幻想神統記ロータジア(ハナツオモイ編)

静風

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発露の章

究極魔法を求めて

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蓮也は深い瞑想の中で自己対峙し、未だ瞑想の世界にたたずんでいた。
ヘティスはその間、ヒーリングの修行の毎日であった。
そんなある日のこと。



ヘティス
「先生、先生の先生ってどんな人?」
エスメラルダ 
「私の先生はオオタネコと言って、伝説の五行英雄の一人・白き祝由師と言われていました」
ヘティス
「五行英雄ってことは、蒼き魔術師さんとお友達ってことね。てことは、凄い人なのね」
エスメラルダ 
「まあ、お友達だったかどうかはわかりませんが、同志ってところかしら。もちろん、高いレベルの神聖法の使い手でした」
ヘティス
「で、今はそのお師匠様はどちらにいらっしゃるの?」
エスメラルダ 
「既にこの世にはいません。サトゥルヌスとの戦いの時に、残念ながら亡くなっています」
ヘティス
「え~、そうなんだ」
エスメラルダ 
「最後は自己を犠牲にして」

時代は20年程前に遡る。
サトゥルヌスとの最終決戦の時であった。
先鋒ディフェンダーのアイン・バラン及びプレアデス重装兵団にプロテクションとヒーリングを集中させて、サトゥルヌスの攻撃を受けるという作戦であったが、サトゥルヌスの攻撃が想像以上に強く、ディフェンダー部隊が崩壊してしまった。
そこで、立ち上がったのが白き祝由師であった。白き祝由師は自らの生命力の全てを神聖力に変換し、それを解放することで究極のプロテクション「超新星結界」を張り巡らせた。それにより、白き祝由師の身体は一瞬で素粒子と化し、サトゥルヌスの攻撃を一時的に防御しつつ、その爆発結界によって相当のダメージも与え、壮絶な最後を遂げたのである。

ヘティス
(す、すごい・・・結界と自爆の合わせ技・・・)

その日は、宿舎に戻って少しそわそわした。その白き祝由師の究極プロテクションが気になったからである。

ヘティス
(私も、もしかしたらできるかな?)

ヘティスは既にヒーリングの基礎レベルはクリアしていた。まだプロテクションはできないのであるが、同じ神聖力を用いるため、ヒーリングができればプロテクションは習得しやすい、とエスメラルダから聞いている。

ヘティス
(もし、私がその究極プロテクションを習得したら、蓮也がサトゥルヌスを倒す可能性は上がると思う)

ヘティスがスマートグラスでロータジア史データを調べると、蓮也二世の項目に究極プロテクションの記載は存在しない。

ヘティス
(未来に織り込まれていないことを過去に起こすことで、未来は変化する・・・)

ヘティスは決意した。
肩まで伸びた髪をまとめあげ、エスメラルダから受け継いだ赤いカンザシを刺した。
エスメラルダのようなローブをヘパイトスに作ってもらい、それを着た。
ヘティスの姿はヒーラーっぽくなり、今までよりも大人っぽく見えた。

ヘティス
「ねぇ、ヘパ。タイムマシンを呼んで。それと現在の時空座標をセーブ」
ヘパイトス
「はい」
ヘティス
(もう、ぐっすりと眠ってる。ブーバとキキはここで留守番と)

ヘティスは村の外にタイムマシンを呼んで、お共にヘパイトスを連れ、ある地点へタイムスリップすることに決めた。その時空座標は、ロータジア史アンドレア伝にある、アンドレア・エスメラルダがオオタネコに入門する時空ポイントである。ここを選んだ理由は、白き祝由師は弟子を一人しかとらなかったとあり、その一人がアンドレア・エスメラルダだからである。入門できる可能性があるのは、このポイントだとヘティスは直感した。 

ヘティスは現在の時空座標をセーブしているので、そこに戻ってこれば、過去からまた戻った場合、時間は一切経過しないのである。

ヘティス
(太陽光充電されてて、タイムマシンのエネルギーが増えてるし、まだ全然大丈夫ね)

