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第1章【欲求のままに生きる】
第4話「静かに過ごしたいだけなのに」
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村での生活が始まって二週間。
村は、賑やかになった。
朝から晩まで、人の声が聞こえる。
畑仕事の声。
温泉に入る声。
子どもたちの笑い声。
悪くない。
みんな幸せそうだ。
でも、俺は疲れてきた。
「……うるさいな」
小屋の中で、ぼんやり思う。
賑やかすぎる。
人が増えすぎた。
最近、近隣の村からも人が来るようになった。
「奇跡の村があるらしい」
「温泉が湧いて、野菜が育つんだって」
噂が広まってる。
商人も来た。
「この野菜、売ってくれないか」
「温泉の湯を分けてほしい」
村長が対応してるけど、小屋の近くまで人が来る。
「あの方はどこに?」
「一目お会いしたい」
めんどくさい。
俺はただ、静かに過ごしたいだけなのに。
その日の午後。
畑仕事を終えて、小屋に戻った。
でも、村の広場では宴会が始まってる。
「豊作を祝おう!」
「アキト様に感謝を!」
俺の名前が出てる。
やめてくれ。
小屋に逃げ込む。
でも、窓から歓声が聞こえる。
笑い声、歌声。
「……落ち着かない」
静かな場所が欲しい。
一人になれる場所。
誰もいない場所。
「森に行くか」
そう決めた。
夕方、村を抜け出した。
誰にも言わず。
森に入る。
木々が夕日を遮って、薄暗い。
でも、静かだ。
鳥の声。風の音。
それだけ。
人の声がしない。
「……これだよ」
足を進める。
温泉の方には行かない。
もっと奥。
誰も来ない場所。
獣道を外れて、木々の間を進む。
草を踏む音。
枝が折れる音。
自分の足音だけが響く。
どれくらい歩いただろう。
開けた場所に出た。
小さな空き地。
木々に囲まれてる。
草が生えてる。
柔らかそうだ。
「ここだな」
空を見上げる。
木々の隙間から、夕焼けが見える。
オレンジ色の空。
風が吹いて、葉っぱが揺れる。
静かだ。
本当に静かだ。
「最高」
草の上に寝転がる。
ふかふかしてる。
気持ちいい。
目を閉じる。
風が頬を撫でる。
鳥が鳴いてる。
遠くで、何かの動物が動いてる音。
でも、人の声はしない。
「……ここで寝よう」
そう思った。
気づいたら、眠ってた。
目を開けると、空が暗くなってる。
星が出てる。
「あー、寝ちまった」
体を起こす。
辺りを見渡す。
暗い。
でも、月明かりがある。
帰れないことはない。
でも、
「このまま寝てもいいか」
村に戻るのが面倒だ。
ここは静かで、気持ちいい。
このまま朝まで寝よう。
草の上に横になる。
空を見上げる。
星が、たくさん。
天の川がくっきり見える。
流れ星が一つ、流れた。
「……綺麗だな」
都会じゃ見られない星空。
ここでは、毎晩見られる。
目を閉じる。
虫の音が聞こえる。
風が吹く。
葉っぱがさらさらと揺れる。
静かだ。
本当に静かだ。
「幸せだな」
呟く。
すぐに、眠りが訪れた。
翌朝。
鳥の声で目が覚めた。
体を起こす。
朝日が木々の間から差し込んでる。
眩しい。
でも、気持ちいい。
「よく寝た」
伸びをする。
体が軽い。
昨日の疲れが取れてる。
「やっぱり静かな場所はいいな」
立ち上がって、周りを見渡す。
草が、昨日より緑に見える。
気のせいか?
いや、
「……また?」
草が、伸びてる。
昨日は膝くらいだったのに、今は腰くらいある。
花も咲いてる。
小さな白い花。
昨日はなかった。
「俺が寝ただけなのに……」
ため息をつく。
また、何か起きたのか。
でも、まあいいか。
花が咲くだけなら、害はない。
村に戻る。
村人が騒いでる。
「アキト様がいない!」
「どこに行かれたんだ!」
「まさか、魔物に……」
村長が慌てた顔で走ってくる。
「アキト!無事だったか!」
「はい、森で寝てました」
「森で!?」
村長は俺の肩を掴んだ。
「心配したんだぞ!なぜ黙って出て行った!」
「すみません。ちょっと静かな場所で寝たくて」
「静かな……」
村長は呆れた顔をした。
「お前という奴は……」
「本当にすみません」
「いや、無事ならいい」
村長は安堵の息をついた。
「だが、次からは一言言ってくれ」
「分かりました」
村人が集まってくる。
「ご無事で!」
「心配しました!」
「どこにおられたんですか?」
質問攻めだ。
「森の奥で寝てただけです」
「森の奥で!?」
「魔物は出ませんでしたか!」
「いえ、全然」
「奇跡だ……」
誰かが呟いた。
「きっと、あの方の周りには魔物が近づけないんだ」
「そうに違いない」
「やはり、神の加護が……」
話が大きくなってる。
めんどくさい。
「あの、俺は小屋に戻ります」
「お待ちください!」
若い男が言った。
「森で何があったんですか?」
「何もないです。ただ寝ただけで」
「でも、何か起こったはずです!」
「いや、本当に何も……」
「案内してください!」
断れる雰囲気じゃない。
「……分かりました」
村人数人と、森に向かった。
昨日寝た場所まで案内する。
「ここです」
空き地に着いた。
村人が、固まった。
「これは……」
空き地が、花畑になってる。
白い花。ピンクの花。黄色い花。
草も緑々と茂ってる。
蝶が飛んでる。
「こんなに花が……」
「一晩で?」
「信じられない」
村長が俺を見た。
「お前、ここで何をした?」
「寝ただけです」
「寝ただけで、こんなことになるか?」
「分かりません」
本当に分からない。
俺はただ寝ただけだ。
村人の一人が、花を触った。
「本物だ……」
「しかも、こんなに綺麗な花、見たことない」
「香りもいい」
「奇跡だ」
また、そうなる。
俺は何も言えなかった。
その日の夕方。
村人が俺の昼寝場所を「聖地」と呼び始めた。
「あの場所は、アキト様が祝福した場所だ」
「花が咲き、魔物が近づかない」
「みんなで守ろう」
話が勝手に進んでる。
小屋に戻って、一人になる。
「……疲れた」
静かに過ごしたかっただけなのに。
結果的に、また騒ぎになった。
窓の外を見る。
村人が花畑の話をしてる。
子どもたちが、花を摘みに行きたいと言ってる。
賑やかだ。
「静かにならないかな」
呟く。
でも、無理だろう。
村はどんどん賑やかになってる。
「……まあ、いいか」
みんな幸せそうだ。
それなら、いい。
俺は俺のペースで生きる。
たまに、森で一人になる時間を作る。
それでバランスを取ろう。
その夜。
温泉に浸かった。
一人で。
静かだ。
湯気が立ち上る。
星が見える。
「……やっぱり、これが一番だな」
温かい湯。
静かな夜。
誰もいない時間。
これがあれば、十分だ。
湯から上がって、小屋に戻る。
毛布に包まって、横になる。
今日も、色々あった。
でも、悪い日じゃなかった。
静かな場所も見つけた。
明日も、きっと。
目を閉じる。
すぐに、眠りが訪れた。
翌朝。
村長が小屋に来た。
「アキト、頼みがある」
「なんですか?」
「昨日の花畑だが、魔物が本当に近づかないか確認してほしい」
「え?」
「村人が花を摘みに行きたいと言ってる。だが、森の奥だ。危険かもしれん」
「……分かりました」
村長と一緒に、森に向かった。
花畑に着く。
相変わらず、花が咲き乱れてる。
「ここで待ってみます」
草の上に座る。
村長も隣に座った。
「お前は不思議な奴だな」
「そうですか?」
「ああ。お前が来てから、村が変わった」
「俺は何もしてないですけど」
「それが不思議なんだ」
村長は空を見上げた。
「お前はただ、自分の欲望に従ってる。それだけなのに、村が救われてる」
「……偶然ですよ」
「偶然が、こんなに続くか?」
村長は笑った。
「まあ、理由はどうでもいい。お前がここにいてくれる。それだけで、村は幸せだ」
「重いですよ、それ」
「すまんな」
しばらく、二人で黙って座ってた。
鳥が鳴いてる。
風が吹く。
静かだ。
「……魔物、来ませんね」
「ああ。お前がいるからかもしれん」
「そんなことないと思いますけど」
「いや、あるんだ」
村長は立ち上がった。
「村人に伝えよう。ここは安全だと」
「あの、あんまり人が来ると……」
「分かってる」
村長は笑った。
「お前の静かな場所が欲しいんだろう?」
「……はい」
「じゃあ、ここは村人が花を摘むだけにする。お前専用の場所は、別に作ろう」
「本当ですか?」
「ああ。お前にも、静かな時間が必要だろう」
「ありがとうございます」
村長は俺の肩を叩いた。
「礼はいい。お前のおかげで、村は豊かになった。このくらいはさせてくれ」
その日から、花畑は村人の憩いの場になった。
子どもたちが花を摘みに来る。
女たちが花を編んで、飾りを作る。
男たちは、周りに柵を作った。
「聖なる花畑」と呼ばれるようになった。
でも、俺には別の場所ができた。
村長が案内してくれた、森のさらに奥。
小さな空き地。
木々に囲まれて、誰も来ない。
「ここなら、静かに過ごせる」
村長が言った。
「ありがとうございます」
「いいんだ。お前も、たまには休め」
その夜。
新しい場所に行ってみた。
草の上に寝転がる。
静かだ。
本当に静かだ。
星が見える。
風が吹く。
虫が鳴いてる。
「……最高だな」
目を閉じる。
村は賑やかだ。
でも、ここは静かだ。
両方あれば、いい。
バランスが取れる。
「これで、また頑張れる」
呟く。
すぐに、眠りが訪れた。
村は変わり続けていた。
花畑ができ、人々は笑顔を絶やさなくなった。
賑やかで、温かい村。
でも、俺には静かな場所がある。
一人で過ごせる場所。
それがあれば、十分だ。
これからも、きっと。
村は、賑やかになった。
朝から晩まで、人の声が聞こえる。
畑仕事の声。
温泉に入る声。
子どもたちの笑い声。
悪くない。
みんな幸せそうだ。
でも、俺は疲れてきた。
「……うるさいな」
小屋の中で、ぼんやり思う。
賑やかすぎる。
人が増えすぎた。
最近、近隣の村からも人が来るようになった。
「奇跡の村があるらしい」
「温泉が湧いて、野菜が育つんだって」
噂が広まってる。
商人も来た。
「この野菜、売ってくれないか」
「温泉の湯を分けてほしい」
村長が対応してるけど、小屋の近くまで人が来る。
「あの方はどこに?」
「一目お会いしたい」
めんどくさい。
俺はただ、静かに過ごしたいだけなのに。
その日の午後。
畑仕事を終えて、小屋に戻った。
でも、村の広場では宴会が始まってる。
「豊作を祝おう!」
「アキト様に感謝を!」
俺の名前が出てる。
やめてくれ。
小屋に逃げ込む。
でも、窓から歓声が聞こえる。
笑い声、歌声。
「……落ち着かない」
静かな場所が欲しい。
一人になれる場所。
誰もいない場所。
「森に行くか」
そう決めた。
夕方、村を抜け出した。
誰にも言わず。
森に入る。
木々が夕日を遮って、薄暗い。
でも、静かだ。
鳥の声。風の音。
それだけ。
人の声がしない。
「……これだよ」
足を進める。
温泉の方には行かない。
もっと奥。
誰も来ない場所。
獣道を外れて、木々の間を進む。
草を踏む音。
枝が折れる音。
自分の足音だけが響く。
どれくらい歩いただろう。
開けた場所に出た。
小さな空き地。
木々に囲まれてる。
草が生えてる。
柔らかそうだ。
「ここだな」
空を見上げる。
