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「行くぞ。」
「はい?」
「デートの約束しただろ!?」
いやいやいや、した覚えない………
「帰り際のほっぺにキスで吹っ飛んだか?」
呟きながらニヤニヤし近づいてくるアルスフォードは私が記憶から抹消していた事をピンポイントでついてくる。
一歩近づけば一歩後退することをお互い繰り返し、壁にぶち当たり動けなくなってヤバい。
「ライラ、もう逃げれないぞ。」
「なんなんで近寄ってくるのよ!」
「今日は一段と気合いをいれてるな。それにブルーにシルバーの装飾品、俺色に染まってていい。」
上から下までジロジロと見て最後に耳元で「綺麗だ」なんて呟かれたら全身燃えるように熱くなる。
そう、侍女達にアルスフォードと出掛けるなんて言ってなかったのに朝から急かされてあれよこれよと支度をし今に至る。
アルスフォードが侍女達を買収してたに違いない。
全てがアルスフォードの色で揃えられてるし、やたらとファミがニヤニヤしてたのが気になってたが……やられた。
「ちっちょっと、離れてよ。そんな甘い台詞要らないから。」
「本当のこと言っただけだろ。照れてるライラ可愛いな。」
頬をすりっと触りながら心臓に悪いこと言わないでほしい。
「どっどうしちゃったの?普段そんなことを女性に言う性格じゃないのに。」
本当、急にどうした?
「わかったからさ。元々思ってたことだ。口にだしたら全部を奪いたくなるから我慢してたんだが、これからはしっかり思ったことを伝えるようにしただけだ。」
ん?途中なんていった?
何を奪いたくなるって??
意味わからないけど、アルスフォードの瞳が真剣すぎて私にとって不穏な感じがするから聞かなかったことにしよう。
「きゃぁぁ、アルスフォード見てみて!!あのカフェすごく可愛いよ。」
確か今流行ってるパンケーキのお店って侍女達や令嬢達が騒いでたの聞いたことある。
外装から内装まで淡いピンクでリボンやハートで可愛らしく飾り付けられパンケーキも美味しくて最高なんだって。
聞いてからずっと行きたかったところなんだよね。
「やっぱり、ライラ好きそうだもんな。ここで休憩するか。」
「うん。そうするー。」
嬉しさから、いつの間にかアルスフォードの腕に抱きついて
歩いてた。
周りからジロジロと見られて注目を浴びてるなんて夢にも思わなかった。
学園でいつもアルスフォードは令嬢達の熱い視線を浴びてるから外でも大変だねー。ってのんきに思ってたのがまさかあんなことになるなんてこのときは夢にも思わなかった。
「はぁぁぁ、すっごぉく美味しい。幸せ。」
噂のパンケーキ最高。
人気になるのわかるわー。
「ほら、急いで食べすぎなんだよ。」
私の口元についてたホイップを親指でくいっと拭き取り、流れる動作でアルスフォードがパクリと食べた。
「…………。」
一瞬の沈黙の後、きゃぁぁぁぁと周りが騒がしくなった。
うん、わかる、わかるよ。
今私も叫びたいのをぐっと押さえて淑女らしくした自分を誉めてほしい。
というか、この反応皆こっち見てたのか。
なお恥ずかしいじゃないか。
「ライラ、美味しいな。」
やめて!!
その微笑みでを私を見ないで。
どっち?それはどっちの意味なの??
ホイップのことだよね?
その言い方やめよう。私を食べたみたいな言い方やめよう。
私が変な気持ちになっちゃうから。
平静でいるはずなのに、顔をあげられずパンケーキを黙々と食べた。
こんなことされたらアルスフォードを意識してしまうじゃない。
「ねぇ、いいいいいいいつまで手をつつつつつ繋いでるの?」
お店を出て自然とアルスフォードの手が私の手を捉えた。
最初は何か危険だから引っ張ってくれたのかと思ったのにずっと同じ状況が続いてる。
「ん?ずっとだけど。」
なんて?
今日のアルスフォードは意味がわからない。
ドルミン様のことが好きなのにアルスフォードの行動が私に期待をさせるじゃん。
本当にやめてほしい。
勘違いした私はめんどくさいよ。
「ねぇ、わかってる?アルスフォードの態度が私を誤解させたり周りも私を好きって思っちゃうよ。ドルミン様に誤解されちゃうから悲しいことになるよ。」
「この際はっきり言うが、ドルミンに恋愛感情はない。なんであり得ないドルミンとくっつけたがるんだ。知ってる物語だからか?」
「……そうよ。」
「物語があったとしても俺は自分の意思で動く。ドルミンではなく俺はライラを求めてるからな。」
「……やめてよ。」
手を引き寄せられてアルスフォードの胸板にトンと顔がぶつかってドクンと大きく心臓が響く。
……だから嫌って言ったのに。
「俺の気持ちわかってるだろ。いい加減逃げるのやめろよ。」
「……やめて。それ以上言わないで。」
「俺はライラ以外に立たない。」
一瞬意味がわからなかったが、だんだんと思考が戻ってきて顔がブワッと熱くなる。
「はっ?ななななななにいってるの!!そんな報告いらないってば。」
「本当のことだ。」
「本当のことでも報告しないでよ。」
「俺の気持ちを信じないからだろ。」
「………もう、ドルミン様とくっつけないから離れてよ。」
「ライラの気持ち教えるまで離さない。」
………もう、いつの間にか腰を抱かれて逃げられないようホールドしてる手腕は凄いわ。
はぁ、私の気持ちか。。
本音を言わないと離してくれなさそうだな。
上を向くとすぐ近くにアルスフォードの端正な顔があってそんな顔で見つめられるとどうでもよくなっちゃうじゃん。
「………だって、傷つきたくない。私がアルスフォードを好きで今は私のこと想ってくれてても強制力が働いてドルミン様とくっついたなんて展開耐えられないよ。だから、好きになっちゃダメなの!!傍観者がいいんだってば。」
自分でも何処かでアルスフォードに惹かれてたってわかっても、実らない恋とわかってるなんて耐えられる自信ない。
最初から蓋をしないとダメなんだって。
「ライラは俺の気持ちを信じてないんだな。」
傷ついたような瞳で見つめられて思わず叫んでしまった。
「信じたいけど怖いの!!アルスフォードが心変わりするところを側で見たくないの!!私だって好きなのにって……アルスフォードの全ては私のものなのにって思っちゃうから!!」
いや、周りの皆さん止まらないで。
事情知らない周りの皆さんの暖かい視線が生々しい。
やめて、そんな端正な顔を崩してニヤニヤしないでアルスフォード。
恥ずかしい気持ちを大声に出してごめんなさい。
謝るからさっきの言葉取り消してぇぇぇ。
「はい?」
「デートの約束しただろ!?」
いやいやいや、した覚えない………
「帰り際のほっぺにキスで吹っ飛んだか?」
呟きながらニヤニヤし近づいてくるアルスフォードは私が記憶から抹消していた事をピンポイントでついてくる。
一歩近づけば一歩後退することをお互い繰り返し、壁にぶち当たり動けなくなってヤバい。
「ライラ、もう逃げれないぞ。」
「なんなんで近寄ってくるのよ!」
「今日は一段と気合いをいれてるな。それにブルーにシルバーの装飾品、俺色に染まってていい。」
上から下までジロジロと見て最後に耳元で「綺麗だ」なんて呟かれたら全身燃えるように熱くなる。
そう、侍女達にアルスフォードと出掛けるなんて言ってなかったのに朝から急かされてあれよこれよと支度をし今に至る。
アルスフォードが侍女達を買収してたに違いない。
全てがアルスフォードの色で揃えられてるし、やたらとファミがニヤニヤしてたのが気になってたが……やられた。
「ちっちょっと、離れてよ。そんな甘い台詞要らないから。」
「本当のこと言っただけだろ。照れてるライラ可愛いな。」
頬をすりっと触りながら心臓に悪いこと言わないでほしい。
「どっどうしちゃったの?普段そんなことを女性に言う性格じゃないのに。」
本当、急にどうした?
「わかったからさ。元々思ってたことだ。口にだしたら全部を奪いたくなるから我慢してたんだが、これからはしっかり思ったことを伝えるようにしただけだ。」
ん?途中なんていった?
何を奪いたくなるって??
