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第五章「斬月の誓い、そして出会い」
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燃え残る灰の谷を後にし、ポンとミクは静かに歩いていた。月が鋭く空に浮かび、甲羅に銀の光を投げかける。
「……兄ちゃん。斬月流、覚えてるか?」
ミクがつぶやくように問うと、ポンはしばらく黙ったまま、立ち止まった。
「忘れるわけねぇ。俺たちがまだ子ガメだった頃……父ちゃんが教えてくれた“月を斬る剣術”。」
「……でも、使いこなせたことなんて、一度もなかった。」
ポンはゆっくりと背中の甲羅に手をやる。そして、父の形見である“斬月刀”を取り出した。柄には「一刀両断」と刻まれた小さな赤銅の札。月明かりに鈍く光るその刀を、ポンはしっかりと両手で構えた。
「けど、もう逃げねぇ。……あの日、燃えた甲羅谷で誓ったろ。家族の分まで生きて、戦って、必ず仇を討つって。」
ミクもまた、甲羅の奥から小さな二刀を取り出した。ミクの小さな体には不釣り合いな刃だが、その目には迷いはない。
「斬月流――兄弟二刀・影月(えいげつ)の構え。」
ふたりは互いに向き合い、刃を交差させた。次の瞬間、月明かりが一陣の風を起こし、ふたりの影を長く伸ばしてゆく。
「……誓うぞ、ミク。」
「……うん。兄ちゃん。」
そのときだった。
「……やっぱり、生きてた。」
谷の陰から、白兎が姿を現した。長い銀髪、しなやかな体。冷たい目に微かな憂いをたたえる――ユエだった。
「ユエ……!」
ポンが刀を構え直すと、ユエはふっと笑みを浮かべる。
「斬る気なら、ここで斬ってもいい。でも、私はあなたたちを助けに来た。」
「助けに……?」
「月牙宮――兎一族の本拠。その入口が、今夜だけ開かれる。私にしか案内できない。」
ミクが目を見開いた。
「兎一族の本拠地……」
「……信じなくてもいい。でも、私にはあの場所で果たすべき責任がある。そして、あなたたちには……刃を振るう理由がある。」
ポンはユエを見据えたまま、深く息を吸う。
「なら……最後まで見届けろ。俺たちの“斬月”が、どこまで届くかをな。」
ユエは小さく頷き、三人は夜の闇の奥へと歩みを進めていった。
月の下、血に染まった誓いを胸に――。
「……兄ちゃん。斬月流、覚えてるか?」
ミクがつぶやくように問うと、ポンはしばらく黙ったまま、立ち止まった。
「忘れるわけねぇ。俺たちがまだ子ガメだった頃……父ちゃんが教えてくれた“月を斬る剣術”。」
「……でも、使いこなせたことなんて、一度もなかった。」
ポンはゆっくりと背中の甲羅に手をやる。そして、父の形見である“斬月刀”を取り出した。柄には「一刀両断」と刻まれた小さな赤銅の札。月明かりに鈍く光るその刀を、ポンはしっかりと両手で構えた。
「けど、もう逃げねぇ。……あの日、燃えた甲羅谷で誓ったろ。家族の分まで生きて、戦って、必ず仇を討つって。」
ミクもまた、甲羅の奥から小さな二刀を取り出した。ミクの小さな体には不釣り合いな刃だが、その目には迷いはない。
「斬月流――兄弟二刀・影月(えいげつ)の構え。」
ふたりは互いに向き合い、刃を交差させた。次の瞬間、月明かりが一陣の風を起こし、ふたりの影を長く伸ばしてゆく。
「……誓うぞ、ミク。」
「……うん。兄ちゃん。」
そのときだった。
「……やっぱり、生きてた。」
谷の陰から、白兎が姿を現した。長い銀髪、しなやかな体。冷たい目に微かな憂いをたたえる――ユエだった。
「ユエ……!」
ポンが刀を構え直すと、ユエはふっと笑みを浮かべる。
「斬る気なら、ここで斬ってもいい。でも、私はあなたたちを助けに来た。」
「助けに……?」
「月牙宮――兎一族の本拠。その入口が、今夜だけ開かれる。私にしか案内できない。」
ミクが目を見開いた。
「兎一族の本拠地……」
「……信じなくてもいい。でも、私にはあの場所で果たすべき責任がある。そして、あなたたちには……刃を振るう理由がある。」
ポンはユエを見据えたまま、深く息を吸う。
「なら……最後まで見届けろ。俺たちの“斬月”が、どこまで届くかをな。」
ユエは小さく頷き、三人は夜の闇の奥へと歩みを進めていった。
月の下、血に染まった誓いを胸に――。
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