50 / 60
1章
第50話 翌朝
しおりを挟む
チュンチュン……ピチュチュ。
「ん……もう朝ですの……」
木窓の隙間からは光が差し込んでいて、朝の訪れを告げている。
わたくしは両サイドを静かに見ると、フィーネとララもスヤスヤと寝息を立てていた。
とても気持ちよさそうに寝ている2人を起こすのは悪い気もする。
それに、二人の可愛らしい寝顔を見れるのも、ちょっとした役得な気がした。
のんびりとした時間を感じる度に、スローライフをしている自分を嬉しく感じる。
日本という異世界でただ会社の為に時間を使っていた自分が、生きていたのかとすら思うほどに。
「ふふ……」
この時間を噛みしめ、自然と声が漏れてしまう。
「……クレア?」
「おはようございますわ。フィーネ」
わたくしの声でフィーネが起きてしまったらしい。
彼女は薄っすらと目を開け、何度か目を瞬かせてゆっくりと起き上がる。
「ん……っく……良く寝た……」
彼女はそのまま凝り固まった身体を伸ばす。
「いまって何時?」
「さぁ……どれくらいでしょうか? あまり光が入って来ないように作りましたし」
「窓開けてもいい?」
「もちろんですわ」
フィーネはベッドから起き上がり、ララのことも確認したからか静かに窓を開ける。
「………………やばくない?」
「そうなんですの?」
「太陽……めっちゃ高いんだけど!?」
彼女は顔を真っ青にして、こちらを振り返ってくる。
そのままダッシュで自室に行こうとして、ララを叩き起こす。
「ララ! 起きなさい! あんたのとこも始まる時間同じくらいでしょ!?」
「ん……あと5分……」
「その時間で遅れるわよ!?」
「じゃあシチューを煮込むまで……」
「それどれだけ時間がかかるのよ!」
と、言いながらも起こそうと必死になっている。
「フィーネ。わたくしが起こしますから、フィーネは自分の準備をなさってください」
「ありがとう! そうするわ!」
フィーネはダダダダとすごい音を立てて階段を登っていく。
わたくしはその音を聞きながら、ララをゆったりと揺する。
「ララ、朝ですわよ。起きて下さい」
「大根のかつらむきが終わるまで……」
「仕事に行かないとその料理もさせてもらえないかもしれませんわよ」
「!!?」
ララはわたくしの言葉で飛び起きる。
「それはまずい。すぐ準備する」
「ええ、気を付けて下さい」
彼女も準備を始めるので、わたくしも起きる。
そうすると、フィーネがダダダダとすごい音を立てて降りてきた。
彼女はサッと簡単な服をまとっていて、急いでいることが分かる。
「クレア! 行ってくる!」
「はい。いってらっしゃいませ」
フィーネはそれから走って家を出て行く。
その後を追いかけるようにララが部屋から出てくる。
彼女はいつもの店の服に着替えていた。
「わたしも行く。朝ご飯は……」
「昨夜、沢山食べたので大丈夫ですわ」
「ありがとう。明日はちゃんと作るから。行ってきます」
「はい。いってらっしゃいませ」
そう言ってララも走って家から出ていく。
わたくしは2人を見送ったあと、ベッドで寝たふりをする2人に向きなおる。
「さて……ティエラとマーレももう起きていますわよね?」
「起きている」
「起きてるよーでもショックで動けないよ……」
「どうかしましたの?」
「ララのご飯が食べたい……恋しい」
「昨日あれだけ食べたではありませんか……」
「ララのご飯は毎日しっかり5食分食べたいんだよ」
「2食余計ですわよ」
「因みにあと3食は新規開拓もしたい」
「1日8食はやり過ぎですわ」
それからとりあえず朝の身支度を整えると、これからのことについて話す。
「今日はどうしましょうか」
「俺はどこにでもついていくぞ」
「僕は……特にないかな……。食材も結構あるし」
ティエラとマーレは特にやりたいことがないらしい。
なら、
「わたくし、大きなベッドが欲しいですわ」
「十分大きいのがあるのではないか?」
「ええ、わたくし1人でしたら十分ですわ。でも、昨日のように、フィーネ、ララ、ティエラ、マーレ。みんなのことを考えると、もう少し大きいのが欲しいのです」
ベッドで寝ていた時は気づかなかったが、起きた後にティエラやマーレは少しベッドから落ちかかっていた。
それはいけない。
大事な家族が落ちるようなことは決して認められないのだ。
「なるほど、なら……またコカトリスを狩りに行かないといけないか?」
「そうですわね……ベッドの羽毛がもうちょっと欲しい感じではありますね」
「この辺りにいるのか?」
「それも含めて探しに行く。ということでいかがですか?」
「なるほど、それでいいぞ」
「僕もついていくよー」
ティエラもマーレもそう言ってくれたので、わたくしたちの目的も決まった。
「では、わたくしたちも行きましょうか!」
「ああ」
「うん」
ということで、わたくしたちもベッドを作るための素材探しに出ることになった。
「ん……もう朝ですの……」
木窓の隙間からは光が差し込んでいて、朝の訪れを告げている。
わたくしは両サイドを静かに見ると、フィーネとララもスヤスヤと寝息を立てていた。
とても気持ちよさそうに寝ている2人を起こすのは悪い気もする。
それに、二人の可愛らしい寝顔を見れるのも、ちょっとした役得な気がした。
のんびりとした時間を感じる度に、スローライフをしている自分を嬉しく感じる。
日本という異世界でただ会社の為に時間を使っていた自分が、生きていたのかとすら思うほどに。
「ふふ……」
この時間を噛みしめ、自然と声が漏れてしまう。
「……クレア?」
「おはようございますわ。フィーネ」
わたくしの声でフィーネが起きてしまったらしい。
彼女は薄っすらと目を開け、何度か目を瞬かせてゆっくりと起き上がる。
「ん……っく……良く寝た……」
彼女はそのまま凝り固まった身体を伸ばす。
「いまって何時?」
「さぁ……どれくらいでしょうか? あまり光が入って来ないように作りましたし」
「窓開けてもいい?」
「もちろんですわ」
フィーネはベッドから起き上がり、ララのことも確認したからか静かに窓を開ける。
「………………やばくない?」
「そうなんですの?」
「太陽……めっちゃ高いんだけど!?」
彼女は顔を真っ青にして、こちらを振り返ってくる。
そのままダッシュで自室に行こうとして、ララを叩き起こす。
「ララ! 起きなさい! あんたのとこも始まる時間同じくらいでしょ!?」
「ん……あと5分……」
「その時間で遅れるわよ!?」
「じゃあシチューを煮込むまで……」
「それどれだけ時間がかかるのよ!」
と、言いながらも起こそうと必死になっている。
「フィーネ。わたくしが起こしますから、フィーネは自分の準備をなさってください」
「ありがとう! そうするわ!」
フィーネはダダダダとすごい音を立てて階段を登っていく。
わたくしはその音を聞きながら、ララをゆったりと揺する。
「ララ、朝ですわよ。起きて下さい」
「大根のかつらむきが終わるまで……」
「仕事に行かないとその料理もさせてもらえないかもしれませんわよ」
「!!?」
