異世界転生したらチート能力で最強になって、気づいたら美女たちに囲まれて国まで作ってた件

自ら

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第6章 - 魔王軍の侵攻と最後の砦

第38話:封印の崩壊

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 その日は、いつもと変わらぬ朝だった。

 ノヴァシティの街には、朝日が差し込み、鳥たちがさえずり、住民たちがそれぞれの仕事に向かっていく。商店の扉が開く音、子供たちの笑い声、馬車の車輪が石畳を転がる音。その全てが、平和な日常を形作っていて、まるで何も起こらないかのような穏やかさに包まれていた。

 だが、その平和は、突然終わりを告げた。

 昼過ぎ、空が変わった。

 まるで、世界そのものが息を呑んだかのように、一瞬、全ての音が消えた。風が止まり、鳥たちが鳴き止み、人々の話し声さえも途絶える。その静寂は、嵐の前の静けさのように不気味で、何か恐ろしいことが起こる予兆を感じさせるものだった。

 そして——

 空が、暗くなり始めた。

 太陽はまだ高い位置にあるはずなのに、まるで夕暮れが突然訪れたかのように、空全体が赤黒く染まっていく。その色は、血を思わせる不吉な赤と、闇を思わせる深い黒が混ざり合った、見る者の心を凍らせるような禍々しい色だった。

「何だ...これは...」

 街の人々が、空を見上げる。

 子供たちが母親にしがみつき、商人たちが手を止め、騎士たちが剣に手をかける。その全ての顔には、本能的な恐怖が浮かんでいた。

 俺は、屋敷のバルコニーから空を見上げていた。

 この異変——ただ事ではない。胸に、重苦しい何かが圧し掛かってくる。それは、まるで目に見えない巨大な手が心臓を掴んで締め付けてくるかのような、息苦しさだった。

「レン様!」

 セレスティアが、駆けつけてきた。その顔は青ざめていて、普段の気品ある表情とは違う、剥き出しの恐怖が滲んでいる。

「これは...一体...」
「分からない。だが、何か大きなことが起こっている」

 俺が答えると、次々と他のヒロインたちも集まってきた。

 クレアは剣を抜いたまま、リリエルは杖を握りしめ、ミーナは不安そうに俺の腕にしがみつき、シャルロットは冷静さを保とうとしているが目には緊張が見え、レイラは周囲を警戒し、アリシアは愛剣に手をかけている。七人全員が、この異変に対する警戒を露わにしていた。

「あの空...」

 リリエルが、震える声で言う。

「あれは、魔力です。とてつもなく巨大な...魔力の波動が、世界中に広がっています」
「魔力...?」
「はい。これほどの規模は...」

 リリエルの言葉が、途切れる。

 その時——

 遠く、王都の方角から、巨大な黒い光の柱が天に向かって立ち上った。

 その光は、闇そのものが形を成したかのような、恐ろしく禍々しいものだった。光の柱は天を貫き、空全体をさらに暗く染め上げていく。その光景は、まるで世界の終わりが始まったかのような、終末的な美しさと恐ろしさを持っていた。

「あれは...!」

 クレアが、息を呑む。

 黒い光の柱から、無数の黒い雷が空に走る。その雷は、まるで邪悪な意志を持った生き物のように蠢き、空を裂き、地を震わせる。轟音が、ノヴァシティまで響いてきた。

「まさか...」

 セレスティアの顔が、さらに青ざめる。

「封印が...」

 その言葉を聞いた瞬間、俺の心臓が激しく鳴った。

 封印——それは、魔王の封印。

「まさか...復活したのか...」

 俺が呟くと、七人全員が硬直した。

 その沈黙を破るように、屋敷の門が激しく叩かれる音が響いた。

「開けてくれ! 緊急の伝令だ!」

 慌ただしい足音と共に、王都からの伝令使が駆け込んできた。その顔は汗まみれで、息も絶え絶えだ。馬を全速力で走らせてきたのだろう、全身から疲労が滲み出ている。

「レン・タカミ伯爵!」
「何があった!」

 俺が尋ねると、伝令使は震える声で告げた。

「魔王が...復活しました...!」

 その言葉が、バルコニーに響く。

 七人が、一斉に息を呑んだ。

「魔王...ヴァルドラグが...封印から解放されました...」

 伝令使の声は、恐怖で震えている。

「王都近郊で、封印の儀式が行われていた神殿が...破壊されました...そこから、あの黒い光が...」

 伝令使は、膝をついた。

「陛下からの命令です...全ての領主は、領地の防衛を固めよ、と...魔物が、各地に現れ始めています...」

 魔物。

 魔王が復活したということは、魔王に従う魔物たちも、再び活動を始めるということだ。

「分かった」

 俺は、伝令使に頷いた。

「伝えてくれ。ノヴァシティは、必ず守り抜く、と」
「はっ...!」

 伝令使は、ふらつきながらも敬礼し、再び馬に乗って去っていった。

 俺は、七人を見た。

 全員が、固い表情で俺を見つめている。

「みんな」

 俺が口を開くと、七人が姿勢を正した。

「いよいよ、来たな」
「ああ」

 クレアが、剣を握りしめる。

「覚悟はできている」
「私たちも」

 リリエルが、杖を掲げる。

「レンおにいちゃんのために、戦う!」

 ミーナが、拳を握る。

「当然ですわ」

 シャルロットが、冷静に頷く。

「あたしたちの街だ」

 レイラが、ナイフを構える。

「私も、レン様と共に」

 セレスティアが、剣を抜く。

「私の剣は、あなたのために」

 アリシアが、愛剣「夜風」を抜いた。

 七人の決意が、俺の心を力強く支えてくれる。

「ありがとう。じゃあ、防衛の準備を——」

 俺の言葉が、途切れた。

 城壁の見張り台から、鐘が鳴り響いた。

 その音は、敵襲を知らせる警鐘だ。

「まさか...もう!?」

 クレアが、驚愕の表情を浮かべる。

 俺たちは、急いで城壁へと向かった。

 見張り台に登ると、見張りの騎士が青ざめた顔で指を指している。

「あそこです...!」

 その指の先——

 森の向こう、地平線の彼方に、黒い影が蠢いていた。

 最初は、遠くてよく見えなかった。だが、それは確実にこちらに向かって近づいてくる。そして、その数が徐々に明らかになっていく。

 十体、二十体、五十体——

 いや、もっとだ。

 百体以上。

 魔物の群れが、ノヴァシティに向かって進んでいる。

 その姿は、まるで黒い津波が大地を覆い尽くしていくかのように、圧倒的な数と勢いで迫ってきていた。狼のような形をした魔物、巨大な昆虫のような魔物、翼を持った魔物——様々な種類の魔物が、一つの群れとなって押し寄せてくる。

 その光景は、悪夢そのものだった。

「くっ...!」

 クレアが、歯を食いしばる。

「こんなに早く...!」
「街の住民を避難させろ!」

 俺が叫ぶ。

「騎士団を集結させろ! 城壁を固めろ!」

 騎士たちが、一斉に動き出す。

 街中に警報が鳴り響き、住民たちが慌てて家から出てくる。子供たちの泣き声、女性たちの悲鳴、男性たちの怒号。混乱が、街全体を包み込んでいく。

 だが、その混乱の中でも、住民たちは訓練通りに動いた。

 避難経路に向かい、子供と老人を優先し、若い者たちは武器を手に取る。ノヴァシティの住民たちは、もう戦いに慣れていた。何度も魔物の襲撃を退けてきた経験が、彼らを強くしていた。

 俺は、城壁の上に立った。

 七人のヒロインたちが、俺の両脇に並ぶ。

 魔物の群れは、もうすぐそこまで来ている。

 その咆哮が、風に乗って聞こえてくる。まるで、地獄の底から響いてくるかのような、耳を劈く恐ろしい音だった。

「来るぞ...」

 俺が呟くと、七人が頷いた。

 魔物の群れが、森から飛び出してきた。
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