「サボってるだろう?」と追い出された最強の龍脈衆~救ってくれた幼馴染と一緒に実力主義の帝国へ行き、実力が認められて龍騎士に~

土偶の友

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第3章 動乱

61話 控室

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 俺はロネ姫の控室で彼女が帰って来るのを待っていた。

 それから数時間後、扉が開かれる。

「わ!」
「……」

 扉を開いたメイドはいつもロネ姫の側にいる片割れで、明かりもつけずに暗くしていたからか突然現れた俺の姿に驚いていた。

「せ、セレット様。いかがされました?」
「ロネ姫は来るか?」
「はい、もう5分程で来られると思います」
「では少し待たせてくれ」
「はぁ。私はここの準備をさせて頂きますね」
「ああ」

 俺は邪魔にならないように端に移動し、ロネ姫を待つ。すると、5分程でロネ姫が入ってきた。

「は~。本当にセレットのことで寄ってくる奴が多過ぎよ! しかも私はただの置物扱いしてくれちゃって! セレットに私の娘(9才)を紹介しましょうかですって!? そこまで子供じゃないわよ! 胸も少しはあるわ!」
「姫様、それくらいに……」
「いいじゃない。パーティーでは言えないんだからここでくらい言っても……って、セレット? どうしたのかしら!?」

 ロネは俺を見つけたと思うと、驚いて見つめてくる。

「ああ、ちょっとロネ姫に謝らないといけないことがあってな」
「え……。やっぱり陣営を変えたいとかかしら? それはちょっと困ると言いますか……」
「そんなことじゃない。主君をロネスティリア様から変えるなんてことは一度も思っていない」
「そ、そう。なら大丈夫よ。どうしたっていうのかしら?」

 ロネ姫は露骨にホッとしたような表情になり、聞いてくる。

「さっきのパーティーの献上品。最優秀賞を取れなかった。申し訳ない」
「なんだ。そんなこと。あれは相手が悪かったのよ。バーティカルクラブの盾を実際に見たけれど、あれを作るにはどう考えても3か月はかかる行程をやっていたわ。たった1か月くらいの準備で優秀賞を取れたのだから十分よ」
「だが、うかうかはしていられないと釘を刺された」
「え? 一体誰に? いえ、もしかしてこの流れは」
「ああ、エトアとライアットと言う2人にだ」
「そんな……。どうしてそんなことを?」
「俺が聞きたい所だが、その話の過程で思ったことがある」
「え、ええ」
「俺がバカにされるのは正直どうでもいいが、ロネ姫がバカにされるのは正直許せないと言うのに気が付いた。『あんな弱小の姫では出来ることなどない』そう言われたときは剣があったら伸びていたかもしれない」
「そう思ってくれるのは嬉しいのですが……。武器に手を伸ばすのはやめて頂きたい所です」
「分かっている。分かっているんだが……。この感情は中々無かったからな。戸惑っている。どうしたら奴らを見返してやれる?」
「ですからそんなことをしなくて貴方であれば……と言いたい所ですがセレット、貴方の感情がそうでは無いと思うんですね」
「ああ」

 何でここまでロネに対し感情移入と言うか、肩入れしているのか分からない。

 初めての主君ということに舞い上がっている可能性もある。というかきっとそうなんだろう。彼女に対して主君以上の感情は湧かないし、ロネ姫とどうなりたいとか思ったことは一度たりともない。でも、俺はこの優しい主君がバカにされるのは許せなかったのだ。

「では……。何か他の魔物でも狩って来ますか? いえ、正直今すぐにここを離れては欲しくありませんし……。セレット。人を殺す覚悟はおありですか?」
「ある」

 ワルマー王国では盗賊を殺した事もある。今更だろう。

「であれば、丁度いいことがあります。近々オルドア兄さまが対帝国同盟が不穏いうことで援軍に向かうことになっています」
「そうなのか?」
「ええ、お兄様にはそこにセレットを派遣してくれないか? と言われていたので、そこで誰も異論を挟めないほどの手柄をあげて頂ければきっと彼らも文句は言えないでしょう」
「だが、それだと姫様が」
「わたくしは当分ここを動くことはありません。公務も終わったばかりですし、あんなことがあったばかりですからね」

 襲撃の件か。未だに解決というか犯人のめぼしすらついていないと言う話だ。

「分かった。それに行くことにしよう。何時からいけばいいんだ?」
「お待ちください。今日陛下のパーティーを行なったばかりです。直ぐにはいかないでしょう」
「そうか……」
「それに、今はここの警備も厚いですけど、直ぐにそうでは無くなります」
「どうしてだ?」

 ロネ姫は窓近づき、正門の方を見下ろす。

「あれをご覧になって」
「? ああ」

 俺も窓辺に近づき下を見下ろした。そこには慌ただしく出発する皇族の紋章を掲げた馬車があった。それだけではない。その周囲にいる護衛も俺達が行った時の5倍以上もいる。

「あれはお姉様ですわね。公務が入っているのでしょう」
「それにしても夜に行くのか? しかも護衛の数も多い」
「この時間に自領に帰る貴族の方々も居ますから。その方々と一緒に行こうと考えているのでしょう。それに、わたくしの事がありましたから、護衛を沢山連れて行きたいという事なのでしょうね」
「なるほど」
「そうやって皇族が多くの護衛を引き連れて行くと自然、この帝城の警備も薄くなる。その為に今は周辺からかき集めているのですわ」
「じゃあ少しはこの城で鍛えることにするのがいいのか?」
「そうですわね。もしも力をつけたいのであればジャグレッド様とまた模擬戦でも致しますか? お兄様が個人的に持っている練兵場でならやらせて貰えるかもしれませんよ?」
「お願いしたい。龍の小道にも中々いけないから鈍っているかもしれない。時々でも行きたいんだ」
「流石に小道に入って行くのはあまりおススメ致しませんが……。ですが少しは手を回してみましょう」
「助かる」

 こうやってお願いを聞いてくれる素晴らしい主君だと思う。今まではただあれをやれこれをやれと言ってくるだけで、こちらの要望も10回言って1つ通るかどうかといったレベルだった。

「構いません。ジュエルドラゴンの素材も感謝しているのですよ? あれでそれなりに動きやすくなりましたからね」
「それはアイシャに言ってください。彼女がやってくれた事ですから」
「そうだとしてもです。貴方が狩って来てくれなければ献上すらもっと普通の物を送ることになっていたんですから」

 そう言ってロネ姫はイスに座り直す。疲れているのか少しぐったりしているようだ。

「ロネ姫。ありがとうございました。今回はこれで」
「ええ、また何かあったら言ってください。何時でもお聞きしますから」
「はい」

 俺は部屋を出て、大過の龍脈に向かう。そして、パルマとの訓練に励んだ。
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