12 / 16
僕のこと
・
しおりを挟む
どのくらい時間が経っただろう。永遠と頭を撫でられ続けている。正直訳が分からない状況だ。僕を攻撃したり、食べようとしたりする仕草はない。僕に危害を加えないと言っていた鬼の言葉を、少しは信じても良いのだろうか。
「あの、、、」
「なんだ?」
「えっと、、その、、頭、いつまで撫でるんですか?」
この鬼が僕に危害を加えないとしても、頭を撫で続けるのはやめて欲しい。僕は元々友人が多いタイプではないし、こういう触れ合いには慣れていない。それ以前に、例え、仲のいい友人同士だとしても、この距離感はおかしい気がする。
「言っただろう、まずは俺に慣れろと。慣れるためには触れることが一番だ。」
当然だという顔で堂々と言ってのける鬼に驚く。この鬼にパーソナルスペースというものはないのか。
「そ、そうですか。でも、お陰様で涙も止まりましたし、あなたのことも怖くないと言えば嘘になりますが、その、、案外悪い鬼ではないのかもと思っています。お話も出来そうです。だから、その、頭から手を離して頂けませんか?頭を撫でられるのは落ち着かないというか、、慣れないんです、、」
言った。言ってやったぞ。大丈夫だろうか。この鬼の機嫌を損ねたりしていないだろうか。でも僕が黙っていては永遠とこの不可解な状況が続いたままだ。良い。これで良いんだ。
「そうか。分かった。」
一息ついて、鬼が僕の頭から手を離す。手を離して欲しいと願ったのは本心だが、案外あっさりと言う事を聞いてくれるので驚いた。意外と物分りのいい鬼なんだな。少しだけ感心していると隣で鬼が動き出す気配がした。
「え!!!ちょっと何してるんですか!!」
安心したのもつかの間、次は、何故か鬼に手を握られている。前言撤回、やはりこの鬼は頭がおかしい。
「俺は早く唯に俺という存在に慣れて欲しい。唯は頭を撫でられるのが嫌だと言った。これが妥協案だ。これも嫌といったら、また頭を撫でるぞ。」
だめだ。この鬼には何を言っても通用しない。初対面でこの距離感はナンパ師しか有り得ないぞと言ってやりたいが、相手は人では無いし、言うだけ無駄だろう。この世界ではこの距離感が普通という可能性もある。ここら辺で折り合いを付けないと堂々巡りになりそうだ。それに、こんなことより、僕はこの鬼に聞きたいことがある。元の世界に戻るためにも、話を前に進めなければ。
「ああ、そうですか。もうそれでいいです。あの、さっそくですが、お聞きしたいことがあります。」
「なんだ?」
「何故僕はここに連れてこられたんでしょうか。」
もちろん父親が誰なのか、とか、母親はなぜ死んだのか、とか他にも聞きたいことは山ほどある。でもまずはこの質問からだ。
「その前に腹ごしらえだな。」
はい?決死の覚悟でこの質問をしたというのに、この鬼は!!!
「僕が泣き止んだらこの状況を説明してくれるとあなたは言った!!嘘だったのですか!!」
「確かに言った。でも腹が減っては戦ができぬと言うだろう?」
「あ、あ、あなたは僕と戦をするつもりなのですか!!」
「いや待て。言葉のあやだ。言っただろう。唯に危害を加えるつもりは無い。ほら、あれだ、ここに来てから何も食べてないだろう?」
先程までは恐怖で空腹など忘れ去っていたが、言われてみればお腹は空いている。遅刻してきた隼人への腹いせでたくさん食べてやろうと思っていたのに、おじいさんの意味深な言葉のせいで食欲をなくし、あまり食べることが出来ていない。
「食べながらでも話は出来るだろう。とりあえず来い。」
鬼に繋がれていた手を引かれ、立ち上がる。立ち上がって驚いた。身長は190はあるだろうか。服の上からでも鍛えあげられた上質な筋肉の存在が分かる。モデル顔負けのスタイルだ。なんだ完璧じゃないか。本当に鬼なのか?
「なんだ、そんなに見つめて。俺に惚れたか??」
「なっっっ、、!!!!そんな訳ない!!」
「冗談だ、真に受けるな。」
鬼が僕を見て面白そうに笑う。その笑顔になんとも言えない懐かしさを感じたのは何故だろう。
「ついてこい。」
一通り笑い終わったあと、鬼は僕の手を握りなおし、扉に向かって歩き始める。えっと、この握り方は恋人繋ぎじゃないのか??なんでわざわざ握り方を変えたんだ??僕が逃げると思ったから??ダメだ。この鬼の意図が分からない。あーー僕はどうなるんだろう。これからのことへの不安を覚えながら、僕は天を仰いだ。
「あの、、、」
「なんだ?」
「えっと、、その、、頭、いつまで撫でるんですか?」
この鬼が僕に危害を加えないとしても、頭を撫で続けるのはやめて欲しい。僕は元々友人が多いタイプではないし、こういう触れ合いには慣れていない。それ以前に、例え、仲のいい友人同士だとしても、この距離感はおかしい気がする。
「言っただろう、まずは俺に慣れろと。慣れるためには触れることが一番だ。」
当然だという顔で堂々と言ってのける鬼に驚く。この鬼にパーソナルスペースというものはないのか。
「そ、そうですか。でも、お陰様で涙も止まりましたし、あなたのことも怖くないと言えば嘘になりますが、その、、案外悪い鬼ではないのかもと思っています。お話も出来そうです。だから、その、頭から手を離して頂けませんか?頭を撫でられるのは落ち着かないというか、、慣れないんです、、」
言った。言ってやったぞ。大丈夫だろうか。この鬼の機嫌を損ねたりしていないだろうか。でも僕が黙っていては永遠とこの不可解な状況が続いたままだ。良い。これで良いんだ。
「そうか。分かった。」
一息ついて、鬼が僕の頭から手を離す。手を離して欲しいと願ったのは本心だが、案外あっさりと言う事を聞いてくれるので驚いた。意外と物分りのいい鬼なんだな。少しだけ感心していると隣で鬼が動き出す気配がした。
「え!!!ちょっと何してるんですか!!」
安心したのもつかの間、次は、何故か鬼に手を握られている。前言撤回、やはりこの鬼は頭がおかしい。
「俺は早く唯に俺という存在に慣れて欲しい。唯は頭を撫でられるのが嫌だと言った。これが妥協案だ。これも嫌といったら、また頭を撫でるぞ。」
だめだ。この鬼には何を言っても通用しない。初対面でこの距離感はナンパ師しか有り得ないぞと言ってやりたいが、相手は人では無いし、言うだけ無駄だろう。この世界ではこの距離感が普通という可能性もある。ここら辺で折り合いを付けないと堂々巡りになりそうだ。それに、こんなことより、僕はこの鬼に聞きたいことがある。元の世界に戻るためにも、話を前に進めなければ。
「ああ、そうですか。もうそれでいいです。あの、さっそくですが、お聞きしたいことがあります。」
「なんだ?」
「何故僕はここに連れてこられたんでしょうか。」
もちろん父親が誰なのか、とか、母親はなぜ死んだのか、とか他にも聞きたいことは山ほどある。でもまずはこの質問からだ。
「その前に腹ごしらえだな。」
はい?決死の覚悟でこの質問をしたというのに、この鬼は!!!
「僕が泣き止んだらこの状況を説明してくれるとあなたは言った!!嘘だったのですか!!」
「確かに言った。でも腹が減っては戦ができぬと言うだろう?」
「あ、あ、あなたは僕と戦をするつもりなのですか!!」
「いや待て。言葉のあやだ。言っただろう。唯に危害を加えるつもりは無い。ほら、あれだ、ここに来てから何も食べてないだろう?」
先程までは恐怖で空腹など忘れ去っていたが、言われてみればお腹は空いている。遅刻してきた隼人への腹いせでたくさん食べてやろうと思っていたのに、おじいさんの意味深な言葉のせいで食欲をなくし、あまり食べることが出来ていない。
「食べながらでも話は出来るだろう。とりあえず来い。」
鬼に繋がれていた手を引かれ、立ち上がる。立ち上がって驚いた。身長は190はあるだろうか。服の上からでも鍛えあげられた上質な筋肉の存在が分かる。モデル顔負けのスタイルだ。なんだ完璧じゃないか。本当に鬼なのか?
「なんだ、そんなに見つめて。俺に惚れたか??」
「なっっっ、、!!!!そんな訳ない!!」
「冗談だ、真に受けるな。」
鬼が僕を見て面白そうに笑う。その笑顔になんとも言えない懐かしさを感じたのは何故だろう。
「ついてこい。」
一通り笑い終わったあと、鬼は僕の手を握りなおし、扉に向かって歩き始める。えっと、この握り方は恋人繋ぎじゃないのか??なんでわざわざ握り方を変えたんだ??僕が逃げると思ったから??ダメだ。この鬼の意図が分からない。あーー僕はどうなるんだろう。これからのことへの不安を覚えながら、僕は天を仰いだ。
0
あなたにおすすめの小説
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる