「タコ野郎!」と学園のダンジョンの底に突き落とされた僕のスキルが覚醒し、《クラーケン》の力が使える様に ~突き落としてきた奴は許さない~

土偶の友

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2章

57話 解放

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「不死身……?」

 そんなことあるのだろうか?
 でも、彼らは20年前から活動をしているというはずなのに、見た目は若々しいまま。

 本当にあるのかもしれない。

「きゃあ!!!」
「!?」

 僕は獣人達を警戒しながら護衛の人……ジェレの方を向くと、吹き飛ばされていく所だった。

 呪術師の人はゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。

「流石リャーチェだな。ジェレをやったか?」
「殺してない。第一、そんな奴になにをやっている。カスク」

 リャーチェと呼ばれた少女は厳しい目でカスクと呼んだ獣人を見る。

「べ、別にまだ本気を出した訳じゃない。少し遊んでやっていただけだ」
「そ、そうです。リャーチェ。私達はちゃんと貴方がくるまでの時間を稼いでいたのです」
「カスク。フルスタ。あたしを失望させるな」
「!?」

 カスクとフルスタの2人は、リャーチェに頭が上がらないのか思い切り腰が引けている。
 冒険者パーティの間で上下関係でもあるのだろうか。

「おい。行くぞ」
「ええ、カスク様」
「はぁ!」

 カスクが拳を振りかぶり僕に向かって突進してくる。

 でも、これ以上こいつらに構っている暇はない。

「【タコ化:クラーケン】」

 僕は突っ込んで来るカスクを触手で掴み、そのまま奥の方に投擲とうてきした。

「な? うおおおお!?」
「カスク様!」
「一緒に送ってあげるよ」
「え? きゃあああああ!!!」

 僕はフルスタと呼ばれた神官も掴んでそちらの方に投げ飛ばす。
 そしてサナを……。

「おっと、そこまでだよ」
「!?」

 僕がサナの方に向かう前に、いつの間にかリャーチェと呼ばれた少女が立ちはだかっていた。

「サナを返せ」
「サナ……? ああ、この子の名前か。気にするな。直ぐにサナという少女はいなくなる。出来るだけ早く忘れた方がお前の為さ」
「ふざけるな! サナは死なない! 僕が黒蛇病を治療するんだ!」
「……そうかい。それでそのスキルかい」
「何か知っているのか!?」
「教える訳ないだろう?」
「なら力ずくで聞かせてもらう! 【触手強化テンタクルフェイズ】!」

 僕はサナだけでなく、このリャーチェも連れて帰ることを決めた。
 サナの治療するのに関係あるのなら、僕はなんでもする。
 それに、不死身なら多少の荒事でも問題ない!

 触手を2本彼女に向かって伸ばしていく。
 その速度は前衛であるカスクをあっさりと捕らえられる程に速い。

「甘いねぇ。『黒炎ルヌイプラーマ』」

 ゴオオオオオオオオオオオオオオ!!!

 目の前に真っ黒な黒煙が立ち上る。

「なっ!」

 僕は慌てて飛び退り、回避する事に成功する。

「これは……」
「驚くことはない。焼き尽くす暗黒の炎。味わって帰るといい」

 僕は注意深く彼女を見るけれど、彼女は余裕という様な雰囲気を漂わせている。

 彼女だけは強いのか……。
 それとも何かあるのか……。

「はぁ!」

 黒炎が消えたタイミングで僕は再度突撃する。

「『黄風トゥイヴェーチル』」
「うわ!」

 今度は彼女の方から吹き付ける風によって吹き飛ばされる。

「く……!」

 僕はそのまま吹き飛ばされる最中に何とか体勢を立て直して地面を滑る。

 彼女との距離は20m以上離されてしまった。
 しかも、何も考えなしに突っ込むだけではきっと勝てない。

 遠距離……そうだ。
 僕には遠距離技があるんだ。

「【タコ化:クラーケン】……【水流切断アクアセーバー】」

 狙いはリャーチェのみ。
 近くにいるサナやフェリスには決して当たらないように細心の注意を払って放った。

「……」
「何!?」

 しかし、リャーチェは僕の攻撃を見切ったのか、少し横にずれるだけでかわしてしまった。

「中々いい攻撃だね。でも、あたしには勝てない。ま、アンタの相手はその後ろにいる奴らだけどね」
「!?」

 僕がそう言われて振り返ると、そこにはさっき吹き飛ばしたはずのカスクとフルスタがいた。

「俺達の相手がまだ終わってねぇぞ!」
「2人だけで盛り上がらないでよね! 『聖域結界ホーリーサンクチュアリ』」
「ほんとに邪魔だ!」

 カスクは拳で接近戦を仕掛けてくるし、フルスタは僕とカスクが出られないように結界で囲ってくる。

 本当に……本当に邪魔だ。

「Aランク冒険者を邪魔とは言ってくれるな!」
「だって……強いんじゃなくって、不死身とか……。どうやって!」
「あ? 決まってんだろ? 復活出来ねぇように粉々にするりゃあいいだけだろ!」
「クラーケンの力だなんて、大きく出たわね? その力なら本当に殺せるのかしらね?」
「く……!」

