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八話 王子との同盟締結
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レスターさんが持ってきた箱の中には、平べったい水晶が鎮座していた。
透明で陽の光をキラキラと反射する水晶。一目見ただけで高価なんだろうと分かった。
それ以外に珍しい要素はなかったけど、ルゥが手に取ると様子が変わる。
「えっ!? さっきまで透明だった水晶が、銀色に輝いている!? しかも水晶の中に変な模様が現れたんだけど、これって一体何なの!?」
「変な模様とは何だ。お前だって王家の紋章ぐらい見たことあるだろう」
「王家の紋章? そう言えば――」
「あの水晶(クリスタル)は王家の血を引く人間が触れると、王家の紋章が浮かび上がるように魔法で造られた特殊なものだ。俺やお前が触れても何の反応も示さない」
「あ、本当だ」
ルゥから水晶を渡してもらうと、ぴたりと輝きは失せた。
そういえば王家の人間は生まれた時に、王家の紋章が刻まれた魔法クリスタルが記念に造られるんだっけ。
さっき見た模様の中には王家の紋章だけじゃなく、『ルーファス=クリストファー=イリアステル』の名前も浮かび上がっていた。
ということは、ルゥは本物の王子様で、さっき聞いた話は真実ということだ。
「す、すごい! 出世する為に騎士学校に入学したのに、さっそく王子様とコネができるなんて!」
「アイリは出世したいんだ?」
「うん。うちの村はほんっと貧しいんだから! 騎士になって出世して、故郷に錦を飾って、豊かな生活を送ってやるの! それが私の人生の目標!」
「ずいぶん地に足がついた目標だね。まだ若いのに」
「コネと言っても、今の王子は何の力も持っていない。王子が何を要求したところで、摂政に撥ねつけられれば通らないだろう。つまりお前が王子とのコネを使って出世しようと思うのなら、ゲイリーを倒さなければならないということだ」
「アイリ。是非とも僕たちに協力してほしい。騎士学校に潜入するにしても、事情を知った上で協力してくれる人間が必要だ。職員の方はレスターが何とか誤魔化してくれるけど、同じ従士の目を欺くには君の協力が必要なんだ。共に力を合わせて摂政を倒そう!」
ルゥは力強い瞳で私を見つめる。
すぐにでも頷きたくなるけど、その前にもう一つ疑問があった。
「ところで……成功の見返りは? 何か確約が欲しいかなー、なんて」
「僕が玉座についたら、君に近衛騎士の地位を用意しよう。それでどうかな?」
「近衛騎士って、あの王家直属の騎士!? エリート中のエリートの!? 引退後も天下りし放題の役職の!? よし、乗った!」
「ありがとう、アイリ!」
通常、庶民が近衛騎士に抜擢されることは滅多にない。でも王子様の推薦があれば、きっと大丈夫だ。
私はルゥと握手を交わす。この話、乗らないという選択肢はない!
「で、具体的には何をすればいいの?」
「僕は女の子として入学する。本当は男だとバレないように協力してほしいんだ。まず寮の部屋は、君と僕が同室になるようにレスターが手配する。僕はお風呂とか、肌の露出があるところには行かない。理由は昔ひどい怪我をした傷跡が残っていることにしよう。君はその傷跡を見たということにしてほしい」
「ふんふん……って、私とルゥが同室なの? そ、それはまずくない?」
「全然まずくない。王子は自分より可愛いものにしか興味がないからな。安心しろ」
「なんかトゲのある言い方ですね……」
これでも村では結構可愛い部類だったんですけど。昨日だって初対面の男に求婚されたぐらいだから、容姿は悪い方じゃないと思っているんだけど。
短いやり取りの中で感じたけど、この人かなりの毒舌家だな。せっかくのイケメンが台無しだ。
……まあいいや。これも出世の為だ。嫌味の一つや二つ、軽く聞き流せるようにならないとね!
「それと僕は、戦闘の腕はさっぱりなんだ。回避訓練だけは熱心に行わせてくれたから自信があるけど。戦って相手に勝つ技術に関しては全然だ」
「そういえば、そうだったね」
「落第するわけにはいかないから、できれば各局面で僕の至らないところをカバーしてほしい」
「それならお安い御用だよ! それに私の場合、頭はあんまり良くないから。頭脳面はルゥがカバーしてくれると助かるな。それで貸し借りはナシってことにしようよ!」
「ありがとう! 本当にアイリは優しい人だね!」
「いやあ、それほどでも。ところでルゥがルーファス王子なら、敬語とか使った方がいいのかな?」
「周囲に怪しまれるとまずいから、今まで通りの口調で頼むよ」
「うん、分かった!」
そんなこんなで、私はルーファス王子の計画に加担することになったのだった。
透明で陽の光をキラキラと反射する水晶。一目見ただけで高価なんだろうと分かった。
それ以外に珍しい要素はなかったけど、ルゥが手に取ると様子が変わる。
「えっ!? さっきまで透明だった水晶が、銀色に輝いている!? しかも水晶の中に変な模様が現れたんだけど、これって一体何なの!?」
「変な模様とは何だ。お前だって王家の紋章ぐらい見たことあるだろう」
「王家の紋章? そう言えば――」
「あの水晶(クリスタル)は王家の血を引く人間が触れると、王家の紋章が浮かび上がるように魔法で造られた特殊なものだ。俺やお前が触れても何の反応も示さない」
「あ、本当だ」
ルゥから水晶を渡してもらうと、ぴたりと輝きは失せた。
そういえば王家の人間は生まれた時に、王家の紋章が刻まれた魔法クリスタルが記念に造られるんだっけ。
さっき見た模様の中には王家の紋章だけじゃなく、『ルーファス=クリストファー=イリアステル』の名前も浮かび上がっていた。
ということは、ルゥは本物の王子様で、さっき聞いた話は真実ということだ。
「す、すごい! 出世する為に騎士学校に入学したのに、さっそく王子様とコネができるなんて!」
「アイリは出世したいんだ?」
「うん。うちの村はほんっと貧しいんだから! 騎士になって出世して、故郷に錦を飾って、豊かな生活を送ってやるの! それが私の人生の目標!」
「ずいぶん地に足がついた目標だね。まだ若いのに」
「コネと言っても、今の王子は何の力も持っていない。王子が何を要求したところで、摂政に撥ねつけられれば通らないだろう。つまりお前が王子とのコネを使って出世しようと思うのなら、ゲイリーを倒さなければならないということだ」
「アイリ。是非とも僕たちに協力してほしい。騎士学校に潜入するにしても、事情を知った上で協力してくれる人間が必要だ。職員の方はレスターが何とか誤魔化してくれるけど、同じ従士の目を欺くには君の協力が必要なんだ。共に力を合わせて摂政を倒そう!」
ルゥは力強い瞳で私を見つめる。
すぐにでも頷きたくなるけど、その前にもう一つ疑問があった。
「ところで……成功の見返りは? 何か確約が欲しいかなー、なんて」
「僕が玉座についたら、君に近衛騎士の地位を用意しよう。それでどうかな?」
「近衛騎士って、あの王家直属の騎士!? エリート中のエリートの!? 引退後も天下りし放題の役職の!? よし、乗った!」
「ありがとう、アイリ!」
通常、庶民が近衛騎士に抜擢されることは滅多にない。でも王子様の推薦があれば、きっと大丈夫だ。
私はルゥと握手を交わす。この話、乗らないという選択肢はない!
「で、具体的には何をすればいいの?」
「僕は女の子として入学する。本当は男だとバレないように協力してほしいんだ。まず寮の部屋は、君と僕が同室になるようにレスターが手配する。僕はお風呂とか、肌の露出があるところには行かない。理由は昔ひどい怪我をした傷跡が残っていることにしよう。君はその傷跡を見たということにしてほしい」
「ふんふん……って、私とルゥが同室なの? そ、それはまずくない?」
「全然まずくない。王子は自分より可愛いものにしか興味がないからな。安心しろ」
「なんかトゲのある言い方ですね……」
これでも村では結構可愛い部類だったんですけど。昨日だって初対面の男に求婚されたぐらいだから、容姿は悪い方じゃないと思っているんだけど。
短いやり取りの中で感じたけど、この人かなりの毒舌家だな。せっかくのイケメンが台無しだ。
……まあいいや。これも出世の為だ。嫌味の一つや二つ、軽く聞き流せるようにならないとね!
「それと僕は、戦闘の腕はさっぱりなんだ。回避訓練だけは熱心に行わせてくれたから自信があるけど。戦って相手に勝つ技術に関しては全然だ」
「そういえば、そうだったね」
「落第するわけにはいかないから、できれば各局面で僕の至らないところをカバーしてほしい」
「それならお安い御用だよ! それに私の場合、頭はあんまり良くないから。頭脳面はルゥがカバーしてくれると助かるな。それで貸し借りはナシってことにしようよ!」
「ありがとう! 本当にアイリは優しい人だね!」
「いやあ、それほどでも。ところでルゥがルーファス王子なら、敬語とか使った方がいいのかな?」
「周囲に怪しまれるとまずいから、今まで通りの口調で頼むよ」
「うん、分かった!」
そんなこんなで、私はルーファス王子の計画に加担することになったのだった。
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