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2章
63話 フェリスさん?
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リャーチェが死に、僕は少しの間それを見ていた。
これは僕が殺してしまったのだろうかと。
僕が人を殺した事はない。
でも、彼女はこれまで、悪いことをして来た事には間違いはない。
フェリスの両手を呪い、学園長を呪い、何より、サナを黒蛇病にさせた。
でも、この何とも言えない感情はなんだろうか。
「……」
答えの出ない問題を忘れる様に首を振り、フェリスやサナのことを思いだす。
「サナ!?」
周囲を見回してサナを探すと、少し離れた場所でサナを見つけた。
僕は体を人型に戻し、急いで彼女に近付く。
「すぅ……すぅ……」
サナはまたしても気持ちよさそうに眠っている。
良かった……彼女が無事で本当に良かった。
そう思っていると、サナの太ももの上に手紙がおいてあった。
僕はそれを手に取って開く。
『助かった。感謝する。待っていて。応援を呼んで来る。ジェレ』
手紙には端的に書かれていた。
字を思い返すと、サナの部屋の下にあったものと同じで、きっとあの真っ白な仮面を被った少女、ジェレのものだろうということが分かった。
彼女もかなり吹き飛ばされていたのによく無事だったものだ。
でも、彼女も助かって良かった。
「フェリス……」
サナの寝言で、僕は1人スキルにしまいっぱなしにしているフェリスの事を思い出す。
ないとは思うけれど、万が一に備えてサナから少し離れてスキルを解除する。
「【闇の牢獄】解除」
僕はスキルを解除して、中に捕らえていたフェリスを出す。
意識を失っていたのか、フェリスは崩れるように倒れて来た。
僕はそれを支え、地面に横たえる。
「フェリス。しっかりして、フェリス!?」
「う……うぅん……」
彼女はゆっくり目を覚ました。
「良かった……体に痛い所はない?」
「ここは……?」
「ここは……西の森だね。リャーチェと戦ってたんだ」
「リャーチェ様……! わたくしは……わたくしはクトー様になんて事を!」
フェリスは記憶が戻って来たのか。
顔を真っ青にして起き上がろうとして来る。
僕から離れたいのかもしれない。
「大丈夫。いきなりそんなに起き上がると辛いよ。今は休んで」
「しかし、しかし! わたくしは……わたくしはクトー様を殺そうとして……」
「死んでないから問題ないよ」
「でも、……わたくしの手が……手……が?」
彼女は自分の手を見て、パチクリと目を瞬かせる。
視線の先には、真っ白で細い、美しい手が2つあった。
僕は信じられない目で自分の手を見ている彼女に説明する。
「フェリスの手を呪っていたのはリャーチェだったみたい。だから、そのリャーチェが死んで、フェリスの呪いも解けたんだって」
「そんな……リャーチェ様……が? そんなことを?」
「うん。信じられないかも知れないけれど、呪いで洗脳していたり、結構な事をやっていたみたい」
「信じられません……」
そういうフェリスはやはりショックが大きい様子だった。
呪われた手になってしまい、メイド等を殺してしまっていた。
そんな時に現れて、彼女に手袋をくれたのはリャーチェだ。
彼女にとっては手袋が手放せないものになっていたに違いない。
けれど、実際はそれを渡した者が犯人だったのだ。
信じたくないという気持ちはわかる。
「本当だよ。それに、記憶が戻ったなら分かるんじゃない? リャーチェが君を操って、僕を殺そうとしたことを」
「……」
言いたく無かったけれど、隠しても仕方ない。
それに、きっと彼女はそれを乗り越えてくれるだけの強さを持っていると信じていた。
今までもあれだけの悪意を受けながらも、耐え抜いて来た彼女であるなら。
「クトー様」
「何?」
「わたくしと結婚してくださいませ」
そう言って彼女は僕に思い切り抱きつく。
全身絞め殺されるのではないか。
それほどに力強く、彼女の体を全身で感じてしまう。
「フェ、フェリス!?」
「ダメでしょうか? わたくしは……それなりに男好きのする体であるとは自負しているのですが……」
「い、いや……そういう事じゃなくって……。王女様でしょ……? それなのに、僕みたいな平民と結婚するのは……」
「問題ありません! お父様なら許してくださいます。というか、呪いを解いた者に嫁にくれてやってもいいと言われていますから」
「……」
そういえばそんな事を言っていたな。
「いやいや、でも……」
僕そう言うと、フェリスはすっと少し離れて、鼻と鼻がくっつきそうな距離で潤んだ目を向けてくる。
「わたくしでは……ダメ……でしょうか?」
「そういう訳じゃないけど……わ!」
僕の言葉にフェリスは思い切り抱きついて来る。
「では問題はありませんね! 大丈夫です! これでも王族。呪いの手も解かれたとあってはお父様も許してくださいます! ちょっと王都に行って一緒に説得しましょう!」
「フェリス!? キャラが変わってるよ!? っていうか当たってる当たってる!」
「当てています! 結婚すれば好きなだけ触ることも出来ますよ! どうですか!?」
「ちょ、ちょっと待って!? ちょっとだけでいいから!」
「むぅ……」
フェリスが仕方ないとばかりに僕から離れてくれる。
良かった……。
でもちょっと寂しい気持ちがするのはなぜだろうか。
僕は首を振ってその考えを払い、フェリスの両腕を掴む。
こうしておかないと抱きついて来そうだからだ。
「フェリス。今は少し混乱しているだけだと思うんだよ。今までずっと……ずっとその呪いを受けていて、それから解放されたからちょっと感情が高ぶっているだけだと思う。だから、一度ゆっくり考えよう? いい?」
僕は彼女の両腕を掴んだまま離さない。
「クトー様……そこまでわたくしの心配をしてくださって……お優しいのですね」
「……」
ダメだ。分かってない。
彼女はうっとりした視線を僕に向けて、体だけでも前に向かって来ている気がする。
「クトー様? わたくしの体をそこまで熱心に抱き締めておられるということは受け入れてくださる。という事でお間違えないですか?」
「お間違いですね。フェリスさん」
「そんな、わたくしの事を気遣ってくださっている?」
「……」
どうしよう。フェリスってこんな子だったのか?
話が全く通じないんだけど。
フェリスは視線をチラリと僕の後ろにやった。
「分かりました。では離れます」
「良かった。助かるよ」
フェリスは僕からスッと離れようとしたので手を放す。
ガバッ!
「フェリス!?」
フェリスは僕から離れたと思ったら、また直ぐに近付いて来て、僕の顔に……その……。あれを押し付けて来る。
押し付けて来るというか、抱きついてくるというか……。
彼女の体を押し返したいけれど、でも、彼女の体のどこを触ったらいいのか全く分からない。
腕は僕の頭を囲むようにしているので、押し返せないし……。
そんな事を思っていると、後ろから声をかけられる。
「クトー? 何をやっているのかしら?」
「れ、レイラ……」
その声はレイラのもので、心なしか怒っている様な気がする。
というか、後ろから伝わってくる熱気で確実に怒っている気がしてならない。
でも、ここで僕が振り返ったら……振り返ったら……。
怖くてこのままでいた方がいいかもしれない。
柔らかいし。
「兄さん?」
「サナ!?」
そう思って諦めていたら、すぐ横からサナの声が聞こえる。
この状況をなんて説明したらいいのだろう。
いや、僕がどうしたらいいのか。
なんと言っていいのか考えて頭でぐるぐるしていると、フェリスが代わりに話す。
「サナ、レイラ様。わたくし、クトー様と結婚致しますので、よろしくお願い致しますわ」
「ええ!?」
「本当!?」
「ち、違うから! ほんと! 流石に飛ばし過ぎだから!」
僕は殺気を向けてくるレイラと、好奇の目を向けてくるサナに向かって弁明する。
「そんな……わたくしがクトー様を殺しそうになった時も、助けてくださったのに……」
「それはそうだけど、それとは関係無くない!?」
「でも……わたくしをあんな所に閉じ込めて……」
「それは……」
きっと、彼女が言っているのは【闇の牢獄】の事で……。
でも、あれは仕方ないと思っているのだけれど……。
「クトー。ちょっと話があるわ」
「兄さん。私も……反対はしないけど、いきなりは良くないと思うの」
「2……2人とも。僕の話を聞いてくれないかな?」
「「ええ、ゆっくりと」」
その時の息の合い様は背筋が凍る程のものだった。
それから僕は両手をフェリスとレイラに掴まれながら学園に帰った。
これは僕が殺してしまったのだろうかと。
