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第二章 はずれスキルの冒険者
2-41 念願のブツ
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俺は泉とデートの続きに戻り、それはもうあれこれと買いまくった。もういつでも来れるくらいの比較的近隣の街なので、そう買い込む必要もないのだが、一応は記念すべき最初の訪問だからな。
思いっきりお上りさんをしちゃうぜ。さっきは念願の王都にも行ってきたので今更なのだが、あそこは買い物マラソンで慌ただしかったしなあ。
「あ、そうだ」
「なに?」
「頼みがある。明日の朝一緒にまた王都まで行きたいんだ。帰りはザムザ1と帰るから」
「王都からザムザかあ。見つかると大騒ぎよ。まあ、こっそり帰ればいいか」
もう何かにつけ俺並みにアバウトな泉。こういうところも気が合うんだけどね。
欠点としては、多分俺が何かにプツっときて暴走する時は、たぶん泉も一緒に暴走しているので絶対に止めてくれないのが想定できることかな。
それから部屋へ帰って、スマホのバッテリーとタブレット、あと各種の料理やお菓子、その他の土産を適度にバッグに詰め込んだ。
ショウはもう戻っており、フォミオとショウはまた泉の部屋へ行くようだ。エレもウインクをしながらフォミオにくっついて出ていってしまった。
「スキル本日一粒万倍日、発動」
次の瞬間に真っ白な光と共に、見事に部屋中がバッグで埋もれてしまい、初めて目の当たりにした泉が大爆笑していた。
「いいなあ、このスキル。あ、これ部屋着にしたいから、いくつかちょうだい」
そう言って彼女は少しお洒落な男女兼用のようなスタイルの、ラフな上下をさばくった。日本で言えば、トレーナーの上下みたいなものか。
「このバッテリーは新しいなあ」
「うん、買ったばっかりよん」
「やったぜ、でかしたー!」
フォミオには明日の朝から、先に村まで戻っておくように言っておいた。空から行く俺が先に着いちゃいそうな勢いだがな。
ショウはフォミオだけだとトラブルかもしれないので、村までは一緒に行かせるが、自分の商いをしながら行くようだ。
ビトーの街で何かいい物があれば揃えておくようにと頼んでおいた。収納があるから、仕入れておけばいつでも受け取れるし、宝珠の子機があればザムザ1を迎えにやらせる事も可能だ。
「うわ、これはまた凄い物をいただいてきましたね。こういう物があるのは知っていましたが、目にする機会があろうとは。ましてや僕が子機を持つ事になるとはねえ。親機の方を渡すとは冒険者ギルドも太っ腹だなあ。あなたを利用する気満々ですね!」
「はは、それくらい腹黒い方が却って信用できるというものさ。じゃあ頼んだよ」
「わかりました」
それから翌朝、俺達はまたも二人っきりで朝を迎えた。
「おはよー」
「おはよ」
朝になどと言いながら、もうお昼なのは御愛嬌だったが、朝ご飯は朝昼兼用にして王都の店で食べようという事になった。
「今日は王都でどうしたいの? 買い物とかじゃないよね。それなら一人でもいけるから」
「ああ、勇者を紹介してほしいんだ。正確には俺が希望する物品を持った勇者を」
「ああ、納得。して、ご希望のブツは」
「まずは拳銃だ」
泉が飲みかけの日本茶を吹いた。
「いやー、うちの彼氏が犯罪者にー」
「人聞きの悪い事を言うなよ、ちゃんと警官の持ち物じゃないか」
「まあ頼んではみるけど駄目かもよ。相手は警察官なんだし、あの人達頭が固そうなのよ。
『誘拐犯の言う事を警察官が聞くわけにはいかない』とか言って、向こうが渡してくれようとしたお金も受け取らずに王様のところをすぐ出ていったくらいだから。
今は二人で組んで堅気の仕事をしているみたいね。いかめしい格好をしていて市場なんかで見かけるから、ガードマンか何かしているみたい。まあ二人ともそれほど強力なスキルを持っていないみたいだから、王様もすぐに諦めたみたいだけどさ」
「あれまあ、俺や宗篤姉妹以外に、他にもはぐれ勇者がいたんだなあ。まあいいや、連れていってくれよ。なんとか物で釣れないものかなあ」
「さあねえ、交渉の手伝いはするけど結果の保証はできないわねえ。他には」
「太陽電池付きの携帯バッテリーだね。こっちは持っている人間がいればの話さ」
「うーん、いたかなあ。一応聞いてはみるけどさ。ああ後ね、地球の化粧品もお願い。みんなの分をかき集めるから。こっちの物は今一つっていうか、ちょっとなあ」
「そういや、君も殆どスッピンだよな」
「仕方がなくよー。今まで素顔をお化粧で胡麻化して生きてきた人達なんか、中には覆面している人もいるくらいよ」
「覆面……」
「それで、それをからかったりする馬鹿な男がいるんだけどさ。まあそういう奴は、女の子達の手で闇討ちの刑だけどね~、あっはっはっは」
「はははは。そいつはいいやあ、勇者の男どもアホや~」
「あと、そういう虐めみたいな事を国護のおっさんに見つかるとボコボコにされるわね。あの人って、そういうのが大っ嫌いだから」
「いや、いかにもあのおっさんらしいな」
俺も馬車の隣に座っていたのもあって、あのおっさんの事は嫌いじゃない。俺が置いて行かれる時、あのおっさんが一番苦しそうな顔をしてくれていたしな。
