BL小説だと思ってたけど様子がおかしいです。

MAYY

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「へぇ~、ライラどういうことかな?」

ああぁぁ……この顔はもう駄目だ。
目を細目ながら最後はにっこり笑顔で私を見てくるアルスフォードは理由を言うまで逃さないだろう。
変に嘘ついたら見破られそう……私が自信ない。

「………………………というわけで私には前世の記憶があってそこではここはBLの世界でアルスフォードとドルミン様………他の攻略者達が恋愛をしてハッピーエンドになる物語なの。あっ、私偏見ないからアルスフォードが男性を好きでも私達は今までと同じ幼馴染みよ。恋愛は自由だもんね。」

ぶっちゃけ言えてスッキリしたわ。
観賞してるのがバレてしまうのはいたいけど、隠し通せる自信なかったからね。

「ふふっ。好きな人を言い当てられて言葉もでないでしょう。これからは一人で抱え込まないで私に相談して良いからね~。恋愛話ウェルカムよ。」

笑顔でアルスフォードに伝えたのに黒いオーラを纏った笑顔を向けられてちょっとビビるんだけど。

「…………色々突っ込みたいこともあるが誤解が壮大過ぎる。1つずつわからせてやる。覚悟しろよ。」

「えっ?なになに怖いんだけど。」

「ライラにわからせるだけだ。」

「それが未知すぎて怖いわ。……って近づいてこないでよ。」

話しながら近寄ってくるから後退りしてもうソファーの端で動けなくてヤバイ。

「ライラは知ってるもんだと思ってたが違ったんだな。」

「なにが?」




「俺の恋愛対象は【ライラ】だ。早く俺に落ちろ。」




はっ!?という声はほっぺにキスをされて言葉にならなかった。









どどどどういうこと?
BLの世界だと思ってたのにあのアルスフォードからキッキッキ……いやぁぁぁ。

柔らかかった。
睫毛が長くて肌が綺麗でイケメンって目を閉じててもイケメンなんだ……ってどこ見てたの私は!!
だってだってあんなに近くに顔があれば見つめてしまうわ。
イケメン怖い。吸い込まれる。

「お嬢様、コロコロとはしたないですよ。」

「あれ?アルスフォードは?」

「何言ってるんですか。もう数時間前に帰られましたよ。それからお嬢様はずっとベッドの上でコロコロと踠いていたではないですか。」

数時間も私はやってたのか。
頭が真っ白になってしまってあまり記憶にない。
そういえば帰り際にアルスフォードが何か言ってたような……思い出せない。
まっ、大したこと言ってないだろうしいっか。

「いつも挙動不審ですが、今日は磨きがかかってますね。何かあったんですか?」

いつも挙動不審なんだ私。

「……何もないよ。ファミも気にしないで。」

「わかりました。私はいつでもお待ちしてます。」

ファミは私が小さい頃から使えてくれてるから何か気づいちゃったかな?
まあ、もうあんなことあるわけじゃないから言わなくてもいいかな。
ビックリしたけど目の保養なアルスフォードのほっぺにキスならご馳走さまだ。
観賞対象の中ではダントツでアルスフォードが推しだもんね。

ほっぺを触ると感触を思い出して身体が熱くなる。
私は傍観者。アルスフォードに恋なんてしたら駄目だ。
傷つく恋なんてしたくない。






「浮かない顔だな。いつもの気合いのはいった気迫はどうした?」

この無礼な物言いはスペンサー侯爵令息か。
横目で見ながらため息が出てくる。

「はぁ……いつもいつも気合いをいれていたら私はきついですわ。それに勝手に隣に座らないで下さいよ。」

「お前相変わらず失礼なやつだな。」

そっクリソのまま返したい。

「で、またドルミン様を見にきたんですか?」

ガタンッと大きく椅子から滑り落ちて

「なっなななななななんで………っ。」

言葉になってないよ。
顔中真っ赤でウブいな。
あんなオレオレ系でも心はピュアときた。
嫌いじゃないよそんな人。

「ふふ。見てればわかるわ。スペンサー令息も可愛いところあるのね。」

「……最悪だ。誰にも言わないでくれ。俺みたいな奴がって驚かないのか?」

好きで興奮しながらBL小説読んでたわよ。
キャラ的に好きではなかったけどオレオレ系なのにウブな奴と思ってたけどそのまんまでいい奴だ。

「言わないわよ。人を好きになるって素敵じゃない。男も女も同じよ。私は応援するわ。」


「口悪い令嬢だと思ってたけどお前っていい奴だな。」

こっちの台詞だわ。
それに一言多いっての。

「あっ、ほらほらあれじゃない?」

スペンサー令息の腕をグイッと引っ張ってドルミン様に気づかせる。

「ちょっお前急に引っ張んなって。」

「ほら、呑気なこと言ってるとすぐ通りすぎちゃうわよ。見にきたんでしょう!!」

もう、照れてる場合じゃないっての。


「誰を見にきたんだ!?」

今取り込み中で話しかけないでよ!って振り向きながら

「決まってるでしょっ……………アッアルスフォード!?」

黒いオーラを纏ったアルスフォードが目にはきってきてスペンサー令息の腕をギュッと力がはいる。

「あっあははっ。やっやだなぁ~アルスフォードも何処かへ行く途中だったのね。」

「おっおい、はっ離れろよ。」

目の前にはアルスフォードと一緒にドルミン様もいるってのに何青い顔してるのスペンサー令息は。

「ライラ、おいで。そんなに抱きつくまでスペンサー令息と仲が深いとは知らなかったな。」

「いや、これは別に抱きついてた訳じゃなくてきゃっ。」

アルスフォードが急に私を引っ張るからギュッと抱き付いてしまったじゃん。

「スペンサー令息、うちのライラが抱きついたことは忘れろ。」

「なっ何もかも忘れます。」

地を這うような声色でアルスフォードが言うから怖がってるよ。

「ん、スペンサー令息は見た目と違って素直でいいね。俺が記憶を消す方法もあるけど使わなくていいみたいでよかったよ。」

今恐ろしいこと言わなかった?
あっ、スペンサー令息が青ざめてるから恐ろしかったんだ。

「アルスフォードが何を怒ってるのかわからないけど、スペンサー令息とは普通に話してただけだから何かされた訳じゃないよ。」

「話してて何故ライラが腕に抱きついてたんだ?」

「そっそれは………」

スペンサー令息にドルミン様が通るのを知らせてましたなんて言えるわけない。

「むっ向こうからアルスフォードが見えて嬉しくて思わず隣にいたスペンサー令息の腕を掴んじゃったの。ごめんなさい、スペンサー令息。」

とりあえず、スペンサー令息の恋路を暴露は厳禁だから私の話しにすり替えよう。

「ライラが俺を意識してくれてるのがよくわかったよ。」

「ふぇっ!?」

なんでそんな意味になった??
抱きついてるアルスフォードを見上げると

「嬉しいからってスペンサー令息を掴んだのは駄目だな。今度からは俺を見つけたらかけよって抱きついてこいよ。」

有無を言わさないと言わんばかりの笑顔が怖いよ、アルスフォード。
ここで私が断ったら追及されるとヤバイな。

「わかった。今度からはアルスフォード見つけたら抱きついちゃうから。覚悟してね。」

「なら、俺もライラ見つけたら抱き締めるよ。」

機嫌がよくなったアルスフォードはニコニコ笑顔でまたとんでもないことを言い出した。

会えばお互い抱きつくって意味わからない。
後ろに想い人のドルミン様がいるのに誤解されちゃうよ。

「アルスフォードは好きな人がいるのにしなくていいよ。私も協力することはできるから。」


「「「………………」」」


笑顔で気持ちを伝えたのに、アルスフォードは笑顔が凍りつき、ドルミン様は困った顔をしていて、スペンサー令息は『お前って奴は……』と小さく呟いていた。


なんでよ。
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