意味わからないけど、アルスフォードの瞳が真剣すぎて私にとって不穏な感じがするから聞かなかったことにしよう。
「きゃぁぁ、アルスフォード見てみて!!あのカフェすごく可愛いよ。」
確か今流行ってるパンケーキのお店って侍女達や令嬢達が騒いでたの聞いたことある。
外装から内装まで淡いピンクでリボンやハートで可愛らしく飾り付けられパンケーキも美味しくて最高なんだって。
聞いてからずっと行きたかったところなんだよね。
「やっぱり、ライラ好きそうだもんな。ここで休憩するか。」
「うん。そうするー。」
嬉しさから、いつの間にかアルスフォードの腕に抱きついて
歩いてた。
周りからジロジロと見られて注目を浴びてるなんて夢にも思わなかった。
学園でいつもアルスフォードは令嬢達の熱い視線を浴びてるから外でも大変だねー。ってのんきに思ってたのがまさかあんなことになるなんてこのときは夢にも思わなかった。
「はぁぁぁ、すっごぉく美味しい。幸せ。」
噂のパンケーキ最高。
人気になるのわかるわー。
「ほら、急いで食べすぎなんだよ。」
私の口元についてたホイップを親指でくいっと拭き取り、流れる動作でアルスフォードがパクリと食べた。
「…………。」
一瞬の沈黙の後、きゃぁぁぁぁと周りが騒がしくなった。
うん、わかる、わかるよ。
今私も叫びたいのをぐっと押さえて淑女らしくした自分を誉めてほしい。
というか、この反応皆こっち見てたのか。
なお恥ずかしいじゃないか。
「ライラ、美味しいな。」
やめて!!
その微笑みでを私を見ないで。
どっち?それはどっちの意味なの??
ホイップのことだよね?
その言い方やめよう。私を食べたみたいな言い方やめよう。
私が変な気持ちになっちゃうから。
平静でいるはずなのに、顔をあげられずパンケーキを黙々と食べた。
こんなことされたらアルスフォードを意識してしまうじゃない。
「ねぇ、いいいいいいいつまで手をつつつつつ繋いでるの?」
お店を出て自然とアルスフォードの手が私の手を捉えた。
最初は何か危険だから引っ張ってくれたのかと思ったのにずっと同じ状況が続いてる。
「ん?ずっとだけど。」
なんて?
今日のアルスフォードは意味がわからない。
ドルミン様のことが好きなのにアルスフォードの行動が私に期待をさせるじゃん。
本当にやめてほしい。
勘違いした私はめんどくさいよ。
「ねぇ、わかってる?アルスフォードの態度が私を誤解させたり周りも私を好きって思っちゃうよ。ドルミン様に誤解されちゃうから悲しいことになるよ。」
「この際はっきり言うが、ドルミンに恋愛感情はない。なんであり得ないドルミンとくっつけたがるんだ。知ってる物語だからか?」
「……そうよ。」
「物語があったとしても俺は自分の意思で動く。ドルミンではなく俺はライラを求めてるからな。」
「……やめてよ。」
手を引き寄せられてアルスフォードの胸板にトンと顔がぶつかってドクンと大きく心臓が響く。
……だから嫌って言ったのに。
「俺の気持ちわかってるだろ。いい加減逃げるのやめろよ。」
「……やめて。それ以上言わないで。」
「俺はライラ以外に立たない。」
一瞬意味がわからなかったが、だんだんと思考が戻ってきて顔がブワッと熱くなる。
「はっ?ななななななにいってるの!!そんな報告いらないってば。」
「本当のことだ。」
「本当のことでも報告しないでよ。」
「俺の気持ちを信じないからだろ。」
「………もう、ドルミン様とくっつけないから離れてよ。」
「ライラの気持ち教えるまで離さない。」
………もう、いつの間にか腰を抱かれて逃げられないようホールドしてる手腕は凄いわ。
はぁ、私の気持ちか。。
本音を言わないと離してくれなさそうだな。
上を向くとすぐ近くにアルスフォードの端正な顔があってそんな顔で見つめられるとどうでもよくなっちゃうじゃん。
「………だって、傷つきたくない。私がアルスフォードを好きで今は私のこと想ってくれてても強制力が働いてドルミン様とくっついたなんて展開耐えられないよ。だから、好きになっちゃダメなの!!傍観者がいいんだってば。」
自分でも何処かでアルスフォードに惹かれてたってわかっても、実らない恋とわかってるなんて耐えられる自信ない。
最初から蓋をしないとダメなんだって。
「ライラは俺の気持ちを信じてないんだな。」
傷ついたような瞳で見つめられて思わず叫んでしまった。
「信じたいけど怖いの!!アルスフォードが心変わりするところを側で見たくないの!!私だって好きなのにって……アルスフォードの全ては私のものなのにって思っちゃうから!!」
いや、周りの皆さん止まらないで。
事情知らない周りの皆さんの暖かい視線が生々しい。
やめて、そんな端正な顔を崩してニヤニヤしないでアルスフォード。
恥ずかしい気持ちを大声に出してごめんなさい。
謝るからさっきの言葉取り消してぇぇぇ。
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