?どうなのですラルフ」
ここぞとばかりに攻め立てる姿はまるで水を得た魚だ。ラルフはバツが悪そうに後頭部を掻いている。見兼ねたブレイドは割って入る。
「ちょっと待ってください。ラルフさんは確かに即興の多い方ですが、その都度上手く行ってます。無事に意識が戻られたことからもそれは健在。となれば話の一つや二つ聞く価値はあると思いますが?」
その都度は言い過ぎだが、大抵は上手くいっている。それは事実。ならばブレイドに免じて話を聞くのもやむなしである。
「ありがとうブレイド」
ラルフはアイコンタクトにも感謝を込める。ブレイドは一つ頷いて下がった。
「俺がお前らを欺くなんてとんでもない。メラの言葉を否定出来ないのは残念だが、ちゃんと考えはある。実は少し前から考えていたことさ」
みんなが静かに聞く中にあってラルフの目が藤堂で止まった。
「……俺?」
「そうトウドウさん。初めてあったその時から自分の世界に帰りたがっていたのを俺は知ってる。アンノウンもだ。アユム……はどうか知らないけど帰りたいよな?」
全員の目が歩に向く。歩は驚いて少し固まっていたが、すぐに何度も頷いた。
「そうだよな?つまり何が言いたいかというと、俺の力で異次元に穴を開けて元の世界に帰してあげようって考えたのさ。他の次元に穴を開けられるのは俺かパルスの大剣だけだ」
「阿鼻は……」
静観していたパルスは首を振る。
「別の場所に飛ばさない。……取り込むの」
ラルフは口をへの字に曲げて周りを見渡し、肩を竦めた。
「そうか。……それじゃ俺だけだな」
「それじゃこういうこと?神の溜飲を下げるために追放を選択した。私たちを帰す名目を隠して……?」
アンノウンは困り顔でラルフに聞いた。
「ああ、まぁ……結果的にそうなっただけだよ。今思えば、別の世界に行くとなればあいつらは全力で邪魔しに来ただろうな。たまたま、出たとこ勝負が良い方向に向いたようだぜ。な?イミーナ」
イミーナはイラっとした顔をラルフに向けた。それに対してミーシャが得意そうに腕を組んだ。
「それじゃみんなで行こうか。あの戦艦でね」
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