ララはわたくしの言葉で飛び起きる。
「それはまずい。すぐ準備する」
「ええ、気を付けて下さい」
彼女も準備を始めるので、わたくしも起きる。
そうすると、フィーネがダダダダとすごい音を立てて降りてきた。
彼女はサッと簡単な服をまとっていて、急いでいることが分かる。
「クレア! 行ってくる!」
「はい。いってらっしゃいませ」
フィーネはそれから走って家を出て行く。
その後を追いかけるようにララが部屋から出てくる。
彼女はいつもの店の服に着替えていた。
「わたしも行く。朝ご飯は……」
「昨夜、沢山食べたので大丈夫ですわ」
「ありがとう。明日はちゃんと作るから。行ってきます」
「はい。いってらっしゃいませ」
そう言ってララも走って家から出ていく。
わたくしは2人を見送ったあと、ベッドで寝たふりをする2人に向きなおる。
「さて……ティエラとマーレももう起きていますわよね?」
「起きている」
「起きてるよーでもショックで動けないよ……」
「どうかしましたの?」
「ララのご飯が食べたい……恋しい」
「昨日あれだけ食べたではありませんか……」
「ララのご飯は毎日しっかり5食分食べたいんだよ」
「2食余計ですわよ」
「因みにあと3食は新規開拓もしたい」
「1日8食はやり過ぎですわ」
それからとりあえず朝の身支度を整えると、これからのことについて話す。
「今日はどうしましょうか」
「俺はどこにでもついていくぞ」
「僕は……特にないかな……。食材も結構あるし」
ティエラとマーレは特にやりたいことがないらしい。
なら、
「わたくし、大きなベッドが欲しいですわ」
「十分大きいのがあるのではないか?」
「ええ、わたくし1人でしたら十分ですわ。でも、昨日のように、フィーネ、ララ、ティエラ、マーレ。みんなのことを考えると、もう少し大きいのが欲しいのです」
ベッドで寝ていた時は気づかなかったが、起きた後にティエラやマーレは少しベッドから落ちかかっていた。
それはいけない。
大事な家族が落ちるようなことは決して認められないのだ。
「なるほど、なら……またコカトリスを狩りに行かないといけないか?」
「そうですわね……ベッドの羽毛がもうちょっと欲しい感じではありますね」
「この辺りにいるのか?」
「それも含めて探しに行く。ということでいかがですか?」
「なるほど、それでいいぞ」
「僕もついていくよー」
ティエラもマーレもそう言ってくれたので、わたくしたちの目的も決まった。
「では、わたくしたちも行きましょうか!」
「ああ」
「うん」
ということで、わたくしたちもベッドを作るための素材探しに出ることになった。
221
あなたにおすすめの小説
大自然を司る聖女、王宮を見捨て辺境で楽しく生きていく!
向原 行人
ファンタジー
旧題:聖女なのに婚約破棄した上に辺境へ追放? ショックで前世を思い出し、魔法で電化製品を再現出来るようになって快適なので、もう戻りません。
土の聖女と呼ばれる土魔法を極めた私、セシリアは婚約者である第二王子から婚約破棄を言い渡された上に、王宮を追放されて辺境の地へ飛ばされてしまった。
とりあえず、辺境の地でも何とか生きていくしかないと思った物の、着いた先は家どころか人すら居ない場所だった。
こんな所でどうすれば良いのと、ショックで頭が真っ白になった瞬間、突然前世の――日本の某家電量販店の販売員として働いていた記憶が蘇る。
土魔法で家や畑を作り、具現化魔法で家電製品を再現し……あれ? 王宮暮らしより遥かに快適なんですけど!
一方、王宮での私がしていた仕事を出来る者が居ないらしく、戻って来いと言われるけど、モフモフな動物さんたちと一緒に快適で幸せに暮らして居るので、お断りします。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
公爵閣下のご息女は、華麗に変身する
下菊みこと
ファンタジー
公爵家に突然引き取られた少女が幸せになるだけ。ただのほのぼの。
ニノンは孤児院の前に捨てられていた孤児。服にニノンと刺繍が施されていたので、ニノンと呼ばれ育てられる。そんな彼女の前に突然父が現れて…。
小説家になろう様でも投稿しています。
転生先は盲目幼女でした ~前世の記憶と魔法を頼りに生き延びます~
丹辺るん
ファンタジー
前世の記憶を持つ私、フィリス。思い出したのは五歳の誕生日の前日。
一応貴族……伯爵家の三女らしい……私は、なんと生まれつき目が見えなかった。
それでも、優しいお姉さんとメイドのおかげで、寂しくはなかった。
ところが、まともに話したこともなく、私を気に掛けることもない父親と兄からは、なぜか厄介者扱い。
ある日、不幸な事故に見せかけて、私は魔物の跋扈する場所で見捨てられてしまう。
もうダメだと思ったとき、私の前に現れたのは……
これは捨てられた盲目の私が、魔法と前世の記憶を頼りに生きる物語。
普段は地味子。でも本当は凄腕の聖女さん〜地味だから、という理由で聖女ギルドを追い出されてしまいました。私がいなくても大丈夫でしょうか?〜
神伊 咲児
ファンタジー
主人公、イルエマ・ジミィーナは16歳。
聖女ギルド【女神の光輝】に属している聖女だった。
イルエマは眼鏡をかけており、黒髪の冴えない見た目。
いわゆる地味子だ。
彼女の能力も地味だった。
使える魔法といえば、聖女なら誰でも使えるものばかり。回復と素材進化と解呪魔法の3つだけ。
唯一のユニークスキルは、ペンが無くても文字を書ける光魔字。
そんな能力も地味な彼女は、ギルド内では裏方作業の雑務をしていた。
ある日、ギルドマスターのキアーラより、地味だからという理由で解雇される。
しかし、彼女は目立たない実力者だった。
素材進化の魔法は独自で改良してパワーアップしており、通常の3倍の威力。
司祭でも見落とすような小さな呪いも見つけてしまう鋭い感覚。
難しい相談でも難なくこなす知識と教養。
全てにおいてハイクオリティ。最強の聖女だったのだ。
彼女は新しいギルドに参加して順風満帆。
彼女をクビにした聖女ギルドは落ちぶれていく。
地味な聖女が大活躍! 痛快ファンタジーストーリー。
全部で5万字。
カクヨムにも投稿しておりますが、アルファポリス用にタイトルも含めて改稿いたしました。
HOTランキング女性向け1位。
日間ファンタジーランキング1位。
日間完結ランキング1位。
応援してくれた、みなさんのおかげです。
ありがとうございます。とても嬉しいです!
スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~
白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」
マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。
そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。
だが、この世には例外というものがある。
ストロング家の次女であるアールマティだ。
実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。
そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】
戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。
「仰せのままに」
父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。
「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」
脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。
アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃
ストロング領は大飢饉となっていた。
農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。
主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。
短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。
聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!
ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません?
せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」
不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。
実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。
あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね?
なのに周りの反応は正反対!
なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。
勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?
王太子に裏切られたので、溺愛されてる魔王の嫁になります
タマ マコト
ファンタジー
王国の至宝、公爵令嬢リュシア=フィオーレ。
完璧な令嬢として王太子アレクシスの婚約者に選ばれ、「次期王妃」と称えられてきた。
だが、婚約式の前夜、彼女はアレクシスの口から信じられない言葉を聞く。
「君との婚約は終わりだ。俺は聖女エリナと結婚する。」
理由は――リュシアが“聖女を呪った”という濡れ衣。
教会の後ろ盾を得た聖女は民衆に愛され、リュシアは一夜にして“悪女”として吊るし上げられる。
王都に響く鐘の音。燃える邸宅。罵声を浴びせる群衆。
リュシアの瞳に、愛は砕け散った。
「……私は、何もしていないのに」
彼女は牢に囚われ、翌朝には“処刑”が決まる。
愛した人に裏切られ、友に見捨てられ、世界が敵になったその瞬間――
黒い裂け目が空に走り、漆黒の魔力が溢れ出す。
「この女に触れるな、人間。」
現れたのは、伝説の魔王ヴァルト。
“人間を滅ぼした魔王”と呼ばれる彼が、なぜ彼女を救うのか。
その答えは、まだ誰も知らない。
婚約破棄され森に捨てられました。探さないで下さい。
拓海のり
ファンタジー
属性魔法が使えず、役に立たない『自然魔法』だとバカにされていたステラは、婚約者の王太子から婚約破棄された。そして身に覚えのない罪で断罪され、修道院に行く途中で襲われる。他サイトにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる