14 / 16
僕のこと
・
しおりを挟む
時が止まったかと思った。それくらい衝撃的だった。僕とこの鬼が初対面じゃない?
「う、うそ。だって、あなたみたいにカッコイイ人忘れるわけがない。」
自分で言うのもなんだが、僕は記憶力がいい。初対面の人の名前を覚えるのが大の得意で、中学や高校でクラス替えが行われた際、誰よりも早くクラスメイトの名前を把握していた。
「最高の褒め言葉だな。そうか。俺はかっこいいか。」
鬼が嬉しそうに笑う。なんて破壊力のある笑顔なんだ。心臓がドキドキと音を鳴らす。仕方ない。これは不可抗力だ。この鬼が魅力的すぎるのが悪い。
「また顔が真っ赤だ。あぁ。唯は本当に可愛いな。可愛すぎてなんでも答えたくなってしまう。だが、これに関してはもう教えることはない。自分で思い出してくれ。」
鬼が、俯く僕の顔に触れ、顔を覗き込んでくる。触れられているところが熱い。こんな感情はじめてだ。なんで?恐ろしい鬼なはずなのに。僕とこの鬼との出会いについてもっと詳しく聞きたかったのに、言葉を紡ごうとしてもドキドキして声がうまく出ない。
「俺のことを意識してくれてるのか。嬉しいな。ずっと見ていたいが、そうはいかない。なぜ唯を連れ去ったのかを説明して、唯の安全を早急に確保する必要がある。蓮花は唯を連れ去る時なにか言っていたか??」
変に意識してしまって声が出ない僕の頬を撫ぜながら、鬼が問いかけてくる。ずっとこのままではだめだ。いったん意識しないようにして、ちゃんと僕の状況を知らないと。それが知りたかったんだろ。しっかりしろ、僕。
「蓮花ちゃんには、僕が美味しそうだから連れてきたと言われました。でもどういうことか分からなくて。」
長い時間をかけながら鬼の問いに答える。
「はははは。言葉が足りないのは蓮花らしいな。そうか。それは分からなくて当然だ。ちなみに、自分の両親のことはどこまで知ってる?」
「何も知らないんです。」
昔から両親のことを聞かれるのが苦手だった。両親のことを何も知らないことが、両親について答えたくても何も答えられないことが、無償につらくて、泣きたくなるような気持ちになるから。
「そう悲しそうな顔をするな。答えにくいことを聞いて悪かった。唯が両親のことを知らないのなら、唯の安全を守るために、周りの人間に意図的に隠されていたんだろう。知らなくて当たり前だ。恥じることではない。」
鬼が紡いでくれる言葉一つ一つが温かく、僕の心を満たしていく。両親について聞かれた時「自分の両親のことはあまり知らない。」と答えると高確率で、詮索され、不思議そうな顔をされてきた。でも、この鬼は僕が知らないことを、恥じることではないと肯定してくれる。ずっと欲しかった言葉をくれる。
「知らないのなら今から知ればいい。唯。驚かずに聞いてくれ。単刀直入に言う。唯は純粋な人間じゃない。母親は人間、父親は妖。唯は人間と妖とのハーフだ。」
温かい気持ちになっていた時、衝撃的な鬼の言葉を聞いて、頭が真っ白になった。
「う、うそ。だって、あなたみたいにカッコイイ人忘れるわけがない。」
自分で言うのもなんだが、僕は記憶力がいい。初対面の人の名前を覚えるのが大の得意で、中学や高校でクラス替えが行われた際、誰よりも早くクラスメイトの名前を把握していた。
「最高の褒め言葉だな。そうか。俺はかっこいいか。」
鬼が嬉しそうに笑う。なんて破壊力のある笑顔なんだ。心臓がドキドキと音を鳴らす。仕方ない。これは不可抗力だ。この鬼が魅力的すぎるのが悪い。
「また顔が真っ赤だ。あぁ。唯は本当に可愛いな。可愛すぎてなんでも答えたくなってしまう。だが、これに関してはもう教えることはない。自分で思い出してくれ。」
鬼が、俯く僕の顔に触れ、顔を覗き込んでくる。触れられているところが熱い。こんな感情はじめてだ。なんで?恐ろしい鬼なはずなのに。僕とこの鬼との出会いについてもっと詳しく聞きたかったのに、言葉を紡ごうとしてもドキドキして声がうまく出ない。
「俺のことを意識してくれてるのか。嬉しいな。ずっと見ていたいが、そうはいかない。なぜ唯を連れ去ったのかを説明して、唯の安全を早急に確保する必要がある。蓮花は唯を連れ去る時なにか言っていたか??」
変に意識してしまって声が出ない僕の頬を撫ぜながら、鬼が問いかけてくる。ずっとこのままではだめだ。いったん意識しないようにして、ちゃんと僕の状況を知らないと。それが知りたかったんだろ。しっかりしろ、僕。
「蓮花ちゃんには、僕が美味しそうだから連れてきたと言われました。でもどういうことか分からなくて。」
長い時間をかけながら鬼の問いに答える。
「はははは。言葉が足りないのは蓮花らしいな。そうか。それは分からなくて当然だ。ちなみに、自分の両親のことはどこまで知ってる?」
「何も知らないんです。」
昔から両親のことを聞かれるのが苦手だった。両親のことを何も知らないことが、両親について答えたくても何も答えられないことが、無償につらくて、泣きたくなるような気持ちになるから。
「そう悲しそうな顔をするな。答えにくいことを聞いて悪かった。唯が両親のことを知らないのなら、唯の安全を守るために、周りの人間に意図的に隠されていたんだろう。知らなくて当たり前だ。恥じることではない。」
鬼が紡いでくれる言葉一つ一つが温かく、僕の心を満たしていく。両親について聞かれた時「自分の両親のことはあまり知らない。」と答えると高確率で、詮索され、不思議そうな顔をされてきた。でも、この鬼は僕が知らないことを、恥じることではないと肯定してくれる。ずっと欲しかった言葉をくれる。
「知らないのなら今から知ればいい。唯。驚かずに聞いてくれ。単刀直入に言う。唯は純粋な人間じゃない。母親は人間、父親は妖。唯は人間と妖とのハーフだ。」
温かい気持ちになっていた時、衝撃的な鬼の言葉を聞いて、頭が真っ白になった。
0
あなたにおすすめの小説
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる