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妖鬼山
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約5年ぶりに訪れた図書館は、5年前と変わらぬ姿でそこにあった。周りの風景も、雰囲気も、全て同じで、もはや不気味に思えるほどだ。
「とりあえず中に入ろう。」
通行カードを見せて、中へ入る。
「懐かしい。やっぱり落ち着く。」
図書館独特の、この匂いが大好きだ。人が少ないのも相まって、香水などの人工物の香りも全くない、自然の香り。
「とりあえず、見て回るか。」
小説、漫画など、なつかしい作品が立ち並ぶ。僕が読んでいるシリーズものの小説もあった。
「新刊は、、、流石に入荷されてないか。」
一週間前に出た新刊を、あわよくば、ここで読んでやろうと思っていたが、どうやら、その願いは叶わないみたいだ。
絵本コーナーでふと目に留まる本を見つけた。
"妖鬼山妖怪伝説"
目立つ場所に置いてあった訳では無い。いつもなら見向きもしない場所に置いてあるこの本を、思わず手に取ってしまったのは、なぜだろう。パラパラと捲ってみる。妖鬼山に住んでいると言われている、河童、座敷わらし、一つ目小僧など、様々な妖怪達が、ポップな絵と共に紹介されている、いたってシンプルな子供向けの絵本だ。
「まあ、こんなもんだよな。」
少しだけ落胆してしまった。別に、何かを期待していた訳では無いはずなのに。
「自分でも気付かない内に、朝のニュース気にしちゃってたのかもな。」
子供が誘拐される事件。神隠しだ、妖怪の仕業だ、と騒ぐ大人が大嫌いだったはずなのに、これでは自分もその大人達と一緒じゃないか、と自嘲しながら、本を閉じる。
「ん?なにこれ。」
本を棚に戻そうとした時、本とカバーの間に何かが挟まっているのに気付く。不思議に思いつつ、手に取って、その紙に目を通した。
"人々は彼らに恐怖する。そして彼らはやってくる。逢魔が時にやってくる。妖鬼門を使ってやってくる。彼らの囁きに答えるな。彼らは求める。血を求める。彼らは探す。探している。混血の血を探している。"
筆らしきもので書かれた注意書き。最初は、返却期限の紙を、誰かが挟んだまま返却したのだと思っていた。でも違った。予想を遥かに上回る出来事に驚いて、紙を床に落としてしまう。
「、、これって、、、」
思わず、また朝のニュースが頭をよぎる。
「いやいやいや。明らかにおかしいでしょ。きっと誰かがイタズラで挟んだんだ。」
バクバクと鳴る心臓に気付かない振りをしながら、紙を拾い上げ、本を元の場所に戻した。
「とりあえず中に入ろう。」
通行カードを見せて、中へ入る。
「懐かしい。やっぱり落ち着く。」
図書館独特の、この匂いが大好きだ。人が少ないのも相まって、香水などの人工物の香りも全くない、自然の香り。
「とりあえず、見て回るか。」
小説、漫画など、なつかしい作品が立ち並ぶ。僕が読んでいるシリーズものの小説もあった。
「新刊は、、、流石に入荷されてないか。」
一週間前に出た新刊を、あわよくば、ここで読んでやろうと思っていたが、どうやら、その願いは叶わないみたいだ。
絵本コーナーでふと目に留まる本を見つけた。
"妖鬼山妖怪伝説"
目立つ場所に置いてあった訳では無い。いつもなら見向きもしない場所に置いてあるこの本を、思わず手に取ってしまったのは、なぜだろう。パラパラと捲ってみる。妖鬼山に住んでいると言われている、河童、座敷わらし、一つ目小僧など、様々な妖怪達が、ポップな絵と共に紹介されている、いたってシンプルな子供向けの絵本だ。
「まあ、こんなもんだよな。」
少しだけ落胆してしまった。別に、何かを期待していた訳では無いはずなのに。
「自分でも気付かない内に、朝のニュース気にしちゃってたのかもな。」
子供が誘拐される事件。神隠しだ、妖怪の仕業だ、と騒ぐ大人が大嫌いだったはずなのに、これでは自分もその大人達と一緒じゃないか、と自嘲しながら、本を閉じる。
「ん?なにこれ。」
本を棚に戻そうとした時、本とカバーの間に何かが挟まっているのに気付く。不思議に思いつつ、手に取って、その紙に目を通した。
"人々は彼らに恐怖する。そして彼らはやってくる。逢魔が時にやってくる。妖鬼門を使ってやってくる。彼らの囁きに答えるな。彼らは求める。血を求める。彼らは探す。探している。混血の血を探している。"
筆らしきもので書かれた注意書き。最初は、返却期限の紙を、誰かが挟んだまま返却したのだと思っていた。でも違った。予想を遥かに上回る出来事に驚いて、紙を床に落としてしまう。
「、、これって、、、」
思わず、また朝のニュースが頭をよぎる。
「いやいやいや。明らかにおかしいでしょ。きっと誰かがイタズラで挟んだんだ。」
バクバクと鳴る心臓に気付かない振りをしながら、紙を拾い上げ、本を元の場所に戻した。
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