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第二章 バルバディア聖教国モンサラント・ダンジョン
2-5 偏った目的
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「リクル、お前はどうなのだ。
ここで何をしたい」
「うーん、俺はマロウスじゃないけど鍛錬が第一目標かな。
バージョン12.0が最低ラインの目標なので戦闘が主目的。
あとは、できれば魔法金属の武器防具が欲しいな」
「ほお、リクルはどんなタイプが欲しいのじゃ」
「特に防具の、軽くて防御力の高い奴があれば嬉しいよ。
先輩の服みたいに動きやすくて軽くて、オリハルコンの鎧みたいな強さの奴がいいなあ。
他にはもっと強い武器かなあ。
俺は一人だと攻撃力が不足するから」
「ほう、言うようになったじゃないか。
いい事だ」
姐御から褒めてもらっちゃったよ。
バニッシュも書き付けに書き込んでくれてある。
世界一のブラックスミスが俺の武具を作ってくれるというのなら、是非とも素材を集めてこなくちゃなあ。
「俺は、そこにいる狂人に目をつけられているんだからね。
他にもダンジョンのおかしな魔物にも目をつけられているかもしれないし。
でもラビワンの下層にある扉も魅力的だなあ。
先輩、そこに素敵なアイテムとかなかったの?」
すると、先輩はお腹も膨れ気味だったのか、デザートのこってり系のフルーツやクリーム満載のタルトを上品に突きながら、気の無さそうな返事が返ってきた。
「ん? あるよ」
「へえ、どんな奴?」
「そうだな。
たとえば、ありとあらゆる魔法で攻撃してくる魔道ボックスみたいな魔物だと、特殊な箱の中に組み込まれた状態で魔核を残すんだ。
その魔物の遺骸自体が一種の錬金ボックスとなる。
あれは魔物の状態よりもかなり小さくなるから持ち出すのもそう困らないさ」
「一般に宝箱と呼ばれる『土饅頭』じゃなくて、別の箱を残すという事なのか?」
「そうだ。
ちょうどこれくらいの小洒落た感じの箱でな。
その魔道ミミックのような奴は凄まじく手強いのだがな」
そう言って先輩は体の前で、両手の平の長さを合わせたようなサイズの大きさを示した。
「へえ、そいつはまた面白そうなものじゃの。
それを使って何が出来るのじゃ」
「いろいろな物を合成したりできる。
また逆に、どうしても分解できなかった魔導素材なんかを、各成分に分解する事なども可能だ。
いろいろ使い道があるそうなのだが、親父に土産としてくれてやったから値段は知らないな。
まあリクル、少なくともお前に買える値段じゃない」
「へえ、王様ったらそんな凄い物を何に使っているんだろう」
「ああ、この間の焼き物工房に置いてあったのを見たぞ」
「え! そんな物を何に使うのさ」
あの王様御用達らしき焼き物用の魔道具の中に、そんな凄い物まであったのかよ。
駈け出し冒険者の俺は魔導具には詳しくないから、よく見ていなかったんだけど。
「粘土の素材の加工や調整に使うみたいだぞ。
特殊な粘土が好きな感じに作れるからって、親父も工房の主も喜んでいたな。
あのチビ達も弄って遊んでいたし」
「ええっ、そんな物を子供なんかに使わせて大丈夫なの⁉」
「あの手のアイテムは、子供の方が案外と上手に使ったりする事も多い。
子供は発想が柔らかいからな。
大人は頭が固いから駄目だ」
そういや、あの子達は焼き物も上手にやっていたなあ。
親方から才能を認められちゃうほどに。
そうやって彼らは幼い身で、自らの人生を切り開いたのだ。
「うーん、そういうもんですか」
「ここのダンジョンにも、今そういう物が宝箱から出てきてますよ。
錬金ボックスじゃないですが、昔の魔道具や魔導機器のような物が。
それらは今では作る事ができませんからね。
まだ十分に稼働するようですし」
マイアの情報に、バニッシュが強く興味を示したようだった。
「ほお。
リクルよ、そいつも是非取ってまいれ。
わしが研究しよう」
「取ってこれたらね。錬金ボックスはラビワンでの話だよ。
そっちは、そういう物を持っている魔物か何かと、ここのダンジョンで運よく出会えたらね。
マイアさん、その扉っていう物の出現頻度は?」
先輩じゃないけど、俺も結構扉捜しが楽しみになってきたなあ。
「稀ですね。
そうそう、貴重なお宝ばかり出ませんよ。
大概は屑同然の武器防具でしょうね。
ただ技術的に凄い物はお金になりますし、バニッシュ導師にとってもよいものでしょう。
まあ、その辺は当たりを狙う楽しみという事で。
皆さん、頑張ってください」
「なんだかそういう話を聞くと、わしも無性にダンジョンに行きたくなってきたのう」
「まあ、後で暇を見て一緒に行きましょうよ。
どうせ、あれこれと時間がかかりそうだし」
「それもそうじゃのう。
大司祭からもらった武具から、何かお前用の防具でも出来たら考えておこう。
お前用の良い武器なんかが出たら一度帰ってこい。
何か付与をつけてやろう」
「わあい、じゃあ張り切って探すかな」
「お宝の武器はやるから、強い奴は俺に戦わせろ」
「へいへい、先輩はもうそれのみだよね」
まあ、それも美味しい話ではある。
気をつけないとまた肉壁にされそうなんで怖いけど。
「俺は鍛錬が出来ればいい」
「マロウスには訊いていないよ」
このお方にとっては、ダンジョン探索が鍛練代わりなの?
