【完結】悪役令嬢をすればするほど溺沼化していくので、早くヒロインとくっついてください。

第一章 【出会い編】

2.悪役令嬢とは？

あれから何事もなく……本当に何事もなく平凡な毎日を過ごしているから悪役令嬢のことなどすっかりと忘れていた。

ライラから突然お父様に会いたいと言ってきてびっくり。
だってライラお父様に懐いてないどころかお父様がいくら優しく声掛けても冷たくあしらってたのに。

「ライラはお父様のこと………嫌いじゃないの？」

さりげなく聞いたつもりだったけど、ライラからはふっと笑われた。

「サミュラおねえちゃまを邪険にするからキライ。でも、ほんとうはおとうしゃまもサミュラおねえちゃまのこと大好きなのわたち知ってるもん。」

「ふふ。そうだと私も嬉しいな。」

作り笑いをしながらライラに答えた。
あのお父様が私を好き？？あり得ないわ。
私がどんなに歩み寄っても冷たい目で見つめられ、可愛がるのはライラだった。
お父様はお母様が大好きだから、自分に似た子ではなくお母様に激似のライラを可愛がるのはわかるんだけど……普通だったら私ひねくれてもおかしくないとおもうわ！！
それでも家族だから嫌いになれないで苦しいのも本当だけど。
そっかぁ～ライラから見ればお父様は私のことを気に掛けてくれてるのね。

「お父様は今お仕事で王宮に行ってるのかしら？？行っちゃう？」

「いくぅ～。」

ライラの為とはいえお父様に会うことは勇気がいるが、ここはお姉ちゃんとして頑張りたい！！



「いい、おねえちゃま。心優しいおねえちゃまだから人に譲ることがあるかもしれないでしゅ。でも、もし何かを拾ったら人伝はだめでしゅよ！かならずおねえちゃまが渡してくだしゃい。」

なんか凄く現実味ある言い方ね。

「わかったわ。もし何か拾ったら必ず持ち主に直接渡すわ。」

馬車に揺られながら真剣に言ってくるライラが可愛くてクスクスと笑ってしまう。
ん？これってもしかして………

「これってもしかしてライラの言う悪役令嬢の行動なの？」

にんまりと笑ったライラの印象がとても大人びていて驚いた。
思い込みは駄目ね、悪役と聞いただけで悪いイメージしかなかったわ。
悪役令嬢とはとても親切な人みたいね。