「完全で最高」で「不完全で最低」な青春

影樹 ねこ丸

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第2話 新撰組結成

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 やぁやぁ、これを見てくれているってことは、約束を守ってくれたってことだよね?
 どうも、ありがとう。
 まさか、2話から読み始めている変な人は居ないよね?

 ということで、これから伝説を語っていこうかなと思うんだけど、聞くにはそれ相応の心意気が必要さ。
 もしかしたらこういうの、苦手な人も居るかもね。
 いや、居ないか。

 とりあえず、読み始めて、「こりゃダメだな」って思ったら、お引き取りください。
 ということで、伝説は桜の木の下で始まったのである。



 上から桜の花弁が、ひらひらひらひらと、枝が恋しいのか、躊躇ためらいながら散っている。
 まだ俺は咲いていたいんだ!という、強い意志を表しているかのように。
 だが、地面に着いてみて、こりゃいいね、と花弁もどうやら気に入ったようで、桃色のカーペットをみんなで敷き始めている。
  
 そんな春爛漫の景色に包まれて、俺ら5人は桜の木の下で、円を作りながら自然のカーペットに腰を降ろしている。
 一体、これから何をするというのだろう?
 琳音りんねも、この状況が把握できないでいた。

 「俺らって、最近いつも一緒に居るよな。」

 このグループの、リーダーのような存在である、工藤すぐるが、何かを遠回りに気づかせようとしている。
 違和感を感じるような喋り出しに、何を返せば良いのか、さっぱり分からない。

 「そうだな。」

 とりあえず認めてみたのは、奇人と呼ばれる、遠岡善造だった。
 古風な名前のわりに、チャランポランで、最近の若者という感じだろうか。

 「で、それがどうしたんだよ?」

 謎の言動の理解をしたいというように、藤山はじめは核心を突く質問をした。
 一は真面目そうなのに、不真面目で、成績は超が付くほど優秀。

 その質問に対して、傑の答えが返ってこない。
 見かねた、城ヶ崎あらたは急かすように、

 「何を戸惑ってんだよ?お前らしくねぇな。」
 
 と言った。新と傑は、どうやら小学校から一緒らしく、お互いのことを良く分かっている。
 傑は思いきって、肩を上げて、深呼吸をした。
 すると、その深呼吸に対して突っ込む暇も与えず、急に口を開いた。

 「ここに、令和という新しき時代の、新撰組を結成する!」
 「な、...は?」

 一瞬、というか今でも、言っている意味がわからなかった。
 新撰組って、昔の警察みたいな、そんな感じの連中だったはずだ。
 それと俺らが、どういう関係で、こう結び付いたのか?
 何もかもが分からないまま、傑がもう一度口を開くのを待つしかなかった。

 「つまりは、仲良し組を結成するに値して、名前はかっこいい方がいいだろうと思って。」
 「そういうこと?」
 「ごめん、ちょっと理解できねぇわ。」

 どうやら傑も、俺の両親と同じ病気を患っているらしい。
 忘れちゃった人と、2話から読み始めた変な人のために説明すると、1話を見ればわかりますが、病気とは中二病のことです。

 「まぁ、でも仲良し組ってのは賛成だな。やっぱ結束した感があるよな。」
 「もう結束してるだろ?結束感なんかじゃない。俺らはもう正真正銘の、仲間だ。」
 
 マジでこいつ、中二病になった?
 言ってることが、いかにもアニメ見すぎの人のようだ。

 「ごめん、一回殴って良い?」

 善造が拳を突き立てた。
 これには全員、笑うしかなかった。
 俺らは桜の木の下で、誓ったんだ。

 “これからずっと、協力して生きていくこと”

 離れることは許されないんだと。
 なんか、怖いね...。

 
 翌日、既に伝説は始まっていた。
 
 琳音がいつも通り学校に登校し、B棟の3階まで駆け上った。
 少し騒がしいようだけど、何があったのだろう?

 廊下を見ると、生徒達がある貼り紙を覗いているようだ。
 その紙に大層な事が書いてあるのか、ざわつきが半端じゃなかった。

 琳音は走って、その貼り紙を確認した。
 見た瞬間、顔から血の気が引いていくのがわかった。
 回りからの視線を急に感じ、体全体をチクチクと刺してくる。
 その貼り紙には、こう書いてあった。


 「祝・令和新撰組結成!
 我らは生徒会とは違った、私利私欲で結成された組織である。
 ただの仲良し組とは、全然違う。我らは、全力で高校生活を駆け抜け、常にリーダーシップを発揮していく。
 顧問も居なければ、先生の意見も通さない。
 生徒による、生徒のための、生徒集団である。
 組員は5名。追加は無し、志望不可能。

 組員:工藤傑 城ヶ崎新 景樹琳音 遠岡善造 藤山一
 
 主な活動:イベントの盛り上げ 率先的に活動 部活での活躍 生徒の意見を満遍まんべんなく取り入れた政策 など
 
 何か我らに意見があったら、1年A組 工藤傑に言いに来てくれ。もしくは他の組員に言っても可能だ。
 できるだけのことはするつもりだ。ベストは尽くす。
 だが、期待はしすぎないように。

 それじゃあ、これからよろしく。       1年A組 工藤傑」

 
 なんということだ。
 血相が変わっていくのが分かる。
 回りからの視線も、先程より多く感じられる。
 
 こんな大掛かりなら、初めから言ってもらえば良かったのに。
 傑が言っていた集団の、程度が分からなかったため、どうにも理解できなかった。
 これほど大きくするつもりだったのか?目的って、これだけなのか?
 謎は深まるばかりだった。


 視線から逃げるように、速足で教室に駆け込んだ。
 
 「おぉ、琳音!」
 「あぁ、傑!あれは、どういうつもりだ?」

 廊下から1枚とったビラを、傑の目の前でふらふらと散らつかせた。
 教室のなかでも、やはりかなりの注目を浴びている。

 「琳音、いいか?これから多くのことをやっていくにも、知名度があれば、それの噂が広まるわけさ。
 それで、良い意味で有名になっていくと、どんどん権力が上がったいくのよ。
 そーするとな、良い高校に行けたり、それからの職業にも関わってくるんよ。
 将来のために、俺はこうしていくわけ。だから、これからも伝説を作ってこうぜ!」

 なんだか融通は通っているが、心からなるほどとは思えない。
 半ば強引な気がするのは、俺だけだろうか?

 ヤベェ、心配になってきた。
 

 
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