「あたしはもっと凄い魔法武器が欲しいかな」
「私は何か戦闘向きで、魔法の威力も高いような強力なスタッフか何かあるとありがたい。
またカミエのような奴と会った時には、今度こそボコボコにしてやらねばな」
戦闘聖女セラシア。
もう!
最初からバニッシュに作ってもらえばいいのに。
一応、彼って聖女様のブラックスミスという名目なんだからさ。
もっぱら彼自身も戦闘向きの人材なのだけれど。
「もう、どうせなら素材になる魔法金属を取ってこい。
そんな物は、わしが作った方が早いぞ」
「そういう事みたいだね」
「何気に戦闘や鍛練を目指している人間が多いわ。
いつもは比較的慎重なリクルまで、そっち方面に向かっているし」
「いい事だ、鍛錬は大切なものだからな」
「そうそう、早く俺のために美味しく育ってくれよ」
「こういう事を言っている奴がいるからだよ。
俺は鍛錬というよりは、スキルのバージョンアップが目的なんだから!
早く強くなって先輩をボコボコにできるようにならなくっちゃ。
もはや、それが俺の人生の大きな目標になりつつあるなあ」
もう、大体最初に目論んでいたような物ばかりだが、結構具体的に欲しい物が決まって来たな。
俺も頑張ろう。
ついでにお金ももらえるだろうし。
そういや、まだラビワンで退治した管理魔物のお金をもらってないや。
ここで何をしたい」
「うーん、俺はマロウスじゃないけど鍛錬が第一目標かな。
バージョン12.0が最低ラインの目標なので戦闘が主目的。
あとは、できれば魔法金属の武器防具が欲しいな」
「ほお、リクルはどんなタイプが欲しいのじゃ」
「特に防具の、軽くて防御力の高い奴があれば嬉しいよ。
先輩の服みたいに動きやすくて軽くて、オリハルコンの鎧みたいな強さの奴がいいなあ。
他にはもっと強い武器かなあ。
俺は一人だと攻撃力が不足するから」
「ほう、言うようになったじゃないか。
いい事だ」
姐御から褒めてもらっちゃったよ。
バニッシュも書き付けに書き込んでくれてある。
世界一のブラックスミスが俺の武具を作ってくれるというのなら、是非とも素材を集めてこなくちゃなあ。
「俺は、そこにいる狂人に目をつけられているんだからね。
他にもダンジョンのおかしな魔物にも目をつけられているかもしれないし。
でもラビワンの下層にある扉も魅力的だなあ。
先輩、そこに素敵なアイテムとかなかったの?」
すると、先輩はお腹も膨れ気味だったのか、デザートのこってり系のフルーツやクリーム満載のタルトを上品に突きながら、気の無さそうな返事が返ってきた。
「ん? あるよ」
「へえ、どんな奴?」
「そうだな。
たとえば、ありとあらゆる魔法で攻撃してくる魔道ボックスみたいな魔物だと、特殊な箱の中に組み込まれた状態で魔核を残すんだ。
その魔物の遺骸自体が一種の錬金ボックスとなる。
あれは魔物の状態よりもかなり小さくなるから持ち出すのもそう困らないさ」
「一般に宝箱と呼ばれる『土饅頭』じゃなくて、別の箱を残すという事なのか?」
「そうだ。
ちょうどこれくらいの小洒落た感じの箱でな。
その魔道ミミックのような奴は凄まじく手強いのだがな」
そう言って先輩は体の前で、両手の平の長さを合わせたようなサイズの大きさを示した。
「へえ、そいつはまた面白そうなものじゃの。
それを使って何が出来るのじゃ」
「いろいろな物を合成したりできる。
また逆に、どうしても分解できなかった魔導素材なんかを、各成分に分解する事なども可能だ。
いろいろ使い道があるそうなのだが、親父に土産としてくれてやったから値段は知らないな。
まあリクル、少なくともお前に買える値段じゃない」
「へえ、王様ったらそんな凄い物を何に使っているんだろう」
「ああ、この間の焼き物工房に置いてあったのを見たぞ」
「え! そんな物を何に使うのさ」
あの王様御用達らしき焼き物用の魔道具の中に、そんな凄い物まであったのかよ。
駈け出し冒険者の俺は魔導具には詳しくないから、よく見ていなかったんだけど。
「粘土の素材の加工や調整に使うみたいだぞ。
特殊な粘土が好きな感じに作れるからって、親父も工房の主も喜んでいたな。
あのチビ達も弄って遊んでいたし」
「ええっ、そんな物を子供なんかに使わせて大丈夫なの⁉」
「あの手のアイテムは、子供の方が案外と上手に使ったりする事も多い。
子供は発想が柔らかいからな。
大人は頭が固いから駄目だ」
そういや、あの子達は焼き物も上手にやっていたなあ。
親方から才能を認められちゃうほどに。
そうやって彼らは幼い身で、自らの人生を切り開いたのだ。
「うーん、そういうもんですか」
「ここのダンジョンにも、今そういう物が宝箱から出てきてますよ。
錬金ボックスじゃないですが、昔の魔道具や魔導機器のような物が。
それらは今では作る事ができませんからね。
まだ十分に稼働するようですし」
マイアの情報に、バニッシュが強く興味を示したようだった。
「ほお。
リクルよ、そいつも是非取ってまいれ。
わしが研究しよう」
「取ってこれたらね。錬金ボックスはラビワンでの話だよ。
そっちは、そういう物を持っている魔物か何かと、ここのダンジョンで運よく出会えたらね。
マイアさん、その扉っていう物の出現頻度は?」
先輩じゃないけど、俺も結構扉捜しが楽しみになってきたなあ。
「稀ですね。
そうそう、貴重なお宝ばかり出ませんよ。
大概は屑同然の武器防具でしょうね。
ただ技術的に凄い物はお金になりますし、バニッシュ導師にとってもよいものでしょう。
まあ、その辺は当たりを狙う楽しみという事で。
皆さん、頑張ってください」
「なんだかそういう話を聞くと、わしも無性にダンジョンに行きたくなってきたのう」
「まあ、後で暇を見て一緒に行きましょうよ。
どうせ、あれこれと時間がかかりそうだし」
「それもそうじゃのう。
大司祭からもらった武具から、何かお前用の防具でも出来たら考えておこう。
お前用の良い武器なんかが出たら一度帰ってこい。
何か付与をつけてやろう」
「わあい、じゃあ張り切って探すかな」
「お宝の武器はやるから、強い奴は俺に戦わせろ」
「へいへい、先輩はもうそれのみだよね」
まあ、それも美味しい話ではある。
気をつけないとまた肉壁にされそうなんで怖いけど。
「俺は鍛錬が出来ればいい」
「マロウスには訊いていないよ」
このお方にとっては、ダンジョン探索が鍛練代わりなの?
「あたしはもっと凄い魔法武器が欲しいかな」
「私は何か戦闘向きで、魔法の威力も高いような強力なスタッフか何かあるとありがたい。
またカミエのような奴と会った時には、今度こそボコボコにしてやらねばな」
戦闘聖女セラシア。
もう!
最初からバニッシュに作ってもらえばいいのに。
一応、彼って聖女様のブラックスミスという名目なんだからさ。
もっぱら彼自身も戦闘向きの人材なのだけれど。
「もう、どうせなら素材になる魔法金属を取ってこい。
そんな物は、わしが作った方が早いぞ」
「そういう事みたいだね」
「何気に戦闘や鍛練を目指している人間が多いわ。
いつもは比較的慎重なリクルまで、そっち方面に向かっているし」
「いい事だ、鍛錬は大切なものだからな」
「そうそう、早く俺のために美味しく育ってくれよ」
「こういう事を言っている奴がいるからだよ。
俺は鍛錬というよりは、スキルのバージョンアップが目的なんだから!
早く強くなって先輩をボコボコにできるようにならなくっちゃ。
もはや、それが俺の人生の大きな目標になりつつあるなあ」
もう、大体最初に目論んでいたような物ばかりだが、結構具体的に欲しい物が決まって来たな。
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