木々の隙間から、夕焼けが見える。
オレンジ色の空。
風が吹いて、葉っぱが揺れる。
静かだ。
本当に静かだ。
「最高」
草の上に寝転がる。
ふかふかしてる。
気持ちいい。
目を閉じる。
風が頬を撫でる。
鳥が鳴いてる。
遠くで、何かの動物が動いてる音。
でも、人の声はしない。
「……ここで寝よう」
そう思った。
気づいたら、眠ってた。
目を開けると、空が暗くなってる。
星が出てる。
「あー、寝ちまった」
体を起こす。
辺りを見渡す。
暗い。
でも、月明かりがある。
帰れないことはない。
でも、
「このまま寝てもいいか」
村に戻るのが面倒だ。
ここは静かで、気持ちいい。
このまま朝まで寝よう。
草の上に横になる。
空を見上げる。
星が、たくさん。
天の川がくっきり見える。
流れ星が一つ、流れた。
「……綺麗だな」
都会じゃ見られない星空。
ここでは、毎晩見られる。
目を閉じる。
虫の音が聞こえる。
風が吹く。
葉っぱがさらさらと揺れる。
静かだ。
本当に静かだ。
「幸せだな」
呟く。
すぐに、眠りが訪れた。
翌朝。
鳥の声で目が覚めた。
体を起こす。
朝日が木々の間から差し込んでる。
眩しい。
でも、気持ちいい。
「よく寝た」
伸びをする。
体が軽い。
昨日の疲れが取れてる。
「やっぱり静かな場所はいいな」
立ち上がって、周りを見渡す。
草が、昨日より緑に見える。
気のせいか?
いや、
「……また?」
草が、伸びてる。
昨日は膝くらいだったのに、今は腰くらいある。
花も咲いてる。
小さな白い花。
昨日はなかった。
「俺が寝ただけなのに……」
ため息をつく。
また、何か起きたのか。
でも、まあいいか。
花が咲くだけなら、害はない。
村に戻る。
村人が騒いでる。
「アキト様がいない!」
「どこに行かれたんだ!」
「まさか、魔物に……」
村長が慌てた顔で走ってくる。
「アキト!無事だったか!」
「はい、森で寝てました」
「森で!?」
村長は俺の肩を掴んだ。
「心配したんだぞ!なぜ黙って出て行った!」
「すみません。ちょっと静かな場所で寝たくて」
「静かな……」
村長は呆れた顔をした。
「お前という奴は……」
「本当にすみません」
「いや、無事ならいい」
村長は安堵の息をついた。
「だが、次からは一言言ってくれ」
「分かりました」
村人が集まってくる。
「ご無事で!」
「心配しました!」
「どこにおられたんですか?」
質問攻めだ。
「森の奥で寝てただけです」
「森の奥で!?」
「魔物は出ませんでしたか!」
「いえ、全然」
「奇跡だ……」
誰かが呟いた。
「きっと、あの方の周りには魔物が近づけないんだ」
「そうに違いない」
「やはり、神の加護が……」
話が大きくなってる。
めんどくさい。
「あの、俺は小屋に戻ります」
「お待ちください!」
若い男が言った。
「森で何があったんですか?」
「何もないです。ただ寝ただけで」
「でも、何か起こったはずです!」
「いや、本当に何も……」
「案内してください!」
断れる雰囲気じゃない。
「……分かりました」
村人数人と、森に向かった。
昨日寝た場所まで案内する。
「ここです」
空き地に着いた。
村人が、固まった。
「これは……」
空き地が、花畑になってる。
白い花。ピンクの花。黄色い花。
草も緑々と茂ってる。
蝶が飛んでる。
「こんなに花が……」
「一晩で?」
「信じられない」
村長が俺を見た。
「お前、ここで何をした?」
「寝ただけです」
「寝ただけで、こんなことになるか?」
「分かりません」
本当に分からない。
俺はただ寝ただけだ。
村人の一人が、花を触った。
「本物だ……」
「しかも、こんなに綺麗な花、見たことない」
「香りもいい」
「奇跡だ」
また、そうなる。
俺は何も言えなかった。
その日の夕方。
村人が俺の昼寝場所を「聖地」と呼び始めた。
「あの場所は、アキト様が祝福した場所だ」
「花が咲き、魔物が近づかない」
「みんなで守ろう」
話が勝手に進んでる。
小屋に戻って、一人になる。
「……疲れた」
静かに過ごしたかっただけなのに。
結果的に、また騒ぎになった。
窓の外を見る。
村人が花畑の話をしてる。
子どもたちが、花を摘みに行きたいと言ってる。
賑やかだ。
「静かにならないかな」
呟く。
でも、無理だろう。
村はどんどん賑やかになってる。
「……まあ、いいか」
みんな幸せそうだ。
それなら、いい。
俺は俺のペースで生きる。
たまに、森で一人になる時間を作る。
それでバランスを取ろう。
その夜。
温泉に浸かった。
一人で。
静かだ。
湯気が立ち上る。
星が見える。
「……やっぱり、これが一番だな」
温かい湯。
静かな夜。
誰もいない時間。
これがあれば、十分だ。
湯から上がって、小屋に戻る。
毛布に包まって、横になる。
今日も、色々あった。
でも、悪い日じゃなかった。
静かな場所も見つけた。
明日も、きっと。
目を閉じる。
すぐに、眠りが訪れた。
翌朝。
村長が小屋に来た。
「アキト、頼みがある」
「なんですか?」
「昨日の花畑だが、魔物が本当に近づかないか確認してほしい」
「え?」
「村人が花を摘みに行きたいと言ってる。だが、森の奥だ。危険かもしれん」
「……分かりました」
村長と一緒に、森に向かった。
花畑に着く。
相変わらず、花が咲き乱れてる。
「ここで待ってみます」
草の上に座る。
村長も隣に座った。
「お前は不思議な奴だな」
「そうですか?」
「ああ。お前が来てから、村が変わった」
「俺は何もしてないですけど」
「それが不思議なんだ」
村長は空を見上げた。
「お前はただ、自分の欲望に従ってる。それだけなのに、村が救われてる」
「……偶然ですよ」
「偶然が、こんなに続くか?」
村長は笑った。
「まあ、理由はどうでもいい。お前がここにいてくれる。それだけで、村は幸せだ」
「重いですよ、それ」
「すまんな」
しばらく、二人で黙って座ってた。
鳥が鳴いてる。
風が吹く。
静かだ。
「……魔物、来ませんね」
「ああ。お前がいるからかもしれん」
「そんなことないと思いますけど」
「いや、あるんだ」
村長は立ち上がった。
「村人に伝えよう。ここは安全だと」
「あの、あんまり人が来ると……」
「分かってる」
村長は笑った。
「お前の静かな場所が欲しいんだろう?」
「……はい」
「じゃあ、ここは村人が花を摘むだけにする。お前専用の場所は、別に作ろう」
「本当ですか?」
「ああ。お前にも、静かな時間が必要だろう」
「ありがとうございます」
村長は俺の肩を叩いた。
「礼はいい。お前のおかげで、村は豊かになった。このくらいはさせてくれ」
その日から、花畑は村人の憩いの場になった。
子どもたちが花を摘みに来る。
女たちが花を編んで、飾りを作る。
男たちは、周りに柵を作った。
「聖なる花畑」と呼ばれるようになった。
でも、俺には別の場所ができた。
村長が案内してくれた、森のさらに奥。
小さな空き地。
木々に囲まれて、誰も来ない。
「ここなら、静かに過ごせる」
村長が言った。
「ありがとうございます」
「いいんだ。お前も、たまには休め」
その夜。
新しい場所に行ってみた。
草の上に寝転がる。
静かだ。
本当に静かだ。
星が見える。
風が吹く。
虫が鳴いてる。
「……最高だな」
目を閉じる。
村は賑やかだ。
でも、ここは静かだ。
両方あれば、いい。
バランスが取れる。
「これで、また頑張れる」
呟く。
すぐに、眠りが訪れた。
村は変わり続けていた。
花畑ができ、人々は笑顔を絶やさなくなった。
賑やかで、温かい村。
でも、俺には静かな場所がある。
一人で過ごせる場所。
それがあれば、十分だ。
これからも、きっと。
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◇
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