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精鋭部隊に頼まれたので、スズネの部屋に行く。途中リンを探して、いろいろ聞こう。

スズネの部屋に入ると、探していたリンが机に地図を広げていた。
(ニャにしてるニャ?)
(主様から。この国から出て行くと言われ。地図を用意してます。で乗合い馬車か、高いけどバーガイルド、ママイマイとでは、値段と他国までかかる日数を計算しました。)エッヘンと偉そうに胸を張られた。
がこんな話を、リーンハルト様とテオバルト様に聞かれたら、スズネ監禁コースまっしぐらニャ。
(誰にも、言っちゃダメニャ。特にテオバルト様の所にいる、妖精に話すと、二度とスズネに会えないニャよ。)(主様に会えなくなるのは、いやなので。黙ってます。)と胸を叩いて任せとけと言われた。

絶対この妖精話すニャよ。リンには手紙を渡しに、氷河にずっといてもらう。何かあれば、すぐ呼びつけるからと、手紙の内容はこの事を書く。最後には、助けて欲しいニャで締めくくる。
(なら。主様に地図と調べた物を渡すです。)ジャと手を上げ、手紙を妖精鞄にいれ飛んで行った。頼むから、全てが 終わるまでは、ネイドが引き留めるニャ。

スズネは、国まで出て行くのかニャ。テオバルト様は番の間違いでも、リーンハルト様はもうほぼほぼ決まりニャよ。

朝から、リーンハルト様の威圧がしたから何事かと思ってたら、こんニャ。事になってたニャ。

番からは、逃げられない。ましてや、リーンハルト様も、番がなかなか見つからなかった方ニャ。どの種族も王族は執着心が 、一番強いニャ。さもなければ、王族何てやってられないニャ。あれは、呪いに近い執着心ニャ。特に捕食者の種族は、執着心が強い。草食にもあるが、彼等程はない・・・

ハー。厄介な番に何て事を言うニャ。あれは、頭に血がのぼったニャ。スズネ。ニャは、毛が心配ニャ。

頭がぼんやりする。部屋を見ると、私の部屋の天井にしては、綺麗な天井だな?ここ何処だろう?
「スズネ?起きたニャか?」見つめると、目の前に大きい猫がいた。夢だな。猫の頬っぺたを、触ります。柔らかい毛に、夢心地になっていると「満足したかニャ?大丈夫ニャ。」と声をかけられた。「クラフト?あれ?私??寝てた。仕事しないと」

起きようとする、スズネをベッドに寝かしつける。「大丈夫ニャ。今日は休みニャ。何があったか、わかってるニャ。」

スズネが考え始めた。「編み物の注文を断ってから、ここを出ようと思ってる事までは、話したと思う。その後は、・・・・」そこまでなら、まだ大丈夫かニャ。

「昨日の疲れで倒れたニャ。今日はゆっくり休んでるニャ。」頷く。「リーンハルト様に、悪い事しちゃた。部屋で倒れたから失礼にあたらないかな?」

心配するのはそこじゃニャイ、そこじゃないニャよ。「大丈夫ニャ。リーンハルト様も、心配していたニャ。」

苦笑する。嘘や忠誠もここまで来ると凄いな。「クラフト、ありがとう。」と御礼を 言い、もう一度寝る。

一先ずリンが調べた、地図を持って厩舎のジジィのいる場所に走る。

ジジィがこちらを見たので、地図をみせる。ジジイが最小限の防音魔法を展開する。「地図ニャ。スズネが妖精に調べさせてたニャ。」ジジィ眉間のシワが 増えたニャ。

「嬢ちゃん。国から出て行くとなると・・・監禁コースか。この国から遠い国な。それに、足がつかない逃げかたなぁ。」地図の上の走り書きを、指でなぞる。
(これは、いただけないなぁ。)ジジィの小声に、背筋が凍る。

この国から遠い国は、巨人族か 魔国が一番遠い。目の前のジジイに助けを求める。(助けて欲しいニャ)

「ロゼッタ嬢は一思いにだが。ありゃ。グズグズ ドロドロにされるな。まっ。俺も番が逃げるなら、何百通りか・・・・・あるからな。」ニヤリと笑うその笑いが恐い。

リーンハルト様は、元王女様(お祖母様)の精鋭達に可愛がられてたから、技や思考力など底意地が悪いのも似てる。そしてその暗部達に、深く関わっている人だ。ゼフィ様とリーンハルト様では、腹黒具合いが違う。黒と真っ黒って感じニャ。ゼフィ様は文官でリーンハルト様は、軍人だ。暗部の才能 剣 魔法 もすごい人だ。怒らしたら 怖いのはこっちニャ。

昔はこの屋敷の執事が、暗部を指揮していた。
今は執事が戦闘の相手していて、リーンハルト様の怒りを発散をさせている。でもリーンハルト様の、理性が切れる1歩手前ニャ。恐ろしいニャ。


ジジイに地図を、返して貰うために振り向くと、ジジイの懐に入れられた。代わりの地図を渡される。
「もっと仕入れてこい。これは預かっておく。敵にはなるなよ。」と手で追い払われた。

怖いニャ。ここの屋敷のメイドも、恐ろしいくらい腕が立つ。スズネみたいに、ただのアホのメイドは、いニャイ。リーンハルト様も優しい笑顔の裏が、恐ろしい人だ。この屋敷全体を敵に回すなんて、ニャには出来ない。

スズネの部屋に行くならと食事を渡された。部屋に入ると、スズネが起き上がって、部屋を片付けていた。「ニャニしてるニャ?」「部屋を片付けてるの?もうすぐここを出るから、ありがとうの意味合いも込めて綺麗にしとかないとね。」と笑ってる。
「スズネ。番儀式は受けるニャよね。受けてから、氷河に帰るニャね。」こちらを見て、考えながら返事した。返事まで、ものすごく長かった。やはり危ない。
「スズネ?ニャニかあったニャか?リーンハルト様に「何でも無いよ。大丈夫だよ。分かっているから」と話しを遮られた。テオバルト様の家に行く=ロゼッタ嬢の危険<<<<リーンハルト様の怒りを天秤に掛けると明らかに、後半が不利になってるニャ。
頭が痛いニャ。そうだ。ここは、最後の手段で、食事にこれを盛るニャ。ニャも命が大事ニャ。
これは 子供に使う奴で本当に弱いので、大丈夫。国の貴族や商人などは、小さい頃から少しずつならされる奴にゃ。

スズネには耐性なさそうニャ。持ってて良かった。この味が嫌いで、ずーっと隠し持ってた奴ニャ。

「スズネ。ご飯を食べるニャ。美味しいニャ。」とさりげなく盛るニャ。一滴もう一滴が良いかな?2滴にするニャ。するとスズネがのぞき込んできて、調味料?とスープに全て掛けてしまった。大丈夫か?

熱々のスープに掛けたから、部屋には自白剤の匂いが充満してる。ニャも嗅ぐが、この位は子供の頃から嗅がされているので、平気だ。
スズネを見ると、目がうつろになってきている。今なら聞けるニャ。

「あははは。楽しくなっちゃった。今の調味料?お酒だったのかな?フフフフ。笑いが止まらない。ちょっと。お行儀悪いけど、机にもたれるね?」スズネは大丈夫か?まだ食べてもいないのに、匂いだけで、変になっちゃった。子供用だから、副作用は大丈夫・・・・ニャネ。

「スズネ?大丈夫ニャか?お酒に弱いのか?」と肩を揺さぶる。
「うーん。そうだね。余り強くないかな?良くお酒はコップ一杯って決めてたの、それ以上は自分の許容量が、ふふふふふ。」楽しそうで良かったニャ。スープをさりげなく進める。美味しそうに、飲み始めているが、飲んでるつもりなのか少しこぼしてる。半分飲んだところで本題ニャ。「リーンハルト様に、番儀式申し込まれたニャ?ニャニかあったニャか?」ふふふ。と笑ってる。「あのね。私恥ずかしい勘違いしちゃったの?聞いてくれる?」と小首を傾けるので、全力でうなずく。これさえ聞いたら、ニャの命も助かるニャ。

「リーンハルト様に、特別な場所に連れて行って貰って、そこで番儀式の申し込みされちゃった。あはははは。でもね。それは、嫌々の申し込みだったんだ。だって。リーンハルト様、本命の可愛い番がいたんだよ。ロゼッタ嬢から私を守るために、お芝居してくれたんだ。優しいね。王弟の番かも知れない人に危害を加えるなら、その右腕の番なら、お話ししていてもおかしくないでしょう?その為の お芝居なんだよ。ふふふふ。おかしいよね。お芝居なのに、勘違いしちゃって。クラフト?笑って良いよ。おかしい。勘違い女って。笑うところだよ。」一気に話した。スズネに肩を叩かれて、笑えと言われてるが、笑えニャイ。これ何処で、間違っちゃったニャ。可愛い番って誰にゃ?

「それ。スズネの勘違いニャよ。」と話すと目が笑っていない。スープ皿を持って2皿も一気に飲んだ。
飲み終わった皿をドンと置いて「分かってるよ。勘違いって。だから、迷惑掛ける前に、この国を出て行くんだもん。あれ?そういえば、リンに乗り物代と遠い国調べて貰ってたんだけど?リン知らない?」と聞いてきた。

首を横に振って置く「しらニャイ。」スズネ。ゴメンにゃ。命が惜しいニャ。

「スズネは。リーンハルト様が番で。好きにゃね。」と話すと。スズネが固まった。そして泣き出した・・
「好きだよ。番儀式の申し込みの時に、気がついたんだもの・・・でも、嘘の番申し込みだった。私の馬鹿な勘違いだった。私は、平民だよ。もう、関わりが無くなるの。だから、国を 此所を今すぐに出て行きたいの・・・・」
涙があふれて、止まらない。分かってる。クラフトに八つ当たりをしてるのも、でも感情が止められない。

そう言うと、スズネの周りに風の渦が起こり始め。机や家具などが、風の力で飛ばされ始めた。それに気がついたスズネが、部屋の窓から外に出た。外に出てもスズネの周りの風は、止むどころか より一層強くなっていく。その風の異様な魔法に気がついた、執事やメイド リーンハルト様も駆けつけてきた。

スズネがリーンハルト様に気がつき、そちらを向いて笑っていた。スズネが何かを話している(迷惑かけて、ごめんなさい。やっぱり。私 此所にはいられない。貴方を見ていたくない・・)聞き取れない。スズネの周りの風の渦が、さらに強さをました。リーンハルト様が、スズネに手を伸ばした瞬間。
辺りに金と銀の魔方陣が周りに円を描くよう展開された、これは番儀式の絆あわせ。するとスズネとリーンハルト様の番の絆が合わさり各々の体に刻まれ光り輝く。

そしてどこからともなく、声がする。番儀式が今なされた。新たな番達に、祝福を・・・それと同時に風が止み。辺りに静けさが出来たが・・・スズネは、その場からいなくなっていた。

竜化した、リーンハルト様が上空に上がり国のどこかにいる、スズネを探してる。

その姿を見た、テオバルト様も駆けつけたが、番が居ない。番の僅かな芳香に、テオバルト様の絆も反応したが、番が居ないため 絆が空に円を描き、消えてしまった。2匹の竜の怒りの 咆哮と哀しみの咆哮が、国中に響いた。

そして二匹の竜の咆吼が、国中に遠く長く響いていた。あまりにも、悲しい咆吼が・・・・







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