「サボってるだろう?」と追い出された最強の龍脈衆~救ってくれた幼馴染と一緒に実力主義の帝国へ行き、実力が認められて龍騎士に~

土偶の友

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第3章 動乱

66話 アーティファクト

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 侯爵とライアットが逃げ、侯爵の部下たちはほぼ全てが捕らえられた。

 俺はオルドアとジャグレッドの近くに帰ってくるとその話を伝えられる。

「それで、お前の仲間たちは無事だったか?」
「はい。オルドア様。確認に行かせて頂いてありがとうございます」

 俺は秘書や、隣の部屋の騎士が無事かを確認に行かせて貰えた感謝を示すために頭を下げる。

「気にするな。お前が居てくれたお陰でここの敵をあれだけ簡単に倒すことが出来たのだ。こちらこそ感謝をしてもし足りない」
「そうですぞ。エトアもライアットも十二分に強者と言われるような存在。それを片方でも殺してきたなどと、すさまじいですな」
「相手が油断していただけだ」

 ジャグレッドの言葉に、俺は首を振りながら返す。

「それにしても、余の所に来る気はないか? 出来る限りの待遇で、いや、望む限りの待遇をするぞ」
「そう言って頂けるのはとても嬉しいのですが、私はロネスティリア様の臣下になると決めたので。それを破ることは出来ません」

 第一皇子のオルドア様にこれだけ言われるのはとても光栄なことだと思うが、それでも出来る事と出来ないことがある。

「ふむ……。ますます欲しいな……。じい。何かいい手段はないか」
「そうですなぁ。ずっとではないですが、少しの間でしたらありますぞ」
「ほう」
「どういうことだ?」

 少しの間……?

「簡単です。グレゴール・グラディウス侯爵は恐らく自領に逃げ帰ったでしょう。ではその次は? 討伐しかありませぬ」
「ふむ」
「そして、対帝国同盟が騒がしい今、国軍はそう簡単には動かせません。そこで、オルドア様が私兵を引き連れて討伐に赴きます」
「なるほど」
「その際に他の兄弟達にも兵力を出させるのです。そこで、セレット殿を貸し出すように頼めばロネスティリア様も了承せざるを得ないでしょう」
「そうしよう。おい」
「は」

 オルドアが声をかけると、一人の騎士が反応した。

「早速今の意見を陛下にお伝えして来い。至急だ」
「畏まりました」

 そう言って騎士はすぐさま皇族が済む部屋に向かっていく。

「それを私が聞いてしまってもいいのでしょうか?」
「問題ない。隠すほどでもない。だろう?」

 オルドア様がジャグレッドに聞いている。

「はい。それに、セレット殿もライアットにはしてやられていますから、白黒はつけておきたいでしょう?」
「……そうだな。アイツらのせいでアイシャが傷つく所だった。狩り取っておかないと安心出来ない」
「であればロネスティリア様にもその旨をお伝えした方が直ぐに決まると思いますが?」
「分かった。俺が言って伝えてこよう」

 俺も彼らのことは許せない。ロネ姫に伝えに行かなければ。

「説得は任せた。俺達は被害状況の確認だ!」

 オルドア様は部下に指示を出し始めた。これはもういいと判断して俺はロネ様の部屋を目指す。


 セレットがその場を離れて少しして、

「ジャグレッド。あれと戦って勝てるか?」
「ふむ。命を賭して戦えば相打ちに持って行けるかどうか……。といった所ですな」
「それほどか……」
「ただ、正直に接して、彼の大事な者達に手を出さなければ問題はないでしょう。先ほどの攻撃も、アイシャという者が人質に取られていたような事を言っていましたし」
「なら、そいつらを人質に取れば……」
「死にたいのですか? 先ほど人質に取った状態のエトアとライアットが敗北したのですぞ? 一体どうしてそうなったのか気になりはしますが……。やぶへびかもしれません」
「そうだな……。ならば大人しく。色仕掛けと行くか」
「嫌がればまた違う方法を考えるまで。どこの陣営に所属するのがいいのか理解していただけるといいのですが」
「だな」

