2 / 5
2.
しおりを挟む
「デビュタント素晴らしかったですわ。」
「もうもう、私は本物の王子様を初めて見ましたわ。」
「ちっ、アルスフォード様を独り占めしやがって何様のつもり。」
「お二人がどれだけ想いあってるのかを見せられましたわ。」
「地味女。」
「優しく抱き抱えるアルスフォード様。ライラ様も安心して身を預ける姿。目に焼き付いて忘れられないですわ。」
いや、忘れてほしい。
朝から羞恥大会ですか?って言うくらいクラスの令嬢達が勢いよく話しかけてくるが嫌みも混じってるよ。
聞こえないと思ってるかもしれないけど聞こえてるからね。
しかも嫌みどころか『地味女』とかもう私の悪口だからね。
「恥ずかしいので皆様騒ぎすぎないでくださいね。」
とでも言っておこう。
本当に騒ぎ過ぎないでほしい。
アルスフォードを好きなドルミン様が私を敵認定したらどうするの。
ドルミン様って怒らせるとねちねち系で怖いんだからね!
その標的が私になったら………と考えただけで怖いわ。
あーあ、何であそこで気絶しちゃったんだろ。
アルスフォードが素敵すぎたし耳元であんな美声を聞くとか反則だ……なんて口に出して言わないけど実際負けた感がある。
『気絶したあなたを颯爽と抱き抱えてライラの顔を見られないように抱き寄せてアルスフォード様が配慮してくださったのよ。あんな紳士はいないわ。さすが、ミラの子供ね。きちんとお礼言わないとだめよ。』と次の日目が覚めたときにお母様に言われた言葉を思い出す。
あっ、そうだったんだ~。アルスフォードありがとう。と心のなかで楽観してたが……学園の令嬢達の反応はそこまで?と突っ込みたくなるほどで予想以上に凄かった。
ようやく逃げ出………『皆様の熱気にやられて少しお外で冷やしてきますね。』と我ながらよくわからない言い訳を言って外に来たけど、やっぱりここは素敵ねー。
この学園でここの中庭スペースが一番好きな場所。
「ん~ここは静かで最高だ。朝から大変な目に遭っちゃった。」
ベンチに座って背伸びをしながらボーと空を見上げる。
空は前世と一緒だからいろんな感情が込み上げてくるんだよね。
悲しいことも嬉しいことも……小説のことも。
次は何があるんだったかな~……………………。
「………い。おい、そこは俺の席だ。どけ。」
誰よ、人が気持ちよくなってる時に妨げてくるのは。
しかも偉そうで気分悪いったらない。
「…………ここは私有地ではありませんわ。よって早い者勝ちです。」
横目で睨み付けるように当たり前なことを言ったのに
「お前は馬鹿か?俺が誰だかわからないのか?俺を怒らせない方がいいぜ。」
ああ、あのオレオレ系担当のドルミンのことが好きな騎士家庭のスペンサー・オルレン侯爵令息か。
権力で物言わすなんて馬鹿はどっちだ。
「誰であろうと学園では平等なのです。」
「はあ?地味女のくせに俺に逆らうのか?」
こいつが騎士になるとかこの国の騎士の将来が心配になるな。
「地味女で結構です。ほら、向こうにもベンチはありますよ。そちらに移動してはいかがでしょうか?」
「なら、お前が移動しろ。」
腰にぶら下げている短剣を触りながら脅してくる……もう騎士どころかヤバイやつじゃん。
「………わかりましたわ。それでは私が移動しましよう。ここからの景色は見えやすいですものね。」
「なっ……なんのことだ……。」
猛烈に動揺してますが?
それもそうだろう、ここからはある人物がよく見えるからね~。
「ただ、見てるだけでは始まりませんわよ。スペンサー・オルレン侯爵令息。」
言葉を失くし目を見開いて私の言葉に頬を赤くするオルレン侯爵令息は面白かった。
少し意地悪しちゃったかな。
あそこが一番気持ちいいベンチだけれど、私はどこでもよかったんだよね。
オルレン侯爵令息はあそこからドルミン様がいつも通るところを眺めてるんだったな。
秘めた恋……素敵すぎる。あんなにオレオレ系なのに可愛いところあるじゃん。私も応援してるよ。
「あ~あ、私もあんな素敵な恋してみたいわ。」
「素敵な恋とはどう言うことかな?」
「ひぃっ。びっびっくりするじゃない、急に目の前に現れてアルスフォードちっ近いよ。」
振り返ればこっちを覗き込む笑顔のアルスフォードの近さにビビる。
あと数センチではっはははは鼻が当たりそうだったんですけど!!
思いもしない状況にバクバクと心臓が早くなる。
私腐女子だったから慣れてないからねー。
振り返れば美形がそこにいるなんてこの世界は恐ろしい。
「素敵な恋とは?誰か好きな人がいるのか?」
人の話は聞こうね?
グイグイ近寄ってくるからくっ唇が当たっちゃうから!!
「そっそんな人いないってば。ちちちょっと離れて。」
耐えきれず力一杯アルスフォード押しちゃった。
「ライラと俺はこれくらいの距離感当たり前だろ。」
当たり前か………当たり前か???
いやいやいや、恋人の距離感でしょうが!
友達でもこの距離感ないわ。
そして後ろからその睨む目は怖いからやめて。
アルスフォードが私と近いからってドルミン様がすごく怒ってるんですが。
笑顔のアルスフォードは気づいてないから余計後ろと前の温度差が激しくて怖いわ。
「アルスフォード、この前は気絶して迷惑かけちゃってごめんね。色んな人から聞いて状況は理解したわ。」
「ああ、別にいいよ。俺はライラを抱けて得したよ。」
言い方言い方!!
別の意味に聞こえちゃうから!!
「お母様がアルスフォードの紳士的な振るまいに感動してたわ。」
「サラ様にはそう見えたのか。それならよかった。俺の部屋に連れていこうかと思ったが諦めたんだ。」
「はっ?」
笑顔で何てことを言ってるんだ。
怖くて真意が聞けない………というか、後ろからドルミン様がアルスフォードが発言する度にどす黒くなってく。
「母上がライラに会いたがってるから顔見せに来てくれ。」
「もちろん、久し振りにミラ様にも会いたいから行くわ。」
「次の休みに来いよ。」
行くけども、もういいから黙れー。
後ろに聞かれたら駄目な想い人がいるでしょうが。
恋は良くも悪くも人を変えるからね。
幼馴染みと言っても私にそんなに構ってると恋が実らないよ。
ほら、ドルミン様めちゃくちゃ何か言いたげな顔してるよ。
はぁ~これって………ドルミン様の恋路を邪魔するつもりないのに敵認定されてるよ。。。
アルスフォードが元凶なのに何故か嬉しそうな笑顔がイケメン過ぎて憎いわ。
「もうもう、私は本物の王子様を初めて見ましたわ。」
「ちっ、アルスフォード様を独り占めしやがって何様のつもり。」
「お二人がどれだけ想いあってるのかを見せられましたわ。」
「地味女。」
「優しく抱き抱えるアルスフォード様。ライラ様も安心して身を預ける姿。目に焼き付いて忘れられないですわ。」
いや、忘れてほしい。
朝から羞恥大会ですか?って言うくらいクラスの令嬢達が勢いよく話しかけてくるが嫌みも混じってるよ。
聞こえないと思ってるかもしれないけど聞こえてるからね。
しかも嫌みどころか『地味女』とかもう私の悪口だからね。
「恥ずかしいので皆様騒ぎすぎないでくださいね。」
とでも言っておこう。
本当に騒ぎ過ぎないでほしい。
アルスフォードを好きなドルミン様が私を敵認定したらどうするの。
ドルミン様って怒らせるとねちねち系で怖いんだからね!
その標的が私になったら………と考えただけで怖いわ。
あーあ、何であそこで気絶しちゃったんだろ。
アルスフォードが素敵すぎたし耳元であんな美声を聞くとか反則だ……なんて口に出して言わないけど実際負けた感がある。
『気絶したあなたを颯爽と抱き抱えてライラの顔を見られないように抱き寄せてアルスフォード様が配慮してくださったのよ。あんな紳士はいないわ。さすが、ミラの子供ね。きちんとお礼言わないとだめよ。』と次の日目が覚めたときにお母様に言われた言葉を思い出す。
あっ、そうだったんだ~。アルスフォードありがとう。と心のなかで楽観してたが……学園の令嬢達の反応はそこまで?と突っ込みたくなるほどで予想以上に凄かった。
ようやく逃げ出………『皆様の熱気にやられて少しお外で冷やしてきますね。』と我ながらよくわからない言い訳を言って外に来たけど、やっぱりここは素敵ねー。
この学園でここの中庭スペースが一番好きな場所。
「ん~ここは静かで最高だ。朝から大変な目に遭っちゃった。」
ベンチに座って背伸びをしながらボーと空を見上げる。
空は前世と一緒だからいろんな感情が込み上げてくるんだよね。
悲しいことも嬉しいことも……小説のことも。
次は何があるんだったかな~……………………。
「………い。おい、そこは俺の席だ。どけ。」
誰よ、人が気持ちよくなってる時に妨げてくるのは。
しかも偉そうで気分悪いったらない。
「…………ここは私有地ではありませんわ。よって早い者勝ちです。」
横目で睨み付けるように当たり前なことを言ったのに
「お前は馬鹿か?俺が誰だかわからないのか?俺を怒らせない方がいいぜ。」
ああ、あのオレオレ系担当のドルミンのことが好きな騎士家庭のスペンサー・オルレン侯爵令息か。
権力で物言わすなんて馬鹿はどっちだ。
「誰であろうと学園では平等なのです。」
「はあ?地味女のくせに俺に逆らうのか?」
こいつが騎士になるとかこの国の騎士の将来が心配になるな。
「地味女で結構です。ほら、向こうにもベンチはありますよ。そちらに移動してはいかがでしょうか?」
「なら、お前が移動しろ。」
腰にぶら下げている短剣を触りながら脅してくる……もう騎士どころかヤバイやつじゃん。
「………わかりましたわ。それでは私が移動しましよう。ここからの景色は見えやすいですものね。」
「なっ……なんのことだ……。」
猛烈に動揺してますが?