僕が人を殺した事はない。
でも、彼女はこれまで、悪いことをして来た事には間違いはない。
フェリスの両手を呪い、学園長を呪い、何より、サナを黒蛇病にさせた。
でも、この何とも言えない感情はなんだろうか。
「……」
答えの出ない問題を忘れる様に首を振り、フェリスやサナのことを思いだす。
「サナ!?」
周囲を見回してサナを探すと、少し離れた場所でサナを見つけた。
僕は体を人型に戻し、急いで彼女に近付く。
「すぅ……すぅ……」
サナはまたしても気持ちよさそうに眠っている。
良かった……彼女が無事で本当に良かった。
そう思っていると、サナの太ももの上に手紙がおいてあった。
僕はそれを手に取って開く。
『助かった。感謝する。待っていて。応援を呼んで来る。ジェレ』
手紙には端的に書かれていた。
字を思い返すと、サナの部屋の下にあったものと同じで、きっとあの真っ白な仮面を被った少女、ジェレのものだろうということが分かった。
彼女もかなり吹き飛ばされていたのによく無事だったものだ。
でも、彼女も助かって良かった。
「フェリス……」
サナの寝言で、僕は1人スキルにしまいっぱなしにしているフェリスの事を思い出す。
ないとは思うけれど、万が一に備えてサナから少し離れてスキルを解除する。
「【闇の牢獄】解除」
僕はスキルを解除して、中に捕らえていたフェリスを出す。
意識を失っていたのか、フェリスは崩れるように倒れて来た。
僕はそれを支え、地面に横たえる。
「フェリス。しっかりして、フェリス!?」
「う……うぅん……」
彼女はゆっくり目を覚ました。
「良かった……体に痛い所はない?」
「ここは……?」
「ここは……西の森だね。リャーチェと戦ってたんだ」
「リャーチェ様……! わたくしは……わたくしはクトー様になんて事を!」
フェリスは記憶が戻って来たのか。
顔を真っ青にして起き上がろうとして来る。
僕から離れたいのかもしれない。
「大丈夫。いきなりそんなに起き上がると辛いよ。今は休んで」
「しかし、しかし! わたくしは……わたくしはクトー様を殺そうとして……」
「死んでないから問題ないよ」
「でも、……わたくしの手が……手……が?」
彼女は自分の手を見て、パチクリと目を瞬かせる。
視線の先には、真っ白で細い、美しい手が2つあった。
僕は信じられない目で自分の手を見ている彼女に説明する。
「フェリスの手を呪っていたのはリャーチェだったみたい。だから、そのリャーチェが死んで、フェリスの呪いも解けたんだって」
「そんな……リャーチェ様……が? そんなことを?」
「うん。信じられないかも知れないけれど、呪いで洗脳していたり、結構な事をやっていたみたい」
「信じられません……」
そういうフェリスはやはりショックが大きい様子だった。
呪われた手になってしまい、メイド等を殺してしまっていた。
そんな時に現れて、彼女に手袋をくれたのはリャーチェだ。
彼女にとっては手袋が手放せないものになっていたに違いない。
けれど、実際はそれを渡した者が犯人だったのだ。
信じたくないという気持ちはわかる。
「本当だよ。それに、記憶が戻ったなら分かるんじゃない? リャーチェが君を操って、僕を殺そうとしたことを」
「……」
言いたく無かったけれど、隠しても仕方ない。
それに、きっと彼女はそれを乗り越えてくれるだけの強さを持っていると信じていた。
今までもあれだけの悪意を受けながらも、耐え抜いて来た彼女であるなら。
「クトー様」
「何?」
「わたくしと結婚してくださいませ」
そう言って彼女は僕に思い切り抱きつく。
全身絞め殺されるのではないか。
それほどに力強く、彼女の体を全身で感じてしまう。
「フェ、フェリス!?」
「ダメでしょうか? わたくしは……それなりに男好きのする体であるとは自負しているのですが……」
「い、いや……そういう事じゃなくって……。王女様でしょ……? それなのに、僕みたいな平民と結婚するのは……」
「問題ありません! お父様なら許してくださいます。というか、呪いを解いた者に嫁にくれてやってもいいと言われていますから」
「……」
そういえばそんな事を言っていたな。
「いやいや、でも……」
僕そう言うと、フェリスはすっと少し離れて、鼻と鼻がくっつきそうな距離で潤んだ目を向けてくる。
「わたくしでは……ダメ……でしょうか?」
「そういう訳じゃないけど……わ!」
僕の言葉にフェリスは思い切り抱きついて来る。
「では問題はありませんね! 大丈夫です! これでも王族。呪いの手も解かれたとあってはお父様も許してくださいます! ちょっと王都に行って一緒に説得しましょう!」
「フェリス!? キャラが変わってるよ!? っていうか当たってる当たってる!」
「当てています! 結婚すれば好きなだけ触ることも出来ますよ! どうですか!?」
「ちょ、ちょっと待って!? ちょっとだけでいいから!」
「むぅ……」
フェリスが仕方ないとばかりに僕から離れてくれる。
良かった……。
でもちょっと寂しい気持ちがするのはなぜだろうか。
僕は首を振ってその考えを払い、フェリスの両腕を掴む。
こうしておかないと抱きついて来そうだからだ。
「フェリス。今は少し混乱しているだけだと思うんだよ。今までずっと……ずっとその呪いを受けていて、それから解放されたからちょっと感情が高ぶっているだけだと思う。だから、一度ゆっくり考えよう? いい?」
僕は彼女の両腕を掴んだまま離さない。
「クトー様……そこまでわたくしの心配をしてくださって……お優しいのですね」
「……」
ダメだ。分かってない。
彼女はうっとりした視線を僕に向けて、体だけでも前に向かって来ている気がする。
「クトー様? わたくしの体をそこまで熱心に抱き締めておられるということは受け入れてくださる。という事でお間違えないですか?」
「お間違いですね。フェリスさん」
「そんな、わたくしの事を気遣ってくださっている?」
「……」
どうしよう。フェリスってこんな子だったのか?
話が全く通じないんだけど。
フェリスは視線をチラリと僕の後ろにやった。
「分かりました。では離れます」
「良かった。助かるよ」
フェリスは僕からスッと離れようとしたので手を放す。
ガバッ!
「フェリス!?」
フェリスは僕から離れたと思ったら、また直ぐに近付いて来て、僕の顔に……その……。あれを押し付けて来る。
押し付けて来るというか、抱きついてくるというか……。
彼女の体を押し返したいけれど、でも、彼女の体のどこを触ったらいいのか全く分からない。
腕は僕の頭を囲むようにしているので、押し返せないし……。
そんな事を思っていると、後ろから声をかけられる。
「クトー? 何をやっているのかしら?」
「れ、レイラ……」
その声はレイラのもので、心なしか怒っている様な気がする。
というか、後ろから伝わってくる熱気で確実に怒っている気がしてならない。
でも、ここで僕が振り返ったら……振り返ったら……。
怖くてこのままでいた方がいいかもしれない。
柔らかいし。
「兄さん?」
「サナ!?」
そう思って諦めていたら、すぐ横からサナの声が聞こえる。
この状況をなんて説明したらいいのだろう。
いや、僕がどうしたらいいのか。
なんと言っていいのか考えて頭でぐるぐるしていると、フェリスが代わりに話す。
「サナ、レイラ様。わたくし、クトー様と結婚致しますので、よろしくお願い致しますわ」
「ええ!?」
「本当!?」
「ち、違うから! ほんと! 流石に飛ばし過ぎだから!」
僕は殺気を向けてくるレイラと、好奇の目を向けてくるサナに向かって弁明する。
「そんな……わたくしがクトー様を殺しそうになった時も、助けてくださったのに……」
「それはそうだけど、それとは関係無くない!?」
「でも……わたくしをあんな所に閉じ込めて……」
「それは……」
きっと、彼女が言っているのは【闇の牢獄】の事で……。
でも、あれは仕方ないと思っているのだけれど……。
「クトー。ちょっと話があるわ」
「兄さん。私も……反対はしないけど、いきなりは良くないと思うの」
「2……2人とも。僕の話を聞いてくれないかな?」
「「ええ、ゆっくりと」」
その時の息の合い様は背筋が凍る程のものだった。
それから僕は両手をフェリスとレイラに掴まれながら学園に帰った。
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私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。
私は最高の仲間と最強を目指すから。
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