10 / 52
ハナツオモイの章
10.伝説の蒼き魔術師
しおりを挟むヒーリングの寺院を後にした蓮也・ヘティス一行はプロキオンの案内で、村の繁華街にあるレストランバーに入る。
そこでは、冒険者たちが食事をし、語り合い、酒を酌み交わしている。
建物は古い木造で、雰囲気はしっとりとしていて落ち着きがあり心地が良い。多くの旅人を受け入れてきた趣がある。
ヘティス
「素敵な音楽ね~、なんか懐かしい雰囲気がするわ~」
店内では美しい音楽が奏でられている。その音楽を聴いて旅の疲れを癒しているものもいる。
【楽曲『ドリームジャーニー・人は誰でも夢の旅人』】
https://youtu.be/VWYK_JOfg-4
店に入るとプロキオンが店員と何かを話している。
そして、プロキオンがこちらに戻って来る。
プロキオン
「師匠、ご一緒したいのですが、私も警備のクエストがありますので、これにて失礼させていただきます。宿はこの村は一つしかなく、このレストランバーの隣になります。明日でも明後日でもいいので、剣技を教えていただけると嬉しいです!よろしくお願いします!」
蓮也
「明日は再びヒーリングに行く。まずは、私の腕が使い物にならねば片手剣しか教えられない。だから、その後、気が向いたら教えてやる」
プロキオン
「ありがとうございます!師匠!」
「ヘティスさんも、ありがとうございました!」
ヘティス
「あ、うん。こちらこそ、案内ありがとうね、プロキオンくん」
プロキオンは走ってクエストに向かう。
蓮也たちはレストランバーの中に入る。店員に案内され、丸いテーブルに、蓮也・ヘティス・ヘパイトス・ブーバ・キキが座る。
ヘティス
「あれ?ポコーはどのいったの?」
蓮也
「ポコーは夜はあまり活動的ではない。今頃花の中で寝ているだろう」
ヘティス
「ふーん、変なの~」
ブーバ
「腹減ったわん!」
キキ
「お腹すいたにゃん!」
ヘティス
「アンタたち、さっき何か変なゲテモノを食べてたでしょ?もうお腹すいたの~?」
「てゆーか、お腹すいたのはこっちのセリフよ~!もう、ペコペコなんだから!モリモリ食べるわよ~!」
蓮也
「金に限度がある。量は程々にしろ。それに食い過ぎは健康に悪い。何事も腹八分目だ。いいか。経済と健康、この維持が戦いには重要だ」
ヘティス
「なんか蓮也って合理的過ぎて面白くなーい。それに私、戦いなんかしないもん。で、食事ってのは、単に栄養を補給するためだけじゃないのよ。楽しい会話をしながら、食事の美味しさを味わって、それが人間としての幸せなのよ~!」
蓮也
「毎日、食い過ぎて、それで病気になり、金がなくなり、それが幸せというのか」
ヘティス
「も~、今からせっかく食事を楽しもうってのに、何か興醒めよね~」
「ねぇ、ヘパ」
「今の蓮也と私の会話を聴いてどう思う?」
ヘパイトス
「お金持ちはエンゲル係数が低いとされています。そして、腹八分目とすることで生活習慣病を防ぎ、医療費が削減され、健康に働くことができます。また、少食はアンチエイジングにもなりますので、美容面でもプラスです。ですから、蓮也さんの言われることは、とても理に叶っていると言えます」
ヘティス
「何よ!ヘパまで!どうせあんたには人間の気持ちなんかわかんないわよ!人間の幸せは人間が決めるの!」
「蓮也の頭の中はAIみたいね、ちっとも面白くないわ!」
ヘパイトス
「ヘティス、ロボットを差別してはいけませんよ」
ヘティス
「もー、うるさい!」
「それにパパはお金の価値観が強すぎるわ。パパの価値観が基礎プログラムに設定されてるから、ヘパからはサイテーな答えしか出てこないのよ!」
ブーバ
「まあまあ、ヘティスわん、抑えて抑えて」
「とりあえず、注文しようわん」
キキ
「お腹すいてると怒りっぽくなるにゃん」
「とりあえず、注文しようにゃん」
ヘティス
「・・・まあ、そうね」
と言うことで、ウエイターを呼ぶ。
ウエイター
「いらっしゃいませ」
ヘティス
「何かオススメのコースとかないの?この人は食べないから、人間二人と動物二匹のコースをお願い」
ウエイター
「お話はプロキオン様に伺っております。こちらで特別メニューを用意しております。お代の方はプロキオン様からいただいておりますので」
ヘティス
「やーん、プロキオンくん、ありがとう~!とても、いい人ね~!」
「蓮也~、あんた、ちゃんと彼にしっかり剣術教えてあげるのよ~!サービスしてあげるのよ~!」
蓮也
「どのようなことがあろうと、誰であっても、教授する内容は同じだ。教授料ももちろん取る」
ヘティス
「こういう接待を受けた時は、少しはサービスするものよ~」
蓮也
「そのようなことは剣術の教授と関係はない。そして、私は誰であろうと平等に対応する。特別扱いはしない」
ヘティス
「もう、あなたと話していると何か疲れるわ!食事、食事よ!」
そうこうしていると、次々に料理が出てくる。そして、メインディッシュが出てきた。
ヘティスは蓮也の食べる姿を見て、やはり、左腕の具合がよくないのだなと思った。
ブーバ
「この肉、うまいわん」
キキ
「この肉、うまいにゃん」
ヘティス
「ホント!美味しいわね!このお肉!そしてソースの香りがとてもいいわ~!」
蓮也
「この肉はドラゴンの肉だ。メニューにドラゴンステーキの竜肝ソースと書いてある。気をきかせて、なかなか上等な肉を用意してくれたようだな。プロキオンに感謝することだ」
ヘティス
「えええええええええ!」
「きょ・・・恐竜のお肉・・・」
「どうしよう・・・」
「食べちゃった・・・」
「なんか具合が悪くなってきた・・・」
「も、もういいわ・・・」
蓮也
「さっき腹一杯食べると言っていたではないか?」
「それに残すのは勿体ないだろ?」
「彼の好意でもあるし、さあ、残さず食え」
ヘティス
「気分悪いわ・・・。あんたたち・・・私の分も全部食べていいから」
ブーバ
「ドラゴンステーキ、美味いわん」
キキ
「竜肝ソース、素敵にゃん」
と、言うことで食後に飲み物が出された。
ヘティス
「とりあえず、飲み物でお口直しよ・・・」
「一応、何が入っているか、今度はウエイターさんに聴いたから安心よ」
「レインボーフラワリングティー、七色のお花のフレーバーティーね」
「いい香り~、癒される~。見た目も色とりどりで綺麗~。写真とってSNSに上げたくなるわ!」
「ところで蓮也、手は治ったの?」
蓮也
「いや、まだ治らないが、少しだけマシになった気がする。まあ、まだ戦闘ではまだ使い物にならんし、日常でもあまり動かすことはできない。明日、また来いと言われているので、行くつもりだ」
ヘティス
「あ、そうなんだ。よかったね。それと、もう一つ聞きたいんだけど」
蓮也
「なんだ?」
ヘティス
「蒼き魔術師って知ってる?」
蓮也
「蒼き魔術師・・・聞いたことがある。あらゆる魔術を使いこなし、軍略優れた伝説の魔術師だ。しかし、その出自・経歴は謎のベールに包まれている。我が祖父・円也王にも仕えたと言う伝説の五行英雄だ。暗黒戦争以降、その姿を消したとされるが」
「ところで、ヘティス、なぜ蒼き魔術師を知っている」
ヘティスはエスメラルダとのいきさつを話した。
ヘティス
「個人情報かもしれないから、エスメラルダさんには内緒ね」
「でね、蒼き魔術師を探し出したいの!」
「そしてね、彼女の想いを解き放ちたいの!」
「何十年越しかのハナツオモイ、素敵でしょ~?」
蓮也
「ハナツオモイ・・・か」
「エスメラルダは我が祖父のことも知っているようであるし、こちらに蒼き魔術師が加われば、私としても心強い。まあ、現在も生存していたら、の話だが。しかし、それなりの高齢だろうが、魔法型なら今も十分戦える」
ヘティス
「蓮也~、あなた戦うことばかり考えているけどさ~、何のために戦っているの?」
蓮也
「ヘティスは何のために生きているのだ?」
ヘティス
「ん~、前にも誰かにそんな質問されたことがあったっけ~?」
「私は、未来の世界にいた時は、ゲームして楽しんだり、動画観たり、VR楽しんだり、友達と遊んだり、ショッピング行ってお洒落したり、カフェしたり、・・・数えきれないくらい、たくさんあるわ!」
「けど、それって自分の価値観に素直になり、自然に振舞うことだと思うの。そうやって生きていくのが私の人生のコンセプトかな」
蓮也
「私にはヘティスの言っていることの半分も理解できないが、たくさんあることはいいことだな。素直に、自然にというのも悪くないと思う」
ヘティス
「でしょ?たまには褒めてくれるのね。てゆーか、私が聴いているのよ?やっぱり戦うのが楽しいの?そのために戦うの?ちょっとわかんないわ、その感覚」
蓮也
「何のために戦うか・・・か。以前にも同じ質問をされたことがあったな」
(最強の傭兵・スサノオ・・・、今も彼はどこかで戦いに明け暮れているだろうか?)
ヘティス
「へー、そうなんだ」
蓮也
「答えとしては、理想の世界を創造するため、だ」
ヘティス
「理想の世界を創造する・・・」
(なんか意外な答え・・・思っていたほどの戦闘マニアではないのかも)
ヘティスは蓮也が単に無目的に戦っているのではなく、そこに何らかの目的や哲学がある、と感じたのであった。
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中
桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。
やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。
「助けなんていらないわよ?」
は?
しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。
「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。
彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
【完結】国外追放の王女様と辺境開拓。王女様は落ちぶれた国王様から国を買うそうです。異世界転移したらキモデブ!?激ヤセからハーレム生活!
花咲一樹
ファンタジー
【錬聖スキルで美少女達と辺境開拓国造り。地面を掘ったら凄い物が出てきたよ!国外追放された王女様は、落ちぶれた国王様゛から国を買うそうです】
《異世界転移.キモデブ.激ヤセ.モテモテハーレムからの辺境建国物語》
天野川冬馬は、階段から落ちて異世界の若者と魂の交換転移をしてしまった。冬馬が目覚めると、そこは異世界の学院。そしてキモデブの体になっていた。
キモデブことリオン(冬馬)は婚活の神様の天啓で三人の美少女が婚約者になった。
一方、キモデブの婚約者となった王女ルミアーナ。国王である兄から婚約破棄を言い渡されるが、それを断り国外追放となってしまう。
キモデブのリオン、国外追放王女のルミアーナ、義妹のシルフィ、無双少女のクスノハの四人に、神様から降ったクエストは辺境の森の開拓だった。
辺境の森でのんびりとスローライフと思いきや、ルミアーナには大きな野望があった。
辺境の森の小さな家から始まる秘密国家。
国王の悪政により借金まみれで、沈みかけている母国。
リオンとルミアーナは母国を救う事が出来るのか。
※激しいバトルは有りませんので、ご注意下さい
カクヨムにてフォローワー2500人越えの人気作
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる



