BL小説だと思ってたけど様子がおかしいです。

MAYY

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ちょっと待って、急にどうした?

「ごめんなさい。ドルミン様よく聞こえなかったのでもう一度言ってくださる?」

「好きなんだ。」

「えっええ、(アルスフォードのこと)好きなのは知ってましたわ。」

愛の告白?なんて私は誤解しないから大丈夫よ。
私に言ってしまうほどアルスフォードへの想いが溢れてきたのね。

「知ってたのか……(ライラ嬢とアルスフォードのやり取りを見てると)いつも苦しかった。」

そんなに?追い詰められてたなんて……アルスフォードなにやってるのよ。
しっかり愛情表現しないから不安になるのよ。

「私が言えることは、ドルミン様はもっと(アルスフォードに)愛情表現されるとより伝わると思いますの。」

「なるほど。そうすれば俺を恋愛対象と見てくれるだろうか?」

ふふふ。対象どころか両想いになれるよ。
でもそこは、私が言うことじゃない。

「ドルミン様次第ですわ。」

「わかった。これからは遠慮せずに伝えよう。」

ドサッドサドサっと周りから音が聞こえてくる。
フッと笑ったドルミン様を見た通行人の被害者が出た。
わかるわ~。
恋愛の話をしてたからかいつもよりうるんだ瞳に流し目なんて、見ただけでノックアウトしちゃう色気が出てたわ。

私も一瞬クラッときちゃった。
アルスフォードと恋仲になると知らなかったらヤバかった。





「………それでドルミン令息が頬を赤く染めライラ令嬢をうるんだ瞳で見つめ、ライラ令嬢が見つめ返すとドルミン令息が目を剃らし通行人が流し目にやられ倒れていった。ライラ令嬢は頬を染めることなく周りを観察していた。」

ゴホゴホッ

こっこわ。なっなんの報告??
目の前で急にミラ様が淡々と読み上げていくのをお茶を飲みながら聞いていて途中で噎せてしまった。
最初はポエムか何かと思ってたけど、めちゃくちゃ私の名前出てる!
これ、ドルミン様との一連のやり取りじゃない!
ミラ様がなぜそれを読み上げてるの?

「ミラ様。これって私とドルミン様の交わしたないようですよね?」

「そうなの。ドルミン令息がここまで積極的になるなんて……よほど(ライラのことが)好きなのね。」

この意味がわからない事態をすんなりと受け止められてる……何で?はミラ様にとって意味ないんだ。
ここはスルーしよう。

「それは私も思いましたわ。私に伝えてくるくらい想いを募らせていたなんて(アルスフォードは)罪作りですわ。」

「アルスフォードの態度を見て感情を抑えられなくなったのね。青春だわ~。」

「青春ですね。だから私ドルミン様に言いましたの。愛情表現は大切だと。ドルミン様は納得されてましたわ。これから(アルスフォードに)積極的に動かれるのではないでしょうか。」

パリンッ

ひぃぃ。
隣にいるアルスフォードを見ると、コップのとってが割れている。

「どっどうしたの?アルスフォード大丈夫?」

「あらあら、力加減は教えてたでしょう。」

「すみません、母上。ライラがあまりにも可愛くてつい。」

えっ?
可愛いとコップ割れちゃうの?
笑顔で怒ってるようにしか見えないんだけど。

「ライラ、俺がいながらドルミンの気持ちに答えるつもり?」

「えっ?アルスフォードはいつも私といるけどその事と関係ある?私が答えるんじゃなくて、ドルミン様の気持ちは想い人が答えるものよ。」

「「えっ!?」」

ミラ様とアルスフォードが急に驚いた声をあげたが何をそんなに驚いたの?
ドルミン様がアルスフォードが好きとか変なこと言ってないはずだけど。
ん~………うん、言ってないわ。

「ビックリするほど伝わってないのね。」

「長期戦で行こうと思ってたが、邪魔が入りそうだ。早く俺のものにしたくなった。」

「責任ある行動をとるなら何も言わないわ。」

「母上の許可も頂いたし、これから遠慮はしないからな。」

二人とも澄ました顔してるが何を言ってるんだろう。
途中から訳がわからない。
こういう時はにっこり笑って見守ろう。




「あー、ミラ様とのお茶美味しかった。さすが公爵家お茶ね。格が違うわ。」

「これから一生飲めるからな。」

ふぅ~と息をつきながらソファーに腰を掛けたら、ドサッと隣にアルスフォードが座ってきた。
ん?何て言った?言葉が聞こえたような……気のせいか。
うん、気のせいよね。

「ねえ、近すぎない?このソファー大きいからこんなに近いのおかしいよね?」

気のせいじゃなく物理的距離が近いよ。
だって足が当たってるじゃん。

「いや、これ普通だろ。ところで、ドルミンの(ライラへの)想いを聞いてどう思った?」

この部屋広いのにこんなくっついて座ることないじゃん。
普通じゃないって。

「(アルスフォードへの)想いが爆発してた。情熱的な方なのね~ドルミン様って。」

ニヤニヤしながら愛されてるね~ドルミン様に。って聞こえないように呟きながら目の前のお菓子を口に入れようとした時、グイッと目の前が回ったと思ったらアルスフォードの顔が目の前に広がった。

「どういう意味かな?ライラ何か知ってるだろ。素直に話さないと俺自制が崩壊して何するかわからないぞ。」

いつも笑顔なのに真顔のアルスフォードは久しぶりに見る。
これめちゃくちゃ怒ってる時にする顔だ。
こうなると『自分を抑えられない』『壊したい』とブツブツ呟いてるヤンデレアルスフォードが完成する。

しかも、お菓子を食べてるはずがソファーに押し倒され覆い被さって身動きがとれないというなんて構図になってるの。
さすがの私もこの体制にアルスフォードが近すぎて恥ずかしい。

「ああ、いい眺めだな。それに俺を意識してる顔で最高だ。顔が真っ赤だぞ。」

『意識してる』とハッキリ口に出されるとよけい意識してアルスフォードのこと見てしまうじゃない。

「そうそれ、ようやく俺を男として見たな。」

口角を上げて熱を帯びた瞳で見つめてくる悪いやつだ。
この顔を見たら女だったらイチコロよ。
私も例外じゃなくてドキドキが止まらない。

「アルスフォードは昔から男の子よ。」

「はっ。ライラの中ではまだ男の子だったのかよ。男だとわからせてやろうか?」

ぎゃぁぁ、なんてこと言うの!!
かっこいい……じゃなくて好きな子以外には言ってはダメなやつ。
そんなこと言われたらみんな好きになっちゃうやつ。
いつもの笑顔のアルスフォードじゃない、知らない男の部分を見せられて心臓がバクバクだ。

「かかっかかかかかか顔が近づいてきてる気がすすすすすすすすするんだけど?」

こんな時だけ無言やめてー。

チュッ

首に柔らかいものが当たる。
アルスフォードの唇だと認識するのに時間はかからず、全身が一気に火照る。

「なっっっっっ………。」

言葉にならないってこういうことか。

「もっと俺を意識すればいい。今度は………こっちか。」

こっちってなになに?
目線が私の唇を見てるけど違うよね?

「だっだだだだだ駄目だよ。アルスフォード正気に戻って!!」

「正気だけど。」

いやいやいや、目がギラギラしてて怖いわ。

「アルスフォード、冷静になろう?ねっ。」

「俺はずっと冷静だ。」

「いや、冷静じゃないわ。相手は私じゃないでしょ!」

「どういう意味だ?」

話しながら近づいてきて冷静じゃいられないじゃない私が。



「ドルミン様でしょう!!」



大声で叫んでアルスフォードは固まり、私は……やってしまった。
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