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第二章 バルバディア聖教国モンサラント・ダンジョン
2-46 再登場のあの方のターン
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ダンジョンで見かける、この土饅頭なんかのような物ではなく、普通の豪華な木の板を金具で型に嵌めたような、丸くなった感じの蓋付きの奴だ。
しかも、この大蜘蛛が収まりそうなほどの特大サイズだった。
「なんだ、これ。
錬金ボックス?」
「いや、ミミックは出ていないしサイズが大きすぎるわ」
「これから特大の奴が出るのかもしれんな」
先輩もちょっと興味が湧いたようだ。
明後日の方向にだけど。
だが、意外な奴がそれを空けた。
ターワンだ。
中から出てきたのは、なにやら鎧のようだった。
『ラスター用装備・装甲戦闘服』と商品名が古代語で書かれているタグがついていた。
読んでくれたのは姐御だけど。
「これはまた明後日の方向を通り越した物が出たな」
「なんでこんな物が存在しているんだ」
「くそ、特大ミミックじゃなかった」
先輩は、槍の石突でダンジョンの床をゴツゴツと叩きながら、一人だけ悔しがっていた。
ターワンは、もういそいそと装甲戦闘服という名の鎧を着込んでいる。
おお、見た目は強そうでなかなか格好いいな。
サイズ調整用の機構もついているらしくて、自分で箱の中から引っ張り出して地面に広げ、その上にターワンが座ると装着が自動で始まったのだ。
これは、立派な『勇者様の騎士』が誕生したのか?
そして宝箱は俺に向かって差し出された。
ああ、仕舞っておいてっていう事か。
大事な鎧の収納箱なのね。
「リクル、せっかくの乗物がなくなっちゃったわね」
さすがに、背中がトゲトゲアーマーで覆われていては乗れないな。
「いや、これはこれでありだな。
俺のターワンが凄く格好良くなったから!」
「おい、敵の蜘蛛がこれを着込んでくるとヤバイな。
これの材質って、あの古代の正体不明の素材と同じ物かもしれんぞ」
「そんな物は、結構貴重品なんじゃないの。
今まで、これを着ている蜘蛛を見た事がないし」
「お前ら、そいつを着ている蜘蛛が敵にいたら、是非俺のところに回すように」
また先輩がそのような事を言っていた。
「いいけど、鎧は獲得しておいてくださいよ。
ああ、それよりも先輩が弱らせてくれた奴を、うちの子にすればいいだけなのか」
そして俺達は、希少そうな鎧を身に着けて、少し誇らしげな感じがする案内人の後をついていくのであった。
そして、またしばらく進んだ後で、ターワンは立ち止まり壁に向き直って動かなくなった。
「おお、今度こそ扉か」
「待て、先輩。
それにしては様子がおかしい。
自動で扉が発生しないぞ。
みんな、ちょっと下がっていてくれ。
次こそ危ないかもしれない」
俺は今度こそ管理魔物の出現を疑い、他の人を少し下がらせ、俺付きの狼達六匹を従えて、ターワンの背中にしゃがんだ姿勢で待機した。
だが、いきなり扉が出現したかと思えば、蜘蛛の背中にいる俺が中に引っ張り込まれた。
今度の奴は緑色のあいつだった。
「うわあ、今度はコントンの方だったー」
予想していない事態だったので少し慌てたが、なんとターワンは瞬間的に鎧を脱ぎ、器用にも驚くほど小さく身を縮めてなんとか扉を潜り抜けた。
意外と体が柔らかいな、この蜘蛛。
猫ですか!
しかも足には自動で瞬間的にコンパクトに畳まれた鎧と、俺の担当についている狼六匹をぶらさげたまま。
なんて器用な奴だ!