******

 俺はまたしても謁見の間に来ていた。

 少し前までオルドア様やジャグレッド、パルマ等の報奨の話がされていて、俺が最後らしい。

 いつものように動きにくい服を着て、じゃらじゃら音がする装飾品を沢山つけてひざまずく。

「セレットよ。この度の活躍。賞賛に値する」
「ありがとうございます!」

 皇帝はいつものように玉座に座っていて、その横には他の皇族が座っている。

 更にひざまずく俺の横には少しだけ数は減ったけれど、多くの貴族や文官や武官が並んでいた。

「今回の報奨はAランクのアーティファクトを一点授与する」
「本当ですか!?」

 俺は驚きの余り顔をあげてしまった。

「当然だ。相応しい働きをしたのだ。報奨は当然である。それとも、何か別のものが良かったか?」
「いえ、滅相もありません」
「本当を言うと苦労をしたのだぞ? 報奨の白金貨はほとんど使っていないようだし、龍騎士と言う称号を授けたばかりなのにこれ以上の称号はあまり意味もない。女は……。ロネの方が良かったか?」
「そ、そんな恐れ多いことは……」

 流石にそれは幾らなんでも……。

「そういう訳でアーティファクトを授与する。希望があれば後で目録を見ても良いし、管理人に案内をさせる故話を聞いてゆるりと考えても良い」
「は! ありがとうございます!」

 俺は素直に頭を下げる。しかしAランクのアーティファクトだなんて……。

 因みにアーティファクトにはS~Eまでのランクが存在する。Sランクに近づけば近づくほど稀少性や危険性が高くなっていく。

 大まかにまとめるとこうだ。

 Sランク……これは国家がというよりも王族が管理して、その国の行く末すら左右すると言われるほどのものしかない。これを個人で所有していることはほぼない。威力は絶大で1㎞四方を更地に変えたという話や、アーティファクトだけで1000にも登る軍勢を3日間抑え込んだという伝説上の話と共に語り継がれることがほとんどだ。

 Aランク……希少度は十分に高く、1つしか無いものも数多く存在する。威力はSランクには確実に及ばないが、十分に強力とされる物が多い。軍隊であれば指揮官が持っていることもあるし、冒険者でもSランクと呼ばれる猛者達ならば持っていることも十分にある。使い方を間違えなければ単騎で50人とも戦う事が出来ると言われる。

 Bランク……希少度はAランク程ではないが、強力な物が多い。このレベルだと遺跡を発掘していたら出て来たという話や、大きな街であれば防衛の要として考えられる事もある。これを使って100人もの敵を打ち倒した。という話があるため、これを貰えれば国からの報酬としてはかなり厚遇されている。

 Cランク……Bランクほどの威力はないが、それでも十分に強いとされる。国であればほぼ確実に1つは持っているし、王都の魔道具屋であれば時々売りに出されることがある程だ。といっても、目が飛び出るくらいには高額である。

 Dランク……戦闘用と生活用が半々くらいで存在していて、戦闘用でもかなり稼ぐことが出来れば購入することが出来る。生活様では街や村等で共同で金を出し合って購入されることもある。大体どこでもあるため金額はCランクとの間には超えられない壁がある。

 Eランク……使い道があまり多くない上にかなりの数が存在している物。平民でも少し頑張れば手が出せることがあるが、それでも余りの使い勝手の悪さにまた売られることがほとんど。戦闘用でお守り代わりに持っている人もいる。魔道具屋なら2桁レベルで余っていることもある程。

 そんな中のAランクのアーティファクト。それはかなり貴重なのだ。そして、それをくれると言うことは相当な褒美ということだ。以前に貰った白金貨100枚は稼ごうと思えば何とかなるかもしれないが、こちらはもう相手が頷いてくれないと手に入れることはできない。

 ワルマー王国で確認されているAランクのアーティファクトは20点も無かったはずだ。帝国ではどうか分からないが、それでも貴重であることは確実だ。

「うむ。今回の貴公の働きは驚嘆に値する。賊であるエトアの殺害、溢れそうになる龍脈を龍脈衆の援護が来るまでの防衛。見事というほかない」

 皇帝が満足そうに頷いているが、周囲の人々も同意するように頷いてくれている。

「セレットよ。これ以降も貴公の忠義を期待する」
「ありがとうございます!」
「うむ。列に並ぶが良い」
「畏まりました」

 俺は列に並ぶが、いつも通りのアイシャと秘書の間を選ぶ。
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