レオンライト叙事詩 〜異世界ガチで冒険した結果〜

加納ウノ

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第十八話 魚人の冒険者

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「、、、冒険者?」

「えぇ。数回だけど、前にパーティも組んだことがあるわ。」

別に意外ではなかった。なにせ龍の冒険者だっていたんだ。魚人族が冒険者でも、なんら不思議ではない。

「最近はあまり見かけないけど、移動していないなら、この街が拠点のはずだわ。」

素晴らしい!ナイスレイナさん!あんたほんと立派だよ。頼もしすぎて泣けてくるわ。

「なるほど、、、。となると、冒険者なら下手に探すより、ギルドで待っていた方が効率的か、、、。」

「そうね。この街のギルドはここだけだし、探そうにも広すぎるわ。」

確かにこの街は広い。そして人も多い。地理も詳しくないし、人探しをするのは困難だ。

「ところでレオン。あなた魚人に何の用があるの?」

レイナが不思議そうに聞いてきた。

「友達とよ、約束したんだ。ある人へ伝言を頼まれた。俺も会ったことはないんだけどさ、友達の頼みだ。無下には出来なかったんだ。」

あと海底都市な?

「、、、なるほどね。」

俺が話し終えると、レイナは相槌をした。

「ところで、ルルナってのはどんな見た目なんだ?俺魚人見たことないからわかんねぇんだけど。」

レイナは静かに考えている。

「、、、そうね。人間に近い見た目ね。特徴といえば、赤い鱗に水掻き、エラと、、、あとは歯かしら?」

「歯?」

「とてもギザギザしているの。」

「鱗にエラに水掻き。それとギザギザの歯、、、」

、、、、、、、、、

「、、、それは、近いと言えるのか?」

「見た目はね。」

想像できねぇ~!
鱗ある時点でかなりインパクト強めなんだが、、、

しかし、特徴は完全に魚だ。見たらわかるだろう。

「、、、とりあえず、まだこの街にいるのかどうか、ギルドに聞いてみよう。」

俺がそう言って立ち上がった、その時。

バァン!

ギルド扉が勢いよく開き、大きな笑い声が響いた。

「アッハッハッハ‼︎」

一人の冒険者外国人入ってきた様だ。
入ってきた直後は逆光でよく見えなかったが、何か大きなものを引きずっている。

「アイツまた一人で狩ってきたのか、、、」

「今日で何回目だよ?、、、」

周りの冒険者がヒソヒソと喋っている。恐らくあの冒険者のことだろう。

そして、俺らの前を横切って、奥の受付へと向かう。

ベチャ‼︎

「シーサーペント5体‼︎一丁上がり!」

その冒険者は、受付の上に大きな何かを乗せて、そう叫んでいる。

よく見たらそれは舌だった。根本からちょん切られている大きな舌が5つ、乗せられている。

「、、、」

受付嬢が引いている。

「買取は高く頼むよ!」

そんなのお構いなしという様に、舌を手でぽんぽん叩いている。満面の笑みだ。

「、、、あのですね?」

受付嬢が喋り出した。

「何度言ったらわかるんですか⁉︎証明素材はもっとコンパクトにして下さい!なんでこんなの持ってきちゃうんですか⁉︎」

ブチギレてる。

受付嬢がそう訴えると、冒険者は口を尖らせて言った。

「なんだよー。これでもかなり削ってきたんだぞ?」

そう反論すると、受付嬢も負けじとばかりに訴えた。

「もっとヒレの先端とか色々あるでしょ!」

「だってあれヌメヌメしてて嫌いなんだもん。」

「なんで舌は平気なんですか!、、、」

、、、何を見せられているんだろうか?

しかし、これは、、、まさか、、、

レイナの方を振り返って、冒険者を指さす。

するとレイナは、呆れた顔で頷いた。

「マジかよ、、、」

レイナは冒険者の方へ歩いていき、声をかけた。

「、、、相変わらず、戦闘と受付嬢を泣かせることは得意中の得意の様ね。」

皮肉混じりに挨拶したレイナに対して、冒険者は笑顔で答えた。

「おぉ!レイナじゃないか!久しぶりだね。元気してたかい?」

「そちらもね。久しぶり、ルルナ。」

レイナは、その名前を出し、挨拶を交わした。

「噂では聞いていたけど、本当に来てたんだね。それで?今日はなんの用だい?」

ルルナという冒険者がレイナに問いかけた。

「アンタが話しかけてくるなんて、用でもなけりゃあり得ないだろ?」

ルルナは続けてそう言った。

「えぇ、あなたに会わせたい人がいるの。」

レイナはそう答えると、こっちを向いて来た。

それを合図に、俺は二人の元へ歩み寄った。

近くで見て確信した。
見た目は人間に近いが、頬や肩などに所々ある赤い鱗。手や足には水掻きがあり、首元にはエラらしき線がある。かなり露出度の高い服装に防具。背中には二又の槍を備えている。そして、鋭利な歯、、、。

