「タコ野郎!」と学園のダンジョンの底に突き落とされた僕のスキルが覚醒し、《クラーケン》の力が使える様に ~突き落としてきた奴は許さない~

土偶の友

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2章

56話 守護獣の兜

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 僕はネクロウルフ達を狩った後、森を走っていた。
 パリス先生からサナはあの集団にいない。
 ということを聞いて森にきていた。

 そして、何だか……こっちの方からサナの気配がしたように感じる。
 触手をクラーケンに変えているので振動から誰かがいると思ったのかもしれない。

 いや、きっとこれはサナが僕を呼んでいるのだろう。

「痛い!?」

 僕はもう少しで広い場所に出られる。
 そんな時に見えない何かにぶつかった。

「これは……?」

 手で……いや、触手で触ってみても、何か固い物があるようだ。

 でも、僕には分かる。
 この奥にサナがいる。

 そう直感の様な物がささやいていた。

「ふん!」

 僕はクラーケンの触手を壁に叩きつけると、ひびが入った。
 そして何回か叩きつけた所で、見えない何かが壊れる。

 向こう側にいたのは……

「サナの護衛の人? 確かジェレさん? と……〈守護獣の兜ガーディアンヘルム〉のリーダー!」

 僕は奴に向かって突進する。
 許さない。

 僕の大切な大切なサナをさらった奴を許せるはずがない。

「は!? 何だてめぇは! っていうかどうやってフルスタの結界を壊しやがった!」
「叩いたら壊れた!」
「はぁ!? んなわけねぇだろ!? 火竜のブレスでもびくともしない結界だぞ!? な! はええ!?」

 僕は速攻で奴に迫り、やつの四肢を触手で掴む。そして、

 バキバキバキバキ

「ぐわあああああああああああ!!!」

 両手両足、全ての骨を粉々に砕いた。

 サナを連れ去ろうした罪は重い。
 本来であれば八つ裂きにしてもいいが、サナの居場所を聞かなくては。

 僕は奴の胸倉を掴み、顔を近づけて聞く。

「おい。サナはどこだ。サナはどこに行った!」
「は! 知るかよ」
「この……!」

 僕は次はどうしようかという時に、すぐ横をナイフが走って目の前の奴の首を切り裂いた。

「か……は……」
「何をするんですか!? まだ何も聞いてないのに!」
「サナはこっち。貴方がいればきっと連れ戻せる」
「サナの居場所を知っているんですか!」
「来る」
「はい!」

 僕は持っていたカスクを投げ捨てて、ジェレさんの後を追う。

 彼女はこの奥の中央に行こうとしている様だった。
 それと同時に、注意点も言って来る。

「この奥に敵がいる。しかも、どうやってか洗脳出来るらしい」
「本当ですか!?」
「フェリスは洗脳されている。私もどれだけ持つか怪しい。出来るだけ一撃で決めてサナを連れ戻す。分かった?」
「分かりました!」

 そう言うと同時に開けた場所に出る。

 サナはぐったりと車いすに座っていて、その後ろには目に生気のないフェリスが。

 彼女の両隣には呪術師の人リャーチェと神官の人フルスタが立っていた。

「私が2人を足止めする。サナを回収して」
「分かりました!」

 僕は迷わずサナに向かって突っ込む。
 彼女の後ろにはフェリスがいて、もしかして洗脳されているのか。
 なら、彼女も助けなければ……。

 前の方では、リャーチェがフルスタに話しかけている。

「フルスタ」
「はい。『聖域結界ホーリーサンクチュアリ』」

 バン!

 僕たちの前にさっき壊したばかりに見えない壁が生まれ、進むのを邪魔してくる。
 でも、これくらいなら触手を数回叩きつけるだけで壊す。

「行きます!」
「さっきの……本当だったんだ……」
「え? なんですか?」
「……なんでもない」

 僕のすぐ後ろにいるジェレさんがいつ何をやるのかを待ちながら突っ込んだ。

「行く」

 ダン!

 僕のすぐ後ろにいた彼女が飛び、〈守護獣の兜ガーディアンヘルム〉に向かって腕を振った。

「【投擲スローイング】」

 ヒュン!

 彼女の手から放たれたナイフは2本。
 それらが的確にリャーチェとフルスタのもとへと向かっていく。

「『聖域結界ホーリーサンクチュアリ』」

 相手も当然の様に防いで来る。

 しかし、ナイフは何にも当たらなかったように2人に直撃した。

「何!?」
「なぜ!?」

 驚く2人を尻目に、僕はサナに向かって行く。

 そこに、胸にナイフが刺さったままのフルスタが立ちふさがる。

「いかせません」
「貴方の相手は私」
「なっ!」

 ジェレさんにフルスタは投げ飛ばされ、どこかに飛んでいく。
 しかも、その時に首を切りつけていたのか真っ赤な血がこれでもかと噴き出していた。

「サナ!」

 僕はサナに手を伸ばそうとした時、背筋に悪寒が走った。

「っ!」

 僕は飛び下がると、サナの前にはどす黒い……クラーケンの触手の様に真っ黒な中に、おぞましい何かが入っているような手が差し出されていた。
 それの持ち主は当然フェリス……。
 彼女は手袋を外し、サナに触れるか触れないかの距離で守っている様だった。

 フェリスは操られているという話を聞いて、攻撃するのをためらってしまう。
 けれど、サナを救うには……。

「早く!」

 護衛の人が叫んでいるので早くしなければ……どうしたら……そうだ。

「【墨吐きブラックアウト】!」

 僕はフェリスに向かって墨を吐き、彼女の視界を奪う。

 彼女は自分の目を拭くためにサナのガードが外れる。
 その隙をついて僕はサナを……

「残念だったな」
「何!?」

 僕の目の前にはさっき四肢を粉砕したはずのカスクが立ちはだかっていた。
 大剣はどこかに捨てて来たのか、砕けた鎧を着ているだけだ。

「どうして!?」
「あ? お前に言う訳ねぇだろ? 仲間になったら教えてやるよ」
「く……」

 僕はもう構っていられない。
 こいつらが死んでも構わない強さで触手を振るった。

「退け!」

 ドガァ!

 奴は元々が重いせいかそこまで吹き飛ばない。

 でも、この隙に

「サナは私の大事な大事な友達です。触らせませんよ?」
「フェリス……」

 サナに近付く前にフェリスが守り、視界を奪ってもその間に獣人が邪魔をする。
 厄介やっかいな……。

 でも、それくらいなら。

「【墨吐きブラックアウト】!」

 フェリスに墨を吐き、戻ってくるカスクを消す。

「同じことをしても意味ねぇぜ!」
「どうかな」

 グシャ!

 僕は獣人の下半身を握り潰し、そのまま触手で握ったままにする。
 奴からの攻撃は拳以外にはない。

「これで!」

 よし! サナを触手で掴みかけ……。

「あら? 私もいますよ?」
「え?」

 またしてもサナの前に邪魔者が入る。
 それは……先ほど護衛の人に投げ飛ばされていたフルスタだった。

「『聖域結界ホーリーサンクチュアリ』」

 バン!

 僕の触手が阻まれ、これ以上先には進めない。

 なんなんだこいつらは!

 そう思っていると、触手に捕まれていた獣人はどこからか小剣を取り出し、僕の触手では無く、自分の下半身を切り裂いた。

「は……?」

 僕の触手の中から奴が落ち、直ぐに再生されたかの様に元の体に戻る。

「あーたくよ。やるならジェレだったか? あっちの女みてーにちゃんと殺してくれよ。自分で蘇るのはめんどくせーんだからよ」

 奴はスキルを使った様な気配も無かった。
 ただ、自分が当たり前の様に復活できるような、そんな動きで自分を切り裂いていたのだ。

「どういう……こと?」
「俺様達が不死身だからだよ」
「嘘……でしょ?」
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