俺のチームは見事に全員が『混沌の扉』への侵入に成功した。
そして、そこにはポリポリと頭をかいているドラゴナイトの求道者がいた。
「ソコノ、クモニハマケタ。
アルジノタメニ、ケライイチドウデ、ココヘトモヲスルトハ、マコトニアッパレ。
ソヤツラノカセイハ、トクベツニミトメヨウ。
キットメイシュモ、オミトメクダサルハズ」
相変わらずな事を言っていやがるなあ。
こいつは本当に面白い。
「なあ、勘違いをしてもらっちゃあ困るんだが、こいつらは只の付き添いだ。
あんたは俺達を殺しにかかってきている凶悪な敵じゃないのだから。
俺達はチームだから一緒に来てくれただけなのだ。
彼らは主たる俺の成長をそこで見届けるのが仕事さ」
むしろ、賢いターワンの事だから俺が助けろと言ったとしても、欠伸をしながら前足を振るだけだろう。
主人を甘やかすのは良い眷属ではないのだから。
ここでそんな事をしていたら、主など何人いたって足りやしない。
「ハッハッハ、アッパレ、ジツニアッパレ。
キサマノ、ソノミゴトナセイシンニ、ケイイヲヒョウシ、コンカイノショウヒンハ、トクベツニグレードアップシヨウ」
しかも、この大蜘蛛が収まりそうなほどの特大サイズだった。
「なんだ、これ。
錬金ボックス?」
「いや、ミミックは出ていないしサイズが大きすぎるわ」
「これから特大の奴が出るのかもしれんな」
先輩もちょっと興味が湧いたようだ。
明後日の方向にだけど。
だが、意外な奴がそれを空けた。
ターワンだ。
中から出てきたのは、なにやら鎧のようだった。
『ラスター用装備・装甲戦闘服』と商品名が古代語で書かれているタグがついていた。
読んでくれたのは姐御だけど。
「これはまた明後日の方向を通り越した物が出たな」
「なんでこんな物が存在しているんだ」
「くそ、特大ミミックじゃなかった」
先輩は、槍の石突でダンジョンの床をゴツゴツと叩きながら、一人だけ悔しがっていた。
ターワンは、もういそいそと装甲戦闘服という名の鎧を着込んでいる。
おお、見た目は強そうでなかなか格好いいな。
サイズ調整用の機構もついているらしくて、自分で箱の中から引っ張り出して地面に広げ、その上にターワンが座ると装着が自動で始まったのだ。
これは、立派な『勇者様の騎士』が誕生したのか?
そして宝箱は俺に向かって差し出された。
ああ、仕舞っておいてっていう事か。
大事な鎧の収納箱なのね。
「リクル、せっかくの乗物がなくなっちゃったわね」
さすがに、背中がトゲトゲアーマーで覆われていては乗れないな。
「いや、これはこれでありだな。
俺のターワンが凄く格好良くなったから!」
「おい、敵の蜘蛛がこれを着込んでくるとヤバイな。
これの材質って、あの古代の正体不明の素材と同じ物かもしれんぞ」
「そんな物は、結構貴重品なんじゃないの。
今まで、これを着ている蜘蛛を見た事がないし」
「お前ら、そいつを着ている蜘蛛が敵にいたら、是非俺のところに回すように」
また先輩がそのような事を言っていた。
「いいけど、鎧は獲得しておいてくださいよ。
ああ、それよりも先輩が弱らせてくれた奴を、うちの子にすればいいだけなのか」
そして俺達は、希少そうな鎧を身に着けて、少し誇らしげな感じがする案内人の後をついていくのであった。
そして、またしばらく進んだ後で、ターワンは立ち止まり壁に向き直って動かなくなった。
「おお、今度こそ扉か」
「待て、先輩。
それにしては様子がおかしい。
自動で扉が発生しないぞ。
みんな、ちょっと下がっていてくれ。
次こそ危ないかもしれない」
俺は今度こそ管理魔物の出現を疑い、他の人を少し下がらせ、俺付きの狼達六匹を従えて、ターワンの背中にしゃがんだ姿勢で待機した。
だが、いきなり扉が出現したかと思えば、蜘蛛の背中にいる俺が中に引っ張り込まれた。
今度の奴は緑色のあいつだった。
「うわあ、今度はコントンの方だったー」
予想していない事態だったので少し慌てたが、なんとターワンは瞬間的に鎧を脱ぎ、器用にも驚くほど小さく身を縮めてなんとか扉を潜り抜けた。
意外と体が柔らかいな、この蜘蛛。
猫ですか!
しかも足には自動で瞬間的にコンパクトに畳まれた鎧と、俺の担当についている狼六匹をぶらさげたまま。
なんて器用な奴だ!
俺のチームは見事に全員が『混沌の扉』への侵入に成功した。
そして、そこにはポリポリと頭をかいているドラゴナイトの求道者がいた。
「ソコノ、クモニハマケタ。
アルジノタメニ、ケライイチドウデ、ココヘトモヲスルトハ、マコトニアッパレ。
ソヤツラノカセイハ、トクベツニミトメヨウ。
キットメイシュモ、オミトメクダサルハズ」
相変わらずな事を言っていやがるなあ。
こいつは本当に面白い。
「なあ、勘違いをしてもらっちゃあ困るんだが、こいつらは只の付き添いだ。
あんたは俺達を殺しにかかってきている凶悪な敵じゃないのだから。
俺達はチームだから一緒に来てくれただけなのだ。
彼らは主たる俺の成長をそこで見届けるのが仕事さ」
むしろ、賢いターワンの事だから俺が助けろと言ったとしても、欠伸をしながら前足を振るだけだろう。
主人を甘やかすのは良い眷属ではないのだから。
ここでそんな事をしていたら、主など何人いたって足りやしない。
「ハッハッハ、アッパレ、ジツニアッパレ。
キサマノ、ソノミゴトナセイシンニ、ケイイヲヒョウシ、コンカイノショウヒンハ、トクベツニグレードアップシヨウ」
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