85 / 98
第二章 ダルニア王国編
5.
しおりを挟む
…………だってこの味は……………。
……そんなはずない。この世界では誰も知らないはずだから。
「リティどうした?」
私の様子が変わったことに気づいたカルが話しかけてくれるが言葉が出てこない。
たってそんなはずないもの。
「リティ大丈夫か?」
ほら、クラリスお兄様までも心配しだしたわ。
早く言葉を出したいのに苦しくて嬉しくて……懐かしくて気持ちがごちゃ混ぜになってる。
「とっとても美味しくて………「なんで泣いてるんだ?」
言葉を遮ってきたカルに言われて初めて自分が泣いてることに気づいた。
「とても……なつか…美味しくて感動してしまいましたわ。これなんか温かみのある優しいお味のは心に染みる肉じゃ「お袋の味なんだろ。」そうそう、お袋の味ですわって……」
そんなはずない。
『お袋の味』って前世の世界での言葉。
この世界じゃ誰も知らない言葉。
なんで?なんで知ってるの?
言葉を遮った相手が予想外で固まってしまった。
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
どういうことだ?
知らない言葉が出てきた。
『お袋の味』………とはどういう意味だ?
この料理は食べたことがないがリティは知っていたのか?
この国の料理は初めて来たリティは食べたことがないはずだ。
リティも知っているような口ぶりだったが………今は国王陛下に王妃様もいる晩餐中で問い詰めれる状況ではないな。
「リティ?大丈夫か?」
涙を流しながら言葉を聞いたときから目を見開いて固まってしまっていた。
「あっ…………………ええ、大丈夫ですわ。すっすみません、あまりにも美味しくて感動してしまいましたわ。」
いや、大丈夫ではないな。
挙動不審すぎる。
クラリスもリティが正気ではないと判断したのか、心配そうな顔になっている。
瞳を潤ませながら食べている料理を気に入ったからだけではないだろう。
リティのことは全てを知っているが、俺の知らないことがあるとすれば時々話してくれていた前世の世界でのことだけだ。
「私、リティアナちゃんのことますます気に入ったわ。留学だけでなくこっちに住まない?」
王妃様の何気ない一言をリティが笑って対応していたが、あれは本気に口説いていた目だった。
将来俺のお嫁さんになって王妃となるリティが交流を深めるのはいいことだが、俺からリティを奪おうとするなら話しは別だ。
マシューリだけでなく王妃からも気に入られるとは………厄介だな。
留学中警戒を強めておこう。
ーーーーーーーー
ーーーー
「リティアナ、これから二人でお茶しないか?」
どうしましょう。
直接のお誘いを一令嬢な私が断れるわけがないですわ。
晩餐後、マシューリ殿下が誘ってきたが、『二人で』って辺りが引っ掛かり言葉をつまらせていると、
「二人にさせるわけないだろうが。」
私の腰を引き寄せてカルが顔に青筋をたてながらマシューリ殿下に抗議した。
「カルティド殿下はこの前から邪魔ばかりするなぁ。リティアナが側にいないと不安でたまらないのかな?」
意地悪な笑みを浮かべながらカルを挑発してきたマシューリ殿下。
「そうだ。リティが大切なので片時も離れたくない。リティは可愛いから悪い虫がつくと大変だ。」
人前でやめてください。
私の頭にチュッとキスをしながら、なんてことマシューリ殿下に言ってるんです。
「ふふふ。安心してください~カル。私はカルの婚約者だと誰もが知ってるんですよ。心配しなくてもそんな私に誰も寄ってきませんわ。」
心配しなくても大丈夫ですよカル。と言ったんですが腰にあったはずの腕が私をギュッと強く抱き締めてきて
「心配だ………。」
と呟いたと思ったらクラリスお兄様にもなんとも言えない目で見られてるのが気になって、マシューリ殿下だけが微笑んでいたことを私は気にもとめていなかった。
……そんなはずない。この世界では誰も知らないはずだから。
「リティどうした?」
私の様子が変わったことに気づいたカルが話しかけてくれるが言葉が出てこない。
たってそんなはずないもの。
「リティ大丈夫か?」
ほら、クラリスお兄様までも心配しだしたわ。
早く言葉を出したいのに苦しくて嬉しくて……懐かしくて気持ちがごちゃ混ぜになってる。
「とっとても美味しくて………「なんで泣いてるんだ?」
言葉を遮ってきたカルに言われて初めて自分が泣いてることに気づいた。
「とても……なつか…美味しくて感動してしまいましたわ。これなんか温かみのある優しいお味のは心に染みる肉じゃ「お袋の味なんだろ。」そうそう、お袋の味ですわって……」
そんなはずない。
『お袋の味』って前世の世界での言葉。
この世界じゃ誰も知らない言葉。
なんで?なんで知ってるの?
言葉を遮った相手が予想外で固まってしまった。
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
どういうことだ?
知らない言葉が出てきた。
『お袋の味』………とはどういう意味だ?
この料理は食べたことがないがリティは知っていたのか?
この国の料理は初めて来たリティは食べたことがないはずだ。
リティも知っているような口ぶりだったが………今は国王陛下に王妃様もいる晩餐中で問い詰めれる状況ではないな。
「リティ?大丈夫か?」
涙を流しながら言葉を聞いたときから目を見開いて固まってしまっていた。
「あっ…………………ええ、大丈夫ですわ。すっすみません、あまりにも美味しくて感動してしまいましたわ。」
いや、大丈夫ではないな。
挙動不審すぎる。
クラリスもリティが正気ではないと判断したのか、心配そうな顔になっている。
瞳を潤ませながら食べている料理を気に入ったからだけではないだろう。
リティのことは全てを知っているが、俺の知らないことがあるとすれば時々話してくれていた前世の世界でのことだけだ。
「私、リティアナちゃんのことますます気に入ったわ。留学だけでなくこっちに住まない?」
王妃様の何気ない一言をリティが笑って対応していたが、あれは本気に口説いていた目だった。
将来俺のお嫁さんになって王妃となるリティが交流を深めるのはいいことだが、俺からリティを奪おうとするなら話しは別だ。
マシューリだけでなく王妃からも気に入られるとは………厄介だな。
留学中警戒を強めておこう。
ーーーーーーーー
ーーーー
「リティアナ、これから二人でお茶しないか?」
どうしましょう。
直接のお誘いを一令嬢な私が断れるわけがないですわ。
晩餐後、マシューリ殿下が誘ってきたが、『二人で』って辺りが引っ掛かり言葉をつまらせていると、
「二人にさせるわけないだろうが。」
私の腰を引き寄せてカルが顔に青筋をたてながらマシューリ殿下に抗議した。
「カルティド殿下はこの前から邪魔ばかりするなぁ。リティアナが側にいないと不安でたまらないのかな?」
意地悪な笑みを浮かべながらカルを挑発してきたマシューリ殿下。
「そうだ。リティが大切なので片時も離れたくない。リティは可愛いから悪い虫がつくと大変だ。」
人前でやめてください。
私の頭にチュッとキスをしながら、なんてことマシューリ殿下に言ってるんです。
「ふふふ。安心してください~カル。私はカルの婚約者だと誰もが知ってるんですよ。心配しなくてもそんな私に誰も寄ってきませんわ。」
心配しなくても大丈夫ですよカル。と言ったんですが腰にあったはずの腕が私をギュッと強く抱き締めてきて
「心配だ………。」
と呟いたと思ったらクラリスお兄様にもなんとも言えない目で見られてるのが気になって、マシューリ殿下だけが微笑んでいたことを私は気にもとめていなかった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
『異世界転生してカフェを開いたら、庭が王宮より人気になってしまいました』
ヤオサカ
恋愛
申し訳ありません、物語の内容を確認しているため、一部非公開にしています
この物語は完結しました。
前世では小さな庭付きカフェを営んでいた主人公。事故により命を落とし、気がつけば異世界の貧しい村に転生していた。
「何もないなら、自分で作ればいいじゃない」
そう言って始めたのは、イングリッシュガーデン風の庭とカフェづくり。花々に囲まれた癒しの空間は次第に評判を呼び、貴族や騎士まで足を運ぶように。
そんな中、無愛想な青年が何度も訪れるようになり――?
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
幼い頃から天の声が聞こえるシラク公爵の娘であるミレーヌ。
この天の声にはいろいろと助けられていた。父親の命を救ってくれたのもこの天の声。
そして、進学に向けて騎士科か魔導科を選択しなければならなくなったとき、助言をしてくれたのも天の声。
ミレーヌはこの天の声に従い、騎士科を選ぶことにした。
なぜなら、魔導科を選ぶと、皇子の婚約者という立派な役割がもれなくついてきてしまうからだ。
※完結しました。新年早々、クスっとしていただけたら幸いです。軽くお読みください。
私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる