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しおりを挟む「きゃぁぁあっ」
教室で悲鳴があがる
そりゃそうだろ!立翔のやつ、いきなり抱きついてきやがった。
「可愛いなぁ馨~」
「ちょ、離せっ!」
「あっやべ!先生に見られとるー」
「ひあっ…」
「え…」
立翔が離れる時に耳に吐息がかかった。
それにびっくりして変な声が出てしまった!みんなには聞こえてないとは思うけど…
「その声、そそるやん…」
ボソッと立翔が呟いたが、焦っていた俺は聞き取れなかった。
「はぁ…君たちは…注意事項ちゃんと聞きましたか?」
「もちろんやでー!」
俺は聞けてないっ!とは言えずとりあえず頷く俺。
顔が赤いのが自分でも分かる。
恥ずかしすぎて死にそうだよ…
「…っ馨のやつ…あんな可愛かったっけ?」
「俺、馨ならいけるかも…」
前かがみになった男子生徒が数名いたが、もちろん馨は気付けなかった。
キーンコーンカーンコーン
授業も終わり、みんながぞろぞろと教室を出て行く。
「馨ー?馨って次授業ないやんな?」
「ん?うん。ないけど…」
「俺もないから、どっか遊びに行かん?」
「どっかって…どこ行くんだよ?」
「んー。夜は俺ん家で駄弁ろう!それまでは…そやな、夜の食料の買い出しとー、いろいろ?」
「いろいろって…まぁ行こか?」
立翔がてきとーすぎて少し笑ってしまった。
「馨、笑った顔が1番可愛い」
「へっ!?」
顔を赤らめて言う立翔に、俺は何となく危機感をおぼえたのであった。
*****************
お菓子やらコーラやら色々買って、俺は今立翔の家の前にいる。
立翔はそれなりに高そうなマンションに一人暮らしだ。
大学生のくせに…
「おじゃましまーす」
「おじゃましてくださーい」
「ふっ」
「あ、笑ったー!」
「可愛い返事するなと思って」
「馨ちゃんこそお邪魔しますなんて可愛いー!」
「なっ」
女子の会話かよ…!なんてツッコミを入れたくなったが、なんかキャラが違う気がしてやめた。
「ん?どしたの?」
気づいてたらぼーっとしていたらしい。
「な、なんでもないよ!」
「そー?なにかあったら言いなね!ほら、料理作ろー?」
「そうだな…!」
今回はチーズフォンデュを作ることになった。
俺がソーセージを切っていると…
「馨?チーズ溶けたよ!少し、少しだけ味見していいー?」
「ん?ぁあ。いいよー」
「うまぁー♡」
それから10分後…
俺が具材を切り終わりテーブルに運びに行くと…
「立翔…?これは、どうゆう事だ?」
「えーっと」
「なんでチーズがほぼないんだ?ぱんもなくなってるし…」
「馨が気づかないうちに食べたんじゃないー?あはは」
「こらーっ!」
「馨の手料理なんてなかなか食べれないから!俺馨に嫁に来て欲しいくらい馨の料理好きなんだぁ」
「他にも沢山いるわ!これくらい作れるヤツ。どーすんだよ…はぁ」
「い、炒める?」
「チーズ走って買ってこい!!」
「はい!!!」
慌てて走って行く立翔を見て、何だか顔がにやけてしまった。
嫁とか…俺、なんもいい所ないのに…
でもなんか嬉しくて、それが恥ずかしくなって俺はクッションをぶん投げた
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