それもそうだろう、ここからはある人物がよく見えるからね~。
「ただ、見てるだけでは始まりませんわよ。スペンサー・オルレン侯爵令息。」
言葉を失くし目を見開いて私の言葉に頬を赤くするオルレン侯爵令息は面白かった。
少し意地悪しちゃったかな。
あそこが一番気持ちいいベンチだけれど、私はどこでもよかったんだよね。
オルレン侯爵令息はあそこからドルミン様がいつも通るところを眺めてるんだったな。
秘めた恋……素敵すぎる。あんなにオレオレ系なのに可愛いところあるじゃん。私も応援してるよ。
「あ~あ、私もあんな素敵な恋してみたいわ。」
「素敵な恋とはどう言うことかな?」
「ひぃっ。びっびっくりするじゃない、急に目の前に現れてアルスフォードちっ近いよ。」
振り返ればこっちを覗き込む笑顔のアルスフォードの近さにビビる。
あと数センチではっはははは鼻が当たりそうだったんですけど!!
思いもしない状況にバクバクと心臓が早くなる。
私腐女子だったから慣れてないからねー。
振り返れば美形がそこにいるなんてこの世界は恐ろしい。
「素敵な恋とは?誰か好きな人がいるのか?」
人の話は聞こうね?
グイグイ近寄ってくるからくっ唇が当たっちゃうから!!
「そっそんな人いないってば。ちちちょっと離れて。」
耐えきれず力一杯アルスフォード押しちゃった。
「ライラと俺はこれくらいの距離感当たり前だろ。」
当たり前か………当たり前か???
いやいやいや、恋人の距離感でしょうが!
友達でもこの距離感ないわ。
そして後ろからその睨む目は怖いからやめて。
アルスフォードが私と近いからってドルミン様がすごく怒ってるんですが。
笑顔のアルスフォードは気づいてないから余計後ろと前の温度差が激しくて怖いわ。
「アルスフォード、この前は気絶して迷惑かけちゃってごめんね。色んな人から聞いて状況は理解したわ。」
「ああ、別にいいよ。俺はライラを抱けて得したよ。」
言い方言い方!!
別の意味に聞こえちゃうから!!
「お母様がアルスフォードの紳士的な振るまいに感動してたわ。」
「サラ様にはそう見えたのか。それならよかった。俺の部屋に連れていこうかと思ったが諦めたんだ。」
「はっ?」
笑顔で何てことを言ってるんだ。
怖くて真意が聞けない………というか、後ろからドルミン様がアルスフォードが発言する度にどす黒くなってく。
「母上がライラに会いたがってるから顔見せに来てくれ。」
「もちろん、久し振りにミラ様にも会いたいから行くわ。」
「次の休みに来いよ。」
行くけども、もういいから黙れー。
後ろに聞かれたら駄目な想い人がいるでしょうが。
恋は良くも悪くも人を変えるからね。
幼馴染みと言っても私にそんなに構ってると恋が実らないよ。
ほら、ドルミン様めちゃくちゃ何か言いたげな顔してるよ。
はぁ~これって………ドルミン様の恋路を邪魔するつもりないのに敵認定されてるよ。。。
アルスフォードが元凶なのに何故か嬉しそうな笑顔がイケメン過ぎて憎いわ。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました
らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。
そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。
しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような…
完結決定済み
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
すべてはあなたの為だった~狂愛~
矢野りと
恋愛
膨大な魔力を有する魔術師アレクサンダーは政略結婚で娶った妻をいつしか愛するようになっていた。だが三年経っても子に恵まれない夫妻に周りは離縁するようにと圧力を掛けてくる。
愛しているのは君だけ…。
大切なのも君だけ…。
『何があってもどんなことをしても君だけは離さない』
※設定はゆるいです。
※お話が合わないときは、そっと閉じてくださいませ。
【完結】体目的でもいいですか?
ユユ
恋愛
王太子殿下の婚約者候補だったルーナは
冤罪をかけられて断罪された。
顔に火傷を負った狂乱の戦士に
嫁がされることになった。
ルーナは内向的な令嬢だった。
冤罪という声も届かず罪人のように嫁ぎ先へ。
だが、護送中に巨大な熊に襲われ 馬車が暴走。
ルーナは瀕死の重症を負った。
というか一度死んだ。
神の悪戯か、日本で死んだ私がルーナとなって蘇った。
* 作り話です
* 完結保証付きです
* R18
初対面の婚約者に『ブス』と言われた令嬢です。
甘寧
恋愛
「お前は抱けるブスだな」
「はぁぁぁぁ!!??」
親の決めた婚約者と初めての顔合わせで第一声で言われた言葉。
そうですかそうですか、私は抱けるブスなんですね……
って!!こんな奴が婚約者なんて冗談じゃない!!
お父様!!こいつと結婚しろと言うならば私は家を出ます!!
え?結納金貰っちゃった?
それじゃあ、仕方ありません。あちらから婚約を破棄したいと言わせましょう。
※4時間ほどで書き上げたものなので、頭空っぽにして読んでください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる