幼女のゆるっと日常生活~異世界迷宮都市~

ふらんぼわーぬ

文字の大きさ
27 / 58

25

しおりを挟む
「魔力量の増加は順調ですね。魔力操作はまだまだこれからよ。付与魔術を身に付けるには、もっと基礎の鍛錬が必要になるでしょう。お守りが作りたいと考えたのでしょう?焦らずに頑張りましょうね。」

「能力値は体力がとても上がっていて素敵ね。ただ少し、器用が低いかしら・・・ね」

今日は師匠に魔力の測定をしてもらう日。

師匠は相変わらず麗しい微笑みで、ルチアに助言をくれるよ!
くっ・・・これでも優しく言われてるのが分かるから辛い! 負けるもんかー!
ムゥちゃんはわたしの横でソワソワしてるけど、こればかりは頼れないから!!


「なあに?二人とも、そんなお顔をしてはいけませんよ。」クスクス笑われたよ・・

また眉間がきゅってなってたんだろうなぁ~。ううっ


「そうね、ルチア。実はしばらく迷宮へのお使いは無いので、今日はこれをしてみましょう」

えっ?そうなの?ここ最近仲良くしてくれる人が増えてきて、迷宮行き楽しくなってきたのに・・・

それにしても、はて?これは何でしょう。絵を描く???それは、サリーの言う、お絵かきの事?
目の前に、いつも書き取りをしている帳面より少し大きいくらいの真っ白に塗られて縁に囲まれた板が立てかけられた。

「ルチアが最近、とても感動した風景を思い出しながら描いてみてほしいのです。」

「風景?ですか。わたし、今まで一度も絵を描いた事がありません。サリーはよく人を描いたりするそうです。わたしもサリーの真似っ子になるけど、描くならそういうのはだめですか?」

「そうね。そういったものを描くのには、訓練も技術もいります。まずは色を載せる練習なので風景が描きやすいでしょうね」
なるほど、そうなのかぁ~。技術、わたし無いね!!えへっ
感動した風景かぁ。感動・・・うーん、どうしようかなぁ、何だか緊張してきちゃったよ。
うーん、どうしよう。感動した・・・あっ!!

「はいっ!師匠決まりましたーぁ」

わたしはドキドキわくわくしながら、師匠と一緒に欲しい色を調合した。

顔料と、とてもきめ細かくサラサラに砕いた魔石をあわせて、そこにウル草から抽出したとろりとした液体を合わせて練り合わせていくの。欲しい色になるまで、ちょっぴり失敗もあったけど、それは当たり前なんだってー。

慣れていないと、同じ色が作れないって!ええーっ色が足りなくなったらどうするの?
そうかだから修行するのか!!職人さんは何度も繰り返して覚えるのかぁ。え、あれっ大変・・・欲しい色の作り方、お、覚えてる・・・はず!ひぃぃ色が足りなくなりませんように!!女神様にお祈りしちゃう!

どきどきしながら筆に色をつけていく。
あの時に感動したあの風景が脳裏に浮かんで、だんだん夢中になってくると、他の事はなーんにも気にならなくなった。
絵を描くって凄い事かもしれないよ!胸の奥からじわじわ~って何かが大きくなってくる感じ!
うまく言えないけどその気持ちを載せて色を広げた。

「ふぅ~」
一気に塗り上げて、一息ついた。
次第に自分がどこにいたのか思い出して、「できましたー」と振り向いたら、師匠は・・・
頬に手を当てて、少し首を傾けていた。あれ?

「うーん、今の段階ですとまだ何なのかわからない感じですね。仕上げちゃいましょうね」

あり?自分の初めての絵を見る。わたしとしてはあの時に見たまま描いたつもりだけど・・・・
自分以外には伝わっていなくて驚いた。ちらっとムゥちゃんを見ると・・・無言の大絶賛だった。
騒ぐと師匠に叱られちゃうからねー。はははは。だけど偶にする感動の小躍りで体をゆすゆすしてるので
気配は静かじゃない。別の時なら、十分に叱られる程度には激しい・・・
でも喜んでもらえるのは、嬉しい。照れちゃう。えへへ

「あの、さっき色を作りながら聞きました。これで乾かして完成じゃないんですか?」
「ええ、ルチア。お楽しみはこれからです。ふふふ」

師匠が側に来ると、わたしにのあちこちに付いていた顔料をクリーンで綺麗にしてくれた。
おおっ、こんなところにも??えっ?顔にもついてましたか・・・覚えのない所に付いてるから自分でも慌てて確認しちゃったよ。絵具は生き物ですか?


それが済むと師匠は、わたしの手をとって絵の前にかざして、
「このまま、手のひらから魔力を絵に流してみましょう」って言うんだけど
むむむむ、上手くいかない。全面に手をかざしても良くわからない。

困って師匠を見上げる。どうしよう、わたし何が理解できてないんだろう?
もう一度、緑濃色の画面を見る。うむっ!わかりません・・・眉間がきゅってしちゃう。
だけど師匠は大丈夫って頭をナデナデして、「魔力循環の訓練用の魔法具」を持ってくると良いといった。
直に流すのはまだ難しかったかもしれないですねって言いながら・・・

いつも訓練をしているように手に持つ。左手にぽんわり薄青色に柔らかく光る棒。右手に黄緑色の棒。
魔力を流すと左右の色が入れ代わる。これが循環しているという事らしい。仕組みはわからないけど。

「今日は逆に持ってね」
そう言って、師匠はわたしの手の中にある棒を入れ替えた。

「さぁさぁ、ここからよ!ルチア、魔力を流してごらんなさい」
いつになく嬉しそうな師匠が、キラッキラの笑顔を向けてくれた。はわぁ見惚れちゃう~ぽぽぽって
ほっぺたがね、ぽぽってなる感じ! 
そして、言われた通りに魔力を流した。

魔法具から薄い光が流れ出ると、わたしの描いた絵を覆っていく。不思議、意識しなくてもふわふわと流れていく。
覆った魔力は、反対の魔法具に吸い込みれていくんだけど、ゆっくりゆっくり、わたしから魔力が抜けていくみたい。これはどれくらい続けるのかな~

次第に魔力は流れなくなって光は消えた。これで終わりらしい・・・だけど、だけどこれは?!!!


わたしの絵が動いてるの?! 緑濃で一面覆われていただけの只の板みたいなあの絵が、あの日見て感動したあの・・初めての・・・
迷宮で見た、風の波が緑色の畑を渡っていく光景がそこにあった。すごい・・・

今、絵からあの時の心地いい風が吹いてくるようだよ!
畝や野菜もくっきりと、まるで記憶の中そのままを写したような・・・

あっ、どうしよう。悲しくないけど涙が出てきちゃう。これは、これはなんて言えばいいの?
師匠をみあげて、何か言おうと思ったけど言葉がでなくて、ついぎゅっと抱き着いちゃった!
師匠も抱きしめ返してくれて、とても褒めてくれた。嬉しいね!上手にできたって!

わたしじぶんに感動した!!

その後にさ、調子に乗ったわたしがノリノリでムゥちゃんを描いたらさ・・・怖い事になった・・・さっきとは違う別の涙が流れたよ・・・
絵を本格的に描きたいなら、『デッサン』っていう技術が必要らしいよ・・・ムゥちゃんごめんね。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

魔法筆職人の俺が居なくなったら、お前ら魔法使えないけど良いんだよな?!

川井田ナツナ
ファンタジー
俺は慈悲深い人間だ。 だから、魔法の『ま』の字も理解していない住民たちに俺の作った魔法筆を使わせてあげていた。 だが、国の総意は『国家転覆罪で国外追放』だとよ。 馬鹿だとは思っていたが、俺の想像を絶する馬鹿だったとはな……。 俺が居なくなったら、お前ら魔法使えなくて生活困るだろうけど良いってことだよな??

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

処理中です...