 僕はからかわれているのかもしれない。
 そんな事を思いながら彼らと戦う。

 といっても、僕の攻撃を彼らは全くと言っていいほど避けようとしない。
 むしろ自分から当たりに行き、こちらに致命傷ちめいしょうを与えようとして来る。

 でも、不自然さも感じるのだ。
 彼らは……全くスキルを使って来ない。

 まるで、ただ戦えと言われているから戦っている。
 そんな気さえして来る。

 もしかして……という事を思うと、僕は普通に戦っている時には使わないサイズにまで体を巨大化させた。
 ネクロウルフを殺した時のような、触手だけでも3mはある程の大きさ。
 2本あればカスクの様な巨体でも簡単に全身を握りつぶせるだろう。

「こりゃ……いいサイズだな?」
「ええ。私達も滅ぼされてしまうかもしれませんわね? カスク様」
「……」

 僕はカスクに触手を向けると、彼は触手に攻撃はして来るけれど、一切逃げるような事はして来なかった。

 そのまま掴み、全身をクラーケンの力ですり潰す。

「!!!」
「カスク様!?」

 カスクは満足そうに力を抜いてそのまま灰になったように地面に降り積もっていく。

 そして、フルスタの声にはどこか喜色の気配を感じた。

「よくもカスク様を滅ぼしましたね! ああされてしまえば私ももう復活は出来ないでしょう! あんなことをして……あんなことをして……。私は絶対に許しません! さぁ! かかって来なさい! 『聖域結界ホーリーサンクチュアリ』」

 彼女はそう言いながら僕と彼女を囲む。

 おかしい。
 彼女はこれまでずっと結界を張るだけで精一杯だったはず。
 何か魔法など……使えるのだろうか?

 でも、僕は彼女を滅ぼす為に近付いていく。

 彼女はさらに魔法を使った。

「『神聖結界ゴッズサンクチュアリ』」
「これは!?」

 僕と彼女を囲っていた中に、更に金色に輝く光の壁が作られる。

 どんな効果があるか分からない。
 急いでここから逃げなくては。

「待ってください」
「?」

 逃げようとした僕の背中に、優しい声がかけられた。

 その声の持ち主は、僕を結界に閉じ込めた張本人のフルスタだ。

「カスク様を解放してくださったこと。心から感謝致します」
「貴方は……どなたですか?」

 さっきまでの雰囲気と違ってまるで聖人の様な雰囲気すら漂わせている。
 表情も柔らかく、一緒にいるだけで安心出来そうな雰囲気だった。

「私はフルスタ。Aランク冒険者パーティの神官を務めていた者です」
「え……でも……」

 僕がそう言うと、彼女は悲しそうに目を伏せた。

「ええ……私とカスク様は、あの……リャーチェという悪魔に殺され、ずっと……ずっと操られていたのです」
「……どういうことですか?」
「そのままの意味です。リャーチェは共にダンジョンに行った時、彼女の仲間と共にわたし達を殺し、そして、呪術で操っていたのです。わたし達が不死身だったのも、彼女が術者として存在しているからです」
「そんな……死者の復活なんて……出来るんですか?」
「スキルを高度に使いこなし、彼女ほどの実力があれば可能なのでしょう。気を付けてください。彼女の仲間と共に私とカスク様は殺されましたが、リャーチェ1人でもSランク冒険者に匹敵する程の実力……いえ、下手をしたらそれ以上かもしれません。どうか……どうかお気をつけて」

 そう言って頭を下げたまま自分を殺してくれ。
 彼女はそう言っている様に見えた。

 でも、まだ……もっと彼女に関して聞かなければならない事がある。

「待って。せめて〈黒神の祝福ブラックブレス〉について教えて、それか黒蛇病に関してのことを」
「申し訳ありません。私はそれらの事を言えないように体の中に仕込まれています。ですので、お力にはなれません」
「そうですか……」
「ですが、リャーチェは気持ちが高ぶるとぺらぺらと話し始めてくれます。普段の生活で喋らないのも、口を開いて取り返しのつかない事を言わないようにするため。少し会話をし始めればすぐに話し始めてくれるでしょう」
「ありがとうございます」
「いえ、それでは私も楽にして頂けますか?」
「……はい」

 僕は彼女の全身を握り、一瞬で灰に変えた。

 その時、耳に幻聴が聞こえる。

「ああ……やっと解放される……。ありがとうございます。貴方のこれからに、幸多からんことを」

 そうして、カスクとフルスタは完全に消え去った。
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