間違いない。

「レオン、紹介するわ。魚人族のルルナよ。」

「宜しくな!」

レイナの紹介とともにルルナは元気よく挨拶した。

「、、、はは、どうも。」

なんと言っていいのか。しかし、ズレているのは確かだ。

「まぁその、、、かなり変わってはいるけど、信用できる人物であることは確かよ。、、、たぶん。」

たぶん、、、

「ちょっとちょっと!たぶんってのはないんじゃないの?」

レイナの補足に対し、ルルナは俺の考えていたことをそのまま言ってくれた。
しかし、その意図は完璧に異なっていることだろう。

「まぁなんだ。アタシに用があって来たんだろう?ちょっと待ってな。依頼の件済ませて来ちまうからさ。話はそれからだ。」

そう言ってルルナは、依頼完了の手続きを済ませた。
ーーー

ーーーーーー

ーーー「それで?話ってのは一体なんだい?」

俺とレイナは報告を終えたルルナと一緒に、ギルド内のテーブルに腰掛けていた。

最初見た時から気になっていたが、ルルナはかなり背がデカい。2メートル近くあるんじゃないだろうか?
そして、男の夢であるバストもデカい。かなりデカい。こんなことを考えてしまうのも男の性というものだ。

だが、そんなことを気にしている場合ではない。
慰められている受付嬢を尻目に、話を切り出す。

「単刀直入に言う。海底都市への行き方を教えてくれ。」

その瞬間、その場の空気が凍りついた。

なんだ?どうして二人とも固まってるんだ?

「、、、ルルナ、ごめんなさい。彼まだそこらへんについてまだ詳しくないの。」

レイナがルルナに謝った。
そうするとレイナは、俺の方を向き、子供に教える様に語りかけて来た。

「いい?レオン、海底都市っていうのは、一般的に童話の中のお話なの。」

、、、へ?

「だから、存在は確認されてないし、あったとしても行き方がわからないわ。」

「、、、えぇ⁉︎」

、、、つまりこういうこと?海底都市はお伽話で、俺はバカ真面目にもあるかわからない場所への行き方を聞いていたと、、、

、、、クソ恥ずいやつじゃん俺‼︎

何それ⁉︎だってルグリッドは行ったことあるって、、、

、、、そういうことか、、、。ルグリッドの価値観が、ぶっ壊れてて、俺はまんまと恥をかかされた。

アイツ言ってなかった‼︎

気づくとレイナは、可哀想なものを見る様な目で俺を見ていた。

やめて!そんな目で俺を見ないで!

しかも天然って言って逃れられる様な感じじゃないぞ、、、
顔が赤くなっていくのが自分でもわかる。

、、、あのクソトカゲ、今度あったら羽引きちぎってやる!

心の中でそう誓ったレオンであった。

「ま、まぁまぁ。落ち着けってレイナ。」

ルルナがレイナをなだめている。

そして、ルルナが放った言葉は衝撃と言わざるを得なかった。

「まぁその、なんだ、結論から言うとだな、、、」

俺とレイナの視線が、ルルナに集まる。

「あるよ。海底都市。」

⁉︎

「ま、マジか、、、。」

思わず声が出てしまった。

「ほ、ほんとにあるのか⁉︎海底都市⁉︎」

確認のため、もう一度聞いてみた。

「あぁ、あるよ。ちゃんと、海の底にね。」

テーブルを指差し、ルルナはニタリと笑った。

「、、、よっしゃァァァァァ‼︎」

俺は声を上げて喜んだ。

「、、、でも、聞いたことないわね。そんな話、、、」

レイナは顎に手を当て、考えていた。

「まぁそりゃ、教えてないからね。」

ルルナが答える。
まぁ、そりゃそうだ。

「そもそもアイツらは、他の種族との関わりを絶ってるからね。」

「アイツら?、、、」

レイナが不思議そうに首を傾げ、質問する。

「アイツらと言ったら、人魚族さ。」

「⁉︎」

レイナが目を見開いて、ルルナに迫った。

「、、、人魚族?」

「へ?」

ボソりとレイナが何かを言った。
小さな声なので、詳しく聞き取れなかった。ルルナも、思わず聞き返した。

「人魚族がいるの?、、、」

二回目でやっと聞き取れた。
レイナがそう問うと、ルルナはそれに同意した。

「?、あ、あぁ、、、」

その時、レイナの目に高揚が写っていた。

「そ、それは、童話に出てくる、あの人魚⁉︎」

「そ、そうだよ!、、、」

ルルナはレイナの質問に答えつつ、興奮冷めやらぬレイナを引き離していた。

レイナは人魚が好きなのか?というか、童話が好きなのかもしれない。ロマンチストだ。

かくゆう俺も、海底都市という単語に限界化してしまった身だ。ロマンというのはどの世界でも魅力的なのだ。

するとレイナが、俺に質問して来た。

「そういえばレオン。あなたよく落ち着いているわね?」

レイナが不思議そうに聞いて来た。

「まぁ、元々人魚族に会いに来たからな。」

「なんだ、そうなのかい。人魚に知り合いでもいるのかい?」

「いや、いねぇ。」

俺はルルナの質問に答える。

「ハハッ、そうかい。」

笑混じりで、答えるルルナ。

「だけどよ、そこまで知ってるってことは、あんたも言ったことあるんだろ?」

俺はルルナにそう質問する。

「まぁ、そうだな。」

「なら、頼む。行き方を教えてくれねぇか?」

俺はルルナに頭を下げる。
ルルナは答えた。

「、、、たしかに私は、行き方を知ってる。あんたらに教えることも簡単だ。」

ルルナの言葉は途中で止まった。
そして、少し置いて、再び話し始める。

「だが、、、」

ルルナの発した言葉は、今までの期待を全て裏切るものだった。

「、、、それはできない。」

「、、、え?」



その場にしばし、静寂が訪れた。ーーー
















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