あの時は全員を恨んでいたけど、今は別に恨んじゃいない。だが、今も俺に喧嘩を売ってくる奴がいたら爆発するかもな。その時には泉も止めないだろうし、むしろけしかけるくらいかもしれない。
思いっきりお上りさんをしちゃうぜ。さっきは念願の王都にも行ってきたので今更なのだが、あそこは買い物マラソンで慌ただしかったしなあ。
「あ、そうだ」
「なに?」
「頼みがある。明日の朝一緒にまた王都まで行きたいんだ。帰りはザムザ1と帰るから」
「王都からザムザかあ。見つかると大騒ぎよ。まあ、こっそり帰ればいいか」
もう何かにつけ俺並みにアバウトな泉。こういうところも気が合うんだけどね。
欠点としては、多分俺が何かにプツっときて暴走する時は、たぶん泉も一緒に暴走しているので絶対に止めてくれないのが想定できることかな。
それから部屋へ帰って、スマホのバッテリーとタブレット、あと各種の料理やお菓子、その他の土産を適度にバッグに詰め込んだ。
ショウはもう戻っており、フォミオとショウはまた泉の部屋へ行くようだ。エレもウインクをしながらフォミオにくっついて出ていってしまった。
「スキル本日一粒万倍日、発動」
次の瞬間に真っ白な光と共に、見事に部屋中がバッグで埋もれてしまい、初めて目の当たりにした泉が大爆笑していた。
「いいなあ、このスキル。あ、これ部屋着にしたいから、いくつかちょうだい」
そう言って彼女は少しお洒落な男女兼用のようなスタイルの、ラフな上下をさばくった。日本で言えば、トレーナーの上下みたいなものか。
「このバッテリーは新しいなあ」
「うん、買ったばっかりよん」
「やったぜ、でかしたー!」
フォミオには明日の朝から、先に村まで戻っておくように言っておいた。空から行く俺が先に着いちゃいそうな勢いだがな。
ショウはフォミオだけだとトラブルかもしれないので、村までは一緒に行かせるが、自分の商いをしながら行くようだ。
ビトーの街で何かいい物があれば揃えておくようにと頼んでおいた。収納があるから、仕入れておけばいつでも受け取れるし、宝珠の子機があればザムザ1を迎えにやらせる事も可能だ。
「うわ、これはまた凄い物をいただいてきましたね。こういう物があるのは知っていましたが、目にする機会があろうとは。ましてや僕が子機を持つ事になるとはねえ。親機の方を渡すとは冒険者ギルドも太っ腹だなあ。あなたを利用する気満々ですね!」
「はは、それくらい腹黒い方が却って信用できるというものさ。じゃあ頼んだよ」
「わかりました」
それから翌朝、俺達はまたも二人っきりで朝を迎えた。
「おはよー」
「おはよ」
朝になどと言いながら、もうお昼なのは御愛嬌だったが、朝ご飯は朝昼兼用にして王都の店で食べようという事になった。
「今日は王都でどうしたいの? 買い物とかじゃないよね。それなら一人でもいけるから」
「ああ、勇者を紹介してほしいんだ。正確には俺が希望する物品を持った勇者を」
「ああ、納得。して、ご希望のブツは」
「まずは拳銃だ」
泉が飲みかけの日本茶を吹いた。
「いやー、うちの彼氏が犯罪者にー」
「人聞きの悪い事を言うなよ、ちゃんと警官の持ち物じゃないか」
「まあ頼んではみるけど駄目かもよ。相手は警察官なんだし、あの人達頭が固そうなのよ。
『誘拐犯の言う事を警察官が聞くわけにはいかない』とか言って、向こうが渡してくれようとしたお金も受け取らずに王様のところをすぐ出ていったくらいだから。
今は二人で組んで堅気の仕事をしているみたいね。いかめしい格好をしていて市場なんかで見かけるから、ガードマンか何かしているみたい。まあ二人ともそれほど強力なスキルを持っていないみたいだから、王様もすぐに諦めたみたいだけどさ」
「あれまあ、俺や宗篤姉妹以外に、他にもはぐれ勇者がいたんだなあ。まあいいや、連れていってくれよ。なんとか物で釣れないものかなあ」
「さあねえ、交渉の手伝いはするけど結果の保証はできないわねえ。他には」
「太陽電池付きの携帯バッテリーだね。こっちは持っている人間がいればの話さ」
「うーん、いたかなあ。一応聞いてはみるけどさ。ああ後ね、地球の化粧品もお願い。みんなの分をかき集めるから。こっちの物は今一つっていうか、ちょっとなあ」
「そういや、君も殆どスッピンだよな」
「仕方がなくよー。今まで素顔をお化粧で胡麻化して生きてきた人達なんか、中には覆面している人もいるくらいよ」
「覆面……」
「それで、それをからかったりする馬鹿な男がいるんだけどさ。まあそういう奴は、女の子達の手で闇討ちの刑だけどね~、あっはっはっは」
「はははは。そいつはいいやあ、勇者の男どもアホや~」
「あと、そういう虐めみたいな事を国護のおっさんに見つかるとボコボコにされるわね。あの人って、そういうのが大っ嫌いだから」
「いや、いかにもあのおっさんらしいな」
俺も馬車の隣に座っていたのもあって、あのおっさんの事は嫌いじゃない。俺が置いて行かれる時、あのおっさんが一番苦しそうな顔をしてくれていたしな。
あの時は全員を恨んでいたけど、今は別に恨んじゃいない。だが、今も俺に喧嘩を売ってくる奴がいたら爆発するかもな。その時には泉も止めないだろうし、むしろけしかけるくらいかもしれない。
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