そして、過去の世界へとタイムスリップした。
そこは七輪山という大きな山の麓であった。辺りは雪がシンシンと降っている。山は渦を巻くようにそびえ立っており、まるで大きな白蛇がトグロを巻くようであった。
その麓には小さな御社があった。

ヘティス
「あれかな?白き祝由師のいるところは」
「ヘパ、いくわよ!」
ヘパイトス
「はい」

入り口があり、木の門が閉まっている。門の横の看板には「太田神伝流祝由療法院」と書いてある。そして、その門の前に一人の女性が跪いて、俯いている。

ヘティス
「あの~、寒いですよ~、どうされましたか~?」
女性
「いえ、大丈夫です」

銀色の長い髪の毛の美しい若い女性であった。

ヘティス
(エスメラルダ先生・・・綺麗・・・)
「えーと、私、メーティスって言います」
(名前を変えておかないと未来が変わっちゃうかもだから・・・)
エスメラルダ
「私はアンドレア・エスメラルダと言います」
ヘティス
(エスメラルダさん、って呼び方だと先生を意識してぎこちなくなりそうだから、なんて呼ぼうな?)
「えーと、アンドレアさんそこで何をしているんです?」
エスメラルダ 
「はい、ここのオオタネコ様に弟子入りしようと思ってまして・・・」
ヘティス
「そうなんだ。で、弟子入り出来そう?」
エスメラルダ 
「それが、基本的に弟子は取らないと言われて」
ヘティス
「あら、そうなの」
(困ったわね、どうやったら弟子入りできのかしら?)
「で、なぜここの先生に弟子入りしようと思ったんです?」
エスメラルダ 
「私、ヒーラーになりたくて。噂ではここの先生がこの大陸随一の実力者だと聞いて」
ヘティス
「本当は他にもあるんでしょ~?」
「今、アナタのハートチャクラがピンク色よ~」
エスメラルダ 
「やだ、見ないでください・・・」
ヘティス
(あの時代のエスメラルダ先生と私の関係の逆だわね・・・w)
(それにまだ、このころの先生のチャクラは殆ど開いてないし、先生はここから彼のためにとても努力したのね。愛の力ね~)

そんな話をしていると、ゆっくりと治療院の門が開く。

「にゃん、にゃん、にゃーん、ねこにゃん、にゃん!」

「にゃんか、とっても変わったオーラを感じたにゃーん!」

「誰かにゃーん?」

白い猫耳のフードにダブダブのローブに身を包んだ何者かが姿を現した。性別は多分女性で、年齢は不詳である。

ヘティス
(なんか変なのが出てきた・・・)
(オオタネコは基本的に弟子はとらないから、召使さんかな?)
「あの、召使さん、オオタネコ先生に会いに来たんですけど・・・」

というと、エスメラルダがびっくりして、ヘティスに近寄って耳打ちする。

ヘティス
「えっ・・・この変なのがオオタネコなの~!」
(あ、ヤバイ・・・口が滑った・・・)



オオタネコ
「変なのとは失敬にゃん!こんにゃ恥ずかしめを受けたのは生まれてはじめてにゃ!」
エスメラルダ 
「すみません、ネコ様、どうぞお許しください」
オオタネコ
「も~、許さんにゃ!お前たちは入門してにゃいけど、破門にゃ!」
ヘティス
(え~、これだとエスメラルダ先生が深緑のヒーラーにもなれずに、更に歴史の流れが悪化しちゃうじゃなの~!どうしたらいいの~?)

未来に織り込まれていないことを過去に行うと、未来が変わってしまう。
もし、エスメラルダがオオタネコに入門しない場合、深緑のヒーラーが存在せず、サトゥルヌスの戦いで更に不利になる可能性が出てくる。
さて、ヘティスはここから挽回